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第8章―輝き―アグライア

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『どりゃああああっ!! クソ退きやがれぇ! 俺の邪魔するんじゃねぇーーっ!!』

雄叫びを上げながら敵に向かって勢い良く近づくとインフィニティからヒューマノイドに変形して持っている斧で相手の機体にクリティカルヒットの大ダメージを与えた。そして、続けざまに強烈な蹴りを入れて後方に吹き飛ばした。

 「まだまだ~~っ!!」

 彼は手前にいたフェニックスにも同じく攻撃を仕掛けた。空中で敵と近接戦闘に移った。相手の剣と、自分の持っている斧がぶつかり合い激しく火花を散らした。どっちも一歩も譲らずに刃を交えた。バッツは空中で戦っているケイニッフィの姿を黙って見ながら不意に呟いた。

「まったくなんちゅう無茶な戦い方をしおって。あれがまた壊れたらどうするんだ。あれを直すのはワシなんじゃぞ。ああ、まったく本当に――」

バッツは口ではブツブツと文句を言っていたが、その表情は少し嬉しそうだった。ケイニッフィは機体の心配もせずに自由に戦った。自分の命の炎を燃やすように、彼は果敢に攻めた。相手の剣の一撃が機体にダメージを与えた。

「クッ、やってくれやがる……! でもな、まだまだーっ!!」

その瞬間、右肩に喰い込みかけた剣を機体に搭載されていたリジッターBS装甲が喰い止めると、高周波振動剣スペクタルム・ソードの尖端が折れた。

 ケイニッフィはすかさず相手に向かって左手の拳でカウンターを入れると、顔を思いっきり殴り飛ばして大破させた。まさに最後は力技での攻撃だった。たった一機で周りにいたフェニックスを数体撃破して一網打尽にして切り崩すと彼は空の上で呟いた。

「どーだ、これがインフィニティ改の力だ!」

 そう言って呟いた顔は誇らしげだった。彼は敵から補給所を一人守り抜くと、地上にいるバッツに目を向けて力強く親指を立て挨拶をすると其処から飛び去った。その姿を彼は見送ったのだった――。
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