6 / 26
一章
アシモト注意
しおりを挟む
私たちは本棚を照らしていき、次々とパズルの数字の場所を見つけ出していった。
「へへっ…2は真ん中ねー、よし!あと少しだアイ!」
「うん!」
「キュー!」
パズルの位置もあと少し、ルイさんはこういうスライドパズルは得意なようでスラスラと動かして数字の位置を合わせていく。
「これでラストだ、8つのうち7つ埋っちまえば最後は必然的にわかる、…こうだろ!!」
ルイさんが手際よくパズルをスライドさせると、カチッとどこからか音が聞こえた。
「お?やったか?」
「…何か起こるのかしら?」
「……錠前は空いてねぇーな」
「………」
(キーン、カンッカラカラ)
どこからか金属製の何かが落ちる音が聞こえた
「キュ!キュキュ!」
「あ、キューちゃん!」
「鍵でも見つけたんじゃねぇの?行ってやれよ、アイ」
「う、うん!」
私は急いでキューちゃんを追いかけた。
「……」
ルイは本棚をなぞりながらアイとは反対の方向、鍵が掛かっている扉の方へゆっくり歩き出す
「キュー!」
「…はぁ、はぁ待ってキューちゃん…」
「キュー!」
キューちゃんはピッと鍵を拾い上げ私に見せてきた。
「やっぱり鍵だったのね!お手柄ね♪」
「ルイさーん!鍵ありましたよー!!」
「…おー、よかった、んじゃ早速開けてみようぜ」
「…ルイさん?」
なんだか少しルイさんの様子がおかしい気がする、気のせいなのか…?
…その時だった
(ゴゴゴゴゴゴゴッ)
「えっ!?なに!?」
「キュー!?」
大きな音がなり地響きが大きくなる
「ルイさん!!なんだかおかしいわ!!…ルイさん?」
「………」
ルイは黙って部屋の床を見つめていた。
すると途端に大きな穴が空き、床がみるみる無くなっていく
床が無くなり数多くあった本棚が次々と地面に飲み込まれていった
部屋の中央から崩れていくこの部屋は私とルイさんを完全に分断してしまった。
私の足元まで亀裂が走り、近くの床からどんどん崩れていく。
「ルイさん、これヤバい!シャレにならない!」
「ルイさん!?さっきからどうして返事してくれないの!?」
その瞬間何かが私の顔を横切った。
(パシッ)
穴の向こう側でルイさんが何かを取った音がした。いや、私は知ってる、理解している、見えないフリをしていたかった、だってそれは…
「ルイさん…なんで鍵だけ引き寄せたの…なんで?」
「………やれやれだ」
「嘘でしょ!!一緒に謎解きしてくれたのに!!手伝ってくれたのに!!なんで!!」
悪寒が走る、悪い予感、今思えば出会って間もないこの人を信じてよかったのか?あの気さくに話しかけてくれたのは全部演技だったのか?優しく、楽しくお話ししてくれたアレは全部まやかしだったのか?
わからない、わかりたくない、ルイさんが裏切るなんて…
「…さっき出会ったばかりだけど、ルイさんはそんな人じゃないと思ってた、だって私に優しくしてくれたし!私の超能力にも名前をつけてくれた!…優しい…名前…を…」
涙が溢れる、悔しいのか悲しいのかわからない、けど溢れずにはいられなかった。
「…はぁ、ごちゃごちゃうるせぇな」
「…でもぉ、ルイさん…」
力が抜け足元から倒れそうになる時だった。彼女がそう呟いたのは
「…これめっちゃ気張るから嫌なんだよ、こっちみんなよ!」
「……え?」
「…ったく悪い予感が当たっちまってついてねぇ…いくぜ!!魔引き!!全力全開!!
(…ギュイーン‼︎ガガガガガガッ‼︎)
穴の底から崩れたはずの床、本、棚などが浮き上がってきて、不完全ながらも道が生まれた。浮いている床や棚を伝っていけば向こう側まで行けそうだ。
「…グズっ、る゛い゛ざーん!!」
「いいから早くしろ!!落とさねぇように鍵は持ってやってんだから急げ!!」
ルイさんは扉の方を見ながらこっちを見ようとしない。
「…なんでそっち向いてるの?」
「踏ん張ってる顔見られたくねぇんだよ!!てかマジ早く急げ!!」
私は急いで床や棚を飛び渡っていき、ルイさんの元に向かう。
「キュッキュッキュッキュ-!」
(シュタッ!)
