30 / 193
第2章―戦いの砲火―
21
しおりを挟む
「いや、待て……! アンタにたった一つ伝えて欲しい事がある…――!」
彼はそこで振り返り、コックピットにまた顔を覗かせた。
「なんだ?」
美岬は少し黙ると不意に話した。
「さっき俺の隣にいたピンク色の髪をした癖毛頭のアイツにアンタから伝えて欲しい言葉がある。『ゴメン』ってアイツに伝えて欲しい」
「本当にそれでいいんだな……?」
彼が聞き返すと、何も言わずにその場で黙って頷いた。
「昔からあいつ大の泣き虫だからさ。一応言っとかないと、俺があとで恨まれそうで怖いよ……」
整備士にその事を話すとそれ以上は、もう何も言わなかった。彼もそれ以上は何も聞かずに一言わかったと返事を返した。そして、首元にかけていた銀色の古いペンダントを不意に首から外すとそれを整備士の彼に手渡した。
「これをアイツに渡しといてくれ……」
彼は手渡されたペンダントを受け取ると、不思議そうに聞いた。
「これは?」
「お守り…――」
美岬から大事なペンダントを受け取ると、思わず言い返した。
「だったら尚更キミがこれを持つべきだ……!」
「いいんだよ。俺の場合『絶対強運』がついてるから。寧ろ俺よりもドジなアイツにこれを持ってて欲しいんだ。それだけだ…――!」
そう言って話すと直ぐにコックピットのスイッチを押してドアを閉めた。彼は呆れた顔で少し笑うと、ドアの前で美岬に話した。
「……俺は幼いパイロットの少年達をあの戦場の中に送り込んだ。きっと帰ってくる事はこの状況の中では難しく、もはや絶望的だろう。俺だってそんなことはわかってる。でも、せめて君だけはあの戦場から必ず生きて帰って来い!」
整備士は自分の思いを彼に伝えた。そして、再び下に降りるとアビスの安全装置を解除した。機体をロックしていた安全装置が外れると、格納庫の中で赤い点灯ランプが作動した。彼は下の作業室から音声マイクを通して話しかけた。
「これがラストの機体だ、健闘を心から祈る! 君に女神イヴの加護と幸運を…――!」
整備士はそう言うと離れたところからアビスに向かって敬礼をした。美岬はコックピットの中で少し笑みを浮かべた。機体は出撃モードに入ると格納庫から勢いよく外に飛び去って行った。彼はその様子を切ない表情で見送ったのだった。
彼はそこで振り返り、コックピットにまた顔を覗かせた。
「なんだ?」
美岬は少し黙ると不意に話した。
「さっき俺の隣にいたピンク色の髪をした癖毛頭のアイツにアンタから伝えて欲しい言葉がある。『ゴメン』ってアイツに伝えて欲しい」
「本当にそれでいいんだな……?」
彼が聞き返すと、何も言わずにその場で黙って頷いた。
「昔からあいつ大の泣き虫だからさ。一応言っとかないと、俺があとで恨まれそうで怖いよ……」
整備士にその事を話すとそれ以上は、もう何も言わなかった。彼もそれ以上は何も聞かずに一言わかったと返事を返した。そして、首元にかけていた銀色の古いペンダントを不意に首から外すとそれを整備士の彼に手渡した。
「これをアイツに渡しといてくれ……」
彼は手渡されたペンダントを受け取ると、不思議そうに聞いた。
「これは?」
「お守り…――」
美岬から大事なペンダントを受け取ると、思わず言い返した。
「だったら尚更キミがこれを持つべきだ……!」
「いいんだよ。俺の場合『絶対強運』がついてるから。寧ろ俺よりもドジなアイツにこれを持ってて欲しいんだ。それだけだ…――!」
そう言って話すと直ぐにコックピットのスイッチを押してドアを閉めた。彼は呆れた顔で少し笑うと、ドアの前で美岬に話した。
「……俺は幼いパイロットの少年達をあの戦場の中に送り込んだ。きっと帰ってくる事はこの状況の中では難しく、もはや絶望的だろう。俺だってそんなことはわかってる。でも、せめて君だけはあの戦場から必ず生きて帰って来い!」
整備士は自分の思いを彼に伝えた。そして、再び下に降りるとアビスの安全装置を解除した。機体をロックしていた安全装置が外れると、格納庫の中で赤い点灯ランプが作動した。彼は下の作業室から音声マイクを通して話しかけた。
「これがラストの機体だ、健闘を心から祈る! 君に女神イヴの加護と幸運を…――!」
整備士はそう言うと離れたところからアビスに向かって敬礼をした。美岬はコックピットの中で少し笑みを浮かべた。機体は出撃モードに入ると格納庫から勢いよく外に飛び去って行った。彼はその様子を切ない表情で見送ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる