転生したら主人公を裏切ってパーティを離脱する味方ヅラ悪役貴族だった~破滅回避のために強くなりすぎた結果、シナリオが完全崩壊しました~

おさない

文字の大きさ
18 / 43

第18話 VSドロシア②(放送事故)

しおりを挟む
「どう? そろそろ負けを認める気になったかしら? 私の前に平伏して豚の鳴き真似をしたら許してあげても良いわよ!」

 爆煙の中に身を隠しながら、とんでもない提案をしてくるドロシア。

「ちょっと! 返事くらいしなさ――」
電撃サンダーボルト!」

 一方、俺は濡れた地面に向かって雷魔法を放つ。

「……まさかっ!」

 そこでようやくドロシアも俺の目論見に気づいたようだが、もう遅い。

「いやああああああああああああッ!?」

 俺の放った電撃は水を伝ってドロシアに直撃した。

「あ……ぐっ……っ!」

 闘技場を覆っていた煙が晴れていき、痺れてよだれを垂らしながら地面に両手をつくドロシアの姿が露わになる。

凍結フリーズ
「…………ッ!」

 俺は更に氷魔法を使うことで濡れた地面を凍結させ、ドロシアの動きを封じた。

「こ、このッ!」
「魔法は使わない方がいいよ。ドロシアちゃんは凍った手足を溶かすような繊細な魔力制御が苦手だろう?」
「どうしてそれを……!」
「今までの試合を観てたら分かるよ」

 どうにか立ち上がろうとするドロシアを制止しながら、ゆっくりと近づいていく俺。もう勝負はついたようなものなので、後は彼女に「降参」と言わせれば良い。実に簡単な話だ。

「僕の勝ちだ。悪いようにはしないから、負けを認めて降参してよドロシアちゃん」
「うるさいッ! 私に近寄らないでッ!」

 目を釣り上げ、ものすごい剣幕で怒鳴ってくるドロシア。案の定まだ心は折れていないみたいだが、想定通りだ。

「別に僕は『豚の鳴き真似をしろ』みたいな酷い要求はしてないだろう? ただ降参するだけで良いんだ」
「あなたなんかの言いなりにはならないわ……ッ! このバカ猿!」
「あ、あはは……。僕、随分と嫌われてるんだね」
「今すぐ死になさい! 私が消しとばしてやるわッ!」

 四つん這いなのによくそこまで威張れるな……。俺だったら潔く負けを認めるくらいには詰んでいる状況だと思うんだが。

「……じゃあ仕方ないか」

 別に降参と言わせなくても勝つ方法はある。ドロシアが気絶するまで攻撃すれば良いのだ。

 抵抗できない相手を一方的に痛めつけるなんて、まるで俺が人の心を持たない外道みたいで嫌だけど……他に方法がない。

「今から攻撃するけど、気が変わったらいつでも降参してね」
「絶対にしないッ! 後でそのヘラヘラした顔を吹っ飛ばしてやるから覚えてなさい……ッ!」
「怖いなぁ」

 俺はその場にしゃがみ込み、ドロシアの前に右手を突き出す。

放電スパーク
「ぐぅっ?! うわああああああああああッ!」

 魔法による電撃をくらい、身体をビクビクと震わせながら悲鳴を上げるドロシア。

「はぁ……、はぁ……んっ……!」

 目を潤ませ、顔を真っ赤にしてこちらをにらみつけてくる。

「……電撃サンダーボルト
「いッ、ぎゃああああああああああッ!」

 今度は白目をむいて気絶しそうだったのだが、歯を食いしばって耐えてきた。

「……すごいなぁ。その根性だけは認めてあげるよ」
「うるさい……ッ! ぶっ飛ばしてやるうぅぅっ……!」

 あんまり耐えられると、どんどん俺が悪者になっていくんだが?

「アラン……なんてヤツだ! あのガキ、人間じゃねぇぞ!?」
「どうやら、噂通りの化け物みたいだな……!」
「引っ込めー!」

 早速観客席から罵声を浴びせてくる人間が現れ始めた。ドロシアが全然負けを認めてくれないと言うこちらの事情も知らないで、いい気なものだ。人の心がないのは貴様らの方だろう。

「お兄さまは悪くないもん! 負けないでーっ!」

 でもプリシラはまだ応援してくれてるみたいだからいっか!

「……ふんっ! いい……気味ね……!」
「あの、そろそろ降参してくれないかな?」
「絶対に……しないわっ!」

 しかし、これではらちがあかないな。

電撃サンダーボルト!」

 俺はどうにかドロシアを気絶させるため、先ほどよりも強めの威力で魔法を打ち込む。

「いやああああああああああああああああッ!」

 大きく身を捩り、絶叫するドロシア。

「あ……んっ! んくっ……! はぁ、はぁ……」

 涎やら汗やら涙やらで顔をぐしょぐしょにしながら、半開きの目でこちらを見つめてくる。

「しょっ、しょんなこうげきぃ……私にはっ……通用……しないんだからぁっ……!」

 何だか様子がおかしくないだろうか?

電撃サンダーボルトっ!」
「ぃぎいいいいいいいいいいいいいいいッ! ……ひうぅっ! うぐっ!」

 もちろんこの試合も控え室のガキどもに配信されているのだが、物凄い放送事故が起きている気がするぞ。

「わたしはっ……ぜったいにぃ……こうしゃんっ、しないんだからぁっ!」

 ぶるぶると身体を震わせながら、尚も負けを認めないドロシア。

 仕方なく俺がもう一度魔法を放とうとして手を突き出すと、小さな声で「ひんっ!」と言って目をつぶる。
 
「意地なんか貼ってないで、もう終わりにしようよ……」
「こ、ころしゅぅっ殺す! ころしゅころしゅころしゅころしゅっ!」

 明確な殺意を向けられていることは分かるが、呂律が回っていないので最早可愛いぞ。

 というかいい加減止めに入れよ審判。もう勝負は誰の目から見ても明らかだろ!

「……はぁ。じゃあ良いよ、次で最後だ」
「へぇ……?」

 ずっとぷるぷるしていたドロシアは、驚いた様子で顔を上げる。

「もし次の攻撃にドロシアちゃんが耐えられたのなら、僕は負けを認める。……それで良いね?」
「ま、まって――」
雷光ライトニングボルトッ!」
「あッ! ーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 結論だけ話すと、ドロシアは俺の最後の攻撃を耐え切った。

「ぁあっ……ううぅっ……いやぁ……っ……」
「え、えぇ……?」

 しかしその代償に、彼女に膀胱は決壊して衆目の前で失禁することになった。どうやらだいぶ前から我慢していたようだ。

「こ、ころしてぇ……っ」

 よほど屈辱的だったのか、今度は泣きながらそう懇願してくるドロシア。

「……水弾ウォーターボール

 俺はひとまず上空に巨大な水魔法を打ち上げ、自分たちの周囲を水浸しにすることで何とか誤魔化しを図る。

「ひっぐっ! うぅ……っ! こうしゃん……しましゅうぅぅっ……!」
「勝者、アラン・ディンロード!」

 ドロシアは最後の最後で心が折れてしまったらしく、泣きながら降参を宣言したので俺の勝利となった。

「このクソ審判が……!」

 完全に放送事故だ! 後味が悪すぎる!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...