共鳴のヴァルキュリア (全話再編集完)

成瀬瑛理

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第8章―輝き―アグライア

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――ゼノア地球連合第13拠点基地『ゼウス』。郊外から離れた場所に、大きな森に囲まれた湖畔の水辺に赤い屋根の形をした白い別荘がひっそりと佇んでいた。そこに年老いた男が二人いた。彼らは静けさが漂う部屋の中で、親密な会話を交わした。

「ついにこの時が来たかツィゴイネルワイゼン。我々がどれだけの罪を重ねようとも、これだけは決して冒す事は無いと思っていたが、よもやまた人は歴史を繰り返す事になるとはな……」

「ハイ…――」

 茶色の髪に左目に黒い眼帯を付け、顎髭を生やした痩せ細った男性はベッドに横たわったまま、窓辺から見える外の景色を眺めていた。

その傍に佇むのは、白髪の長い髪を一本に縛り。眼鏡姿の髭を生やした男は全身を黒尽くめで覆い。黒色のコートを肩に掛け、両手に黒い手袋を嵌めていた。知的で聡明な彼は友の言葉に静かに頷いた。

「神に見放されてしまったこの世界で、業の深い我らをエヴァリアースはお許しになられるのだろうか……」

 彼は真っ直ぐな瞳で、天井を見上げると不意に呟いた。そして、手のひらを天に向けて翳した。

「いいや、許すはずがない。私には分かってる。だが、それにしがみつく事しかもはやこの争いは止めらないとは、なんて滑稽なことだ……」

 そう言って拳を強く握ると、思い詰めた表情を見せた。ツィゴイネルワイゼンは、その問いには答えなかった。ただ傍で彼の話を黙って聞いた。湖の畔に浮ぶ白い白鳥が二羽、並んで仲良く寄り添うようにいた。その光景を窓辺から眺めながら呟いた。

「一体、いつから人類はこんな風にってしまったのか……。これが神からの戒めの『罰』だと言うのだろうか、なあ。ツィゴイネルワイゼンよ」

「アーネット様……」

「今さらいくら悔やんでも、悔やみきれないのは分っている。我々人類は取り返しのつかない事をしてしまった。その代償がコレだと言……うっ、ゲホゲホッ!」

 急に苦しみ出すとベッドの上で咳をして血を吐いた。彼は急いで駆け寄ると背中を摩った。日に日に身体が弱っていく、友の痛々しい姿を近くで見ながらツィゴイネルワイゼンは、何もしてやる事も出来ない自分に歯がゆさを感じた。

「それ以上は無理にお話にならないで下さい。体に障ります。どうかそのまま安静にして下さい」

「いいんだ。私の事は気にするな、どうせこの病は治らない。それよりも今はお前と話したい気分なんだ。久方ぶりにお前の顔が見れた気がする。最後に会ったのはいつの事だろうか…――」

 彼は血のついた口元をハンカチで拭うと、弱々しい声で話した。
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