キューちゃんは先に華麗に飛び渡りルイさんの所に着地した。
「ぐっ…おい、まだか…もうもたねぇーぞ…」
「あと、…ちょっと…」
最後に浮いている本に脚をかけ、あとひと飛びでルイさんの所に着く。
「よし!これで!…えっ…」
「…っ!?」
「キュッ!」
…脚を滑らした
落ちる、身体が重力に逆らえない
下へ下へとどんどん身体が沈んでいく。
「くっ…アイ!!」
「…ルイさ」
ルイさんが手を伸ばすが体勢が崩れ私の髪を掠った。
その勢いで髪留めが外れふわりと宙に舞う。
光り輝くその紐が仕事を終えたように光の粒子になって消えていく。
(髪が縛られてる?)
(「引き寄せる時の応用だ、逆に押し戻して返してやったのさ」)
(ルミナス…優しい光)
今までの出来事が走馬灯のように流れる、たった数時間程度の記憶だったが、たった数時間程度の記憶だったからこそたどりついたのかもしれない
力の応用…髪を縛る光…それはつまり……
「光手の蜘蛛糸!!!」
(シュイーン‼︎‼︎)
私の手から光の紐が伸びる。それをルイさんがガッチリ掴んだ。
「ぐっ…うぅ…」
「キュキュー!」
光の紐をルイさんとキューちゃんが手繰り寄せ、私はなんとか扉の床にたどり着いた。
「はぁ…はぁ…」
「あ゛~、げほっ」
「キュー…キュー…」
「「「…………」」」
「…い…い…」
「い゛ぎでる゛よ゛ぉ~!!る゛い゛ざぁーん゛!!」
「ちょ、馬鹿っ!!抱きつくんじゃ…いや、よく頑張ったなアイ…」
ルイさんは優しく私を抱きしめてくれた。
裏切られたと思った、死ぬかと思った、でも生きてる、それは間違えなくルイさんとキューちゃんが居たからだ。
「あの土壇場でよく考えたな、応用したんだろ?力を」
「う゛ん゛、る゛い゛ざんがづがってだから゛ぁ~」
「キュッキュッ」
キューちゃんも頭を撫でてくれている、頑張ったなって言ってくれてる気がする。
こうして白い本の部屋を攻略し、私には心強い仲間ができた。
榊瑠衣さん
ぶっきらぼうで乱暴な言葉遣いだけど、綺麗でかっこいいお姉さん、私はしばらくルイさんに抱きついて泣いていた。
「へへっ…2は真ん中ねー、よし!あと少しだアイ!」
「うん!」
「キュー!」
パズルの位置もあと少し、ルイさんはこういうスライドパズルは得意なようでスラスラと動かして数字の位置を合わせていく。
「これでラストだ、8つのうち7つ埋っちまえば最後は必然的にわかる、…こうだろ!!」
ルイさんが手際よくパズルをスライドさせると、カチッとどこからか音が聞こえた。
「お?やったか?」
「…何か起こるのかしら?」
「……錠前は空いてねぇーな」
「………」
(キーン、カンッカラカラ)
どこからか金属製の何かが落ちる音が聞こえた
「キュ!キュキュ!」
「あ、キューちゃん!」
「鍵でも見つけたんじゃねぇの?行ってやれよ、アイ」
「う、うん!」
私は急いでキューちゃんを追いかけた。
「……」
ルイは本棚をなぞりながらアイとは反対の方向、鍵が掛かっている扉の方へゆっくり歩き出す
「キュー!」
「…はぁ、はぁ待ってキューちゃん…」
「キュー!」
キューちゃんはピッと鍵を拾い上げ私に見せてきた。
「やっぱり鍵だったのね!お手柄ね♪」
「ルイさーん!鍵ありましたよー!!」
「…おー、よかった、んじゃ早速開けてみようぜ」
「…ルイさん?」
なんだか少しルイさんの様子がおかしい気がする、気のせいなのか…?
…その時だった
(ゴゴゴゴゴゴゴッ)
「えっ!?なに!?」
「キュー!?」
大きな音がなり地響きが大きくなる
「ルイさん!!なんだかおかしいわ!!…ルイさん?」
「………」
ルイは黙って部屋の床を見つめていた。
すると途端に大きな穴が空き、床がみるみる無くなっていく
床が無くなり数多くあった本棚が次々と地面に飲み込まれていった
部屋の中央から崩れていくこの部屋は私とルイさんを完全に分断してしまった。
私の足元まで亀裂が走り、近くの床からどんどん崩れていく。
「ルイさん、これヤバい!シャレにならない!」
「ルイさん!?さっきからどうして返事してくれないの!?」
その瞬間何かが私の顔を横切った。
(パシッ)
穴の向こう側でルイさんが何かを取った音がした。いや、私は知ってる、理解している、見えないフリをしていたかった、だってそれは…
「ルイさん…なんで鍵だけ引き寄せたの…なんで?」
「………やれやれだ」
「嘘でしょ!!一緒に謎解きしてくれたのに!!手伝ってくれたのに!!なんで!!」
悪寒が走る、悪い予感、今思えば出会って間もないこの人を信じてよかったのか?あの気さくに話しかけてくれたのは全部演技だったのか?優しく、楽しくお話ししてくれたアレは全部まやかしだったのか?
