共鳴のヴァルキュリア (全話再編集完)

成瀬瑛理

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第2章―戦いの砲火―

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「いや、待て……! アンタにたった一つ伝えて欲しい事がある…――!」
 
 彼はそこで振り返り、コックピットにまた顔を覗かせた。
 
「なんだ?」
 
 美岬は少し黙ると不意に話した。

「さっき俺の隣にいたピンク色の髪をした癖毛頭のアイツにアンタから伝えて欲しい言葉がある。『ゴメン』ってアイツに伝えて欲しい」

「本当にそれでいいんだな……?」

 彼が聞き返すと、何も言わずにその場で黙って頷いた。

「昔からあいつ大の泣き虫だからさ。一応言っとかないと、俺があとで恨まれそうで怖いよ……」

 整備士にその事を話すとそれ以上は、もう何も言わなかった。彼もそれ以上は何も聞かずに一言わかったと返事を返した。そして、首元にかけていた銀色の古いペンダントを不意に首から外すとそれを整備士の彼に手渡した。

「これをアイツに渡しといてくれ……」

彼は手渡されたペンダントを受け取ると、不思議そうに聞いた。

「これは?」

「お守り…――」

美岬から大事なペンダントを受け取ると、思わず言い返した。

「だったら尚更キミがこれを持つべきだ……!」

「いいんだよ。俺の場合『絶対強運』がついてるから。寧ろ俺よりもドジなアイツにこれを持ってて欲しいんだ。それだけだ…――!」

そう言って話すと直ぐにコックピットのスイッチを押してドアを閉めた。彼は呆れた顔で少し笑うと、ドアの前で美岬に話した。

「……俺は幼いパイロットの少年達をあの戦場の中に送り込んだ。きっと帰ってくる事はこの状況の中では難しく、もはや絶望的だろう。俺だってそんなことはわかってる。でも、せめて君だけはあの戦場から必ず生きて帰って来い!」

整備士は自分の思いを彼に伝えた。そして、再び下に降りるとアビスの安全装置を解除した。機体をロックしていた安全装置が外れると、格納庫の中で赤い点灯ランプが作動した。彼は下の作業室から音声マイクを通して話しかけた。

「これがラストの機体だ、健闘を心から祈る! 君に女神イヴの加護と幸運を…――!」

 整備士はそう言うと離れたところからアビスに向かって敬礼をした。美岬はコックピットの中で少し笑みを浮かべた。機体は出撃モードに入ると格納庫から勢いよく外に飛び去って行った。彼はその様子を切ない表情で見送ったのだった。
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