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第7章―消えゆく命の残り火―

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「うるせー! そんなことイチイチ解ってる! こいつらが化け物なだけだ! 倒しても倒してもキリがないぜ…――! この土壇場でビームが使えないなんて最悪だ。せめて補給できたら嬉しいのによ…――!」

「弱音を吐くなレオン。あと少しで、シールドが完全に動く。それまでの辛抱だ。我慢しろ」

「くそっ!! こんな時に、マードックの野郎が居てくれたらいいのに……!」

 レオンは切羽詰まる中不意にマードックの事を思い出した。そんな時に、彼は敵の群れからある機体を目にした。

「あいつは…――!」

「どうした!?」

 アレックスはレオンの独り言に反応した。聞き返すと急に飛び出して行った。

「おい、レオン何処にっ!?」

 急に飛び出して行くとアレックスはその方向に目を向けた。するとレオンがもの凄い勢いで青の機体に攻撃を仕掛けた。

『お前がーーっ!!』

レオンは敵の青い機体に攻撃を仕掛けると、斧を勢いよく振り上げて敵に襲いかかった。青い機体はレオンの攻撃を素早く交わすと、肩からミサイルポットを数発放った。至近距離からミサイルを数発浴びると機体はダメージを受けた。

「くっ…――! やっ、やってくれるぜ……! でもなっ!!」

敵からミサイルの攻撃を受けてもなお、レオンは再び攻撃を仕掛けた。

「さっきは撃ち落とし損ねたな、忘れたとは言わせないぞ! マードックを助けようとしたらテメェが俺の邪魔をしたんだ! その所為で、死んじまったんだ! お前があの時、俺の邪魔さえしなければっ!!」

 さっきの出来事を急に思い出すと、青い機体に対して激しい怒りを見せた。

「調度いい、お前は俺が倒す! マードックの仇だぁああああーーっつ!!」

 激しい闘志を燃やすと、もの凄い勢いで斧を振り上げて襲いかかった。青い機体に目掛けて斧で攻撃するとその攻撃を敵は避けて反撃した。いきなりバズーカーで反撃されると自分の機体に命中した。

『クソッ!!』

「レオンっ!?」

「手出しはするな、こいつは俺が絶対に仕留めてやるっ!!」

 レオンはアレックスに言い返すと再び青い機体に向かって攻撃しに行った。敵はレオンの攻撃を受ける事もなく、逆に全て回避した。その余裕が彼の神経を逆撫でた。

 つい熱くなると冷静な判断さえ見失いかけた。目の前の敵を倒す。その強い思いだけが彼を強く突き動かした。

 再びバズーカーの攻撃を直撃で喰らうと、機体は激しく損傷した。アレックスは熱くなっている彼に声をかけるが、レオンは全く聞いてない様子だった。それどころか戦いにのめり込んだ。

「チッ、クソッ!! なら…――!」

『はぁああああああああああーーっ!!』

 怒りに身を任すと最後の手段でレゾナシステムを使った。秘めた力を一気に解放すると、機体と共にパイロットの戦闘力が一気に急上昇した。

 フルパワーになると、レオンはもの凄い勢いで斧を投げつけた。今まで以上の攻撃を喰らうと、敵はその攻撃を避けれずに機体に命中した。その威力は右手を一気に吹き飛ばす程の強烈な破壊力だった。

「ヘッ、ざまぁみろ…――!」

レオンは敵の機体に大ダメージを与えるとそこでニヤリと笑った。自分の機体も既に限界に達していたので、これ以上戦えば自分の命も危なくなるのは解っていた。だが、ここで『仇』である相手を退かずわけにもいかずに、レオンはさらに戦いに燃えた。それは輝く命が燃えつきる前の激しい炎のように、彼もまた激しく燃え上がった。もうそこには冷静さなんてものはなかった――。
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