わからない、わかりたくない、ルイさんが裏切るなんて…
「…さっき出会ったばかりだけど、ルイさんはそんな人じゃないと思ってた、だって私に優しくしてくれたし!私の超能力にも名前をつけてくれた!…優しい…名前…を…」
涙が溢れる、悔しいのか悲しいのかわからない、けど溢れずにはいられなかった。
「…はぁ、ごちゃごちゃうるせぇな」
「…でもぉ、ルイさん…」
力が抜け足元から倒れそうになる時だった。彼女がそう呟いたのは
「…これめっちゃ気張るから嫌なんだよ、こっちみんなよ!」
「……え?」
「…ったく悪い予感が当たっちまってついてねぇ…いくぜ!!魔引き!!全力全開!!
(…ギュイーン‼︎ガガガガガガッ‼︎)
穴の底から崩れたはずの床、本、棚などが浮き上がってきて、不完全ながらも道が生まれた。浮いている床や棚を伝っていけば向こう側まで行けそうだ。
「…グズっ、る゛い゛ざーん!!」
「いいから早くしろ!!落とさねぇように鍵は持ってやってんだから急げ!!」
ルイさんは扉の方を見ながらこっちを見ようとしない。
「…なんでそっち向いてるの?」
「踏ん張ってる顔見られたくねぇんだよ!!てかマジ早く急げ!!」
私は急いで床や棚を飛び渡っていき、ルイさんの元に向かう。
「キュッキュッキュッキュ-!」
(シュタッ!)
キューちゃんは先に華麗に飛び渡りルイさんの所に着地した。
「ぐっ…おい、まだか…もうもたねぇーぞ…」
「あと、…ちょっと…」
最後に浮いている本に脚をかけ、あとひと飛びでルイさんの所に着く。
「よし!これで!…えっ…」
「…っ!?」
「キュッ!」
…脚を滑らした
落ちる、身体が重力に逆らえない
下へ下へとどんどん身体が沈んでいく。
「くっ…アイ!!」
「…ルイさ」
ルイさんが手を伸ばすが体勢が崩れ私の髪を掠った。
その勢いで髪留めが外れふわりと宙に舞う。
光り輝くその紐が仕事を終えたように光の粒子になって消えていく。
(髪が縛られてる?)
(「引き寄せる時の応用だ、逆に押し戻して返してやったのさ」)
(ルミナス…優しい光)
今までの出来事が走馬灯のように流れる、たった数時間程度の記憶だったが、たった数時間程度の記憶だったからこそたどりついたのかもしれない
力の応用…髪を縛る光…それはつまり……
「光手の蜘蛛糸!!!」
(シュイーン‼︎‼︎)
私の手から光の紐が伸びる。それをルイさんがガッチリ掴んだ。
「ぐっ…うぅ…」
「キュキュー!」
光の紐をルイさんとキューちゃんが手繰り寄せ、私はなんとか扉の床にたどり着いた。
「はぁ…はぁ…」
「あ゛~、げほっ」
「キュー…キュー…」
「「「…………」」」
「…い…い…」
「い゛ぎでる゛よ゛ぉ~!!る゛い゛ざぁーん゛!!」
「ちょ、馬鹿っ!!抱きつくんじゃ…いや、よく頑張ったなアイ…」
ルイさんは優しく私を抱きしめてくれた。
裏切られたと思った、死ぬかと思った、でも生きてる、それは間違えなくルイさんとキューちゃんが居たからだ。
「あの土壇場でよく考えたな、応用したんだろ?力を」
「う゛ん゛、る゛い゛ざんがづがってだから゛ぁ~」
「キュッキュッ」
キューちゃんも頭を撫でてくれている、頑張ったなって言ってくれてる気がする。
こうして白い本の部屋を攻略し、私には心強い仲間ができた。
榊瑠衣さん
ぶっきらぼうで乱暴な言葉遣いだけど、綺麗でかっこいいお姉さん、私はしばらくルイさんに抱きついて泣いていた。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる