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第15話 初戦突破
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どうにかドロシアから逃げおおせた俺は、自分の番が来るまで控室で武器を選びながら時間を潰した。
「うーん……やっぱり剣かな。扱いなれてる武器にしろってダリア先生に念を押されたし……」
この大会の試合では、木の剣や木の槍などの中から自分が使う武器を選ぶことが可能だ。どれも特殊な魔法がかけられていて、そう簡単には相手を殺せないようになっているらしい。
木製とはいえ、魔力によって底上げされた身体能力を持つ奴らが武器で打ち合って大丈夫なのだろうか……? 最悪人が死にそうだ。
実に野蛮な大会である。
「いきなり二刀流とかにしたら怒られるかな……」
ちなみに闘技場自体にも魔法で結界が貼られていて、威力が強すぎる魔法は魔力を吸収されて弱体化させられる仕組みだ。
色々と制限があるが試合のルール自体は単純で、先に降参するか体力が尽きて動けなくなった方が負けである。
まあ、ある程度は本気を出しても問題ないだろう。
「いや、ここは敢えて鍬を選ぶという手も……」
俺が武器選びに頭を悩ませていると、背後で歓声が上がった。
「ドロシア選手、並びにレスター選手、二回戦進出です!」
どうやら、例の双子が初戦で勝利を収めたらしい。控室の壁に投影された映像に皆が釘付けである。
そういえば説明していなかったが、この世界では「投影」の魔法を使用することで離れた場所の映像を見ることが出来る。詳しい仕組みの解説は省くが、音を伝える「拡声」の魔法を組み合わせることによって映像を音声付きで楽しめるようになっているのだ。
だが投影の魔法を使うためには水の、そして拡声の魔法を使うためには雷の適性が必要になる。
映像の投影は空気中でも問題なく出来るため、ある意味前世の時よりハイテクノロジーだと言えるが、魔法を使用できる魔術師が少ないので実用性に欠ける。人が多く集まる祭りなどの時にしかお目にかかることは出来ないだろう。
最低でもメリア先生クラスの水魔法の使い手と雷魔法の使い手をそれぞれ別に用意する必要があるのだ。余程の大帝国でなければそう簡単に揃う人材ではない。
そう考えると他のガキどもが映像に釘付けなのは魔法そのものが珍しいからであるとも言えるな。
「どれどれ、レスターの相手は……」
俺は投影された映像に殺到するガキどもを尻目に、手のひらに魔法で投影した小型の映像を見る。
「うわぁ……すご……」
すると闘技場の左半分には巨大な氷塊が出現していて、右半分からは爆炎が立ち上っていた。準決勝までの試合は会場を半分に分けて二試合ずつ同時展開で行うのだが、ホロウズ家の天才魔術師どもには少々狭すぎたらしい。威力を制限された状態でこれである。
試合を盛り上げるためにレスターとドロシアの初戦のタイミングが被るようにしたのだろうが、この様子だと復旧にかなりの時間がかかりそうだな。
レスターを虐めていた奴らは今頃顔を真っ青にしていることだろう。せいぜい氷漬けにされないことを祈っていると良い。
……しかし、二人とも魔力制御が下手なのは弱点だな。この調子で派手に戦っていたらすぐに魔力が切れてバテるぞ。
「ふむ、一回戦目は手の内を明かさない方が良さそうだな。弱点を見抜かれて対策される」
二人の様子を盗み見てそう思った俺は、映像を投影していた拳を握りしめて木剣を手に取るのだった。
*
しばらくしてようやく俺の番が回ってきた。一回戦目の相手は特に話すことのない無名のモブである。
「対戦、よろしくね!」
心優しい俺は取るに足らない相手でも朗らかに挨拶する。
「へへへへっ! オマエ、すっげえ弱そうだなぁ。ラッキー!」
魔力も大してなさそうだし、目をつぶってでも勝てそうだ。当初の予定通り、魔法は使わない方針でいこう。
「おにーさまがんばってーっ!」
観客席の最前列に座るプリシラも応援してくれている。かっこ悪いところは見せられないな!
俺は気を引き締めて木剣を構えた。
「じゃあ、早速始めようか。僕はいつでも準備できてるよ」
闘技場での試合は、双方が合意した後に審判が合図することで開始される。
さっさと終わらせたい俺は、無名のモブガキに対して合意を示した。
「……あそこで応援してるの、オマエの妹だろ?」
「え?」
するとモブガキは観客席に座るプリシラのことを指差しながらそんなことを聞いてくる。
「そうだよ、可愛いでしょ!」
胸を張ってそう答える俺。
「キンキンうるせーけど顔だけは良いな! 将来はオレの愛人にしてやるよ!」
「ん?」
おかしいな聞き間違えかな。何かとんでもないことを言われた気がするけど……。
「ぶん殴って大人しいオンナに躾けてやるから感謝しろよ! へへっ、今から楽しみだぜ!」
「魔力解放」
――その後のことは覚えていないが、気がつくと俺は初戦を突破していた。
メリア先生からはこっぴどく叱られ、そしてモブガキは二度と俺の前に姿を表さなかった。
「うーん……やっぱり剣かな。扱いなれてる武器にしろってダリア先生に念を押されたし……」
この大会の試合では、木の剣や木の槍などの中から自分が使う武器を選ぶことが可能だ。どれも特殊な魔法がかけられていて、そう簡単には相手を殺せないようになっているらしい。
木製とはいえ、魔力によって底上げされた身体能力を持つ奴らが武器で打ち合って大丈夫なのだろうか……? 最悪人が死にそうだ。
実に野蛮な大会である。
「いきなり二刀流とかにしたら怒られるかな……」
ちなみに闘技場自体にも魔法で結界が貼られていて、威力が強すぎる魔法は魔力を吸収されて弱体化させられる仕組みだ。
色々と制限があるが試合のルール自体は単純で、先に降参するか体力が尽きて動けなくなった方が負けである。
まあ、ある程度は本気を出しても問題ないだろう。
「いや、ここは敢えて鍬を選ぶという手も……」
俺が武器選びに頭を悩ませていると、背後で歓声が上がった。
「ドロシア選手、並びにレスター選手、二回戦進出です!」
どうやら、例の双子が初戦で勝利を収めたらしい。控室の壁に投影された映像に皆が釘付けである。
そういえば説明していなかったが、この世界では「投影」の魔法を使用することで離れた場所の映像を見ることが出来る。詳しい仕組みの解説は省くが、音を伝える「拡声」の魔法を組み合わせることによって映像を音声付きで楽しめるようになっているのだ。
だが投影の魔法を使うためには水の、そして拡声の魔法を使うためには雷の適性が必要になる。
映像の投影は空気中でも問題なく出来るため、ある意味前世の時よりハイテクノロジーだと言えるが、魔法を使用できる魔術師が少ないので実用性に欠ける。人が多く集まる祭りなどの時にしかお目にかかることは出来ないだろう。
最低でもメリア先生クラスの水魔法の使い手と雷魔法の使い手をそれぞれ別に用意する必要があるのだ。余程の大帝国でなければそう簡単に揃う人材ではない。
そう考えると他のガキどもが映像に釘付けなのは魔法そのものが珍しいからであるとも言えるな。
「どれどれ、レスターの相手は……」
俺は投影された映像に殺到するガキどもを尻目に、手のひらに魔法で投影した小型の映像を見る。
「うわぁ……すご……」
すると闘技場の左半分には巨大な氷塊が出現していて、右半分からは爆炎が立ち上っていた。準決勝までの試合は会場を半分に分けて二試合ずつ同時展開で行うのだが、ホロウズ家の天才魔術師どもには少々狭すぎたらしい。威力を制限された状態でこれである。
試合を盛り上げるためにレスターとドロシアの初戦のタイミングが被るようにしたのだろうが、この様子だと復旧にかなりの時間がかかりそうだな。
レスターを虐めていた奴らは今頃顔を真っ青にしていることだろう。せいぜい氷漬けにされないことを祈っていると良い。
……しかし、二人とも魔力制御が下手なのは弱点だな。この調子で派手に戦っていたらすぐに魔力が切れてバテるぞ。
「ふむ、一回戦目は手の内を明かさない方が良さそうだな。弱点を見抜かれて対策される」
二人の様子を盗み見てそう思った俺は、映像を投影していた拳を握りしめて木剣を手に取るのだった。
*
しばらくしてようやく俺の番が回ってきた。一回戦目の相手は特に話すことのない無名のモブである。
「対戦、よろしくね!」
心優しい俺は取るに足らない相手でも朗らかに挨拶する。
「へへへへっ! オマエ、すっげえ弱そうだなぁ。ラッキー!」
魔力も大してなさそうだし、目をつぶってでも勝てそうだ。当初の予定通り、魔法は使わない方針でいこう。
「おにーさまがんばってーっ!」
観客席の最前列に座るプリシラも応援してくれている。かっこ悪いところは見せられないな!
俺は気を引き締めて木剣を構えた。
「じゃあ、早速始めようか。僕はいつでも準備できてるよ」
闘技場での試合は、双方が合意した後に審判が合図することで開始される。
さっさと終わらせたい俺は、無名のモブガキに対して合意を示した。
「……あそこで応援してるの、オマエの妹だろ?」
「え?」
するとモブガキは観客席に座るプリシラのことを指差しながらそんなことを聞いてくる。
「そうだよ、可愛いでしょ!」
胸を張ってそう答える俺。
「キンキンうるせーけど顔だけは良いな! 将来はオレの愛人にしてやるよ!」
「ん?」
おかしいな聞き間違えかな。何かとんでもないことを言われた気がするけど……。
「ぶん殴って大人しいオンナに躾けてやるから感謝しろよ! へへっ、今から楽しみだぜ!」
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