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第5章―生と死の輪舞―(ロンド)
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しおりを挟む「ザコどもは一人残らず抹殺してやる! それが私の使命、それが私自身の生き甲斐だ! 今から貴様らに阿鼻叫喚の地獄を篤と見せてやる!」
狂ったように呟くと更に攻撃を強めた。両側にいる彼らに向かって電流鞭を容赦なく浴びせた。
「上には上がいるのだ、貴様らはこのゲルマンが地獄に落としてやる! さあ、そのまま冥府へと落ちろぉおおーーっ!!」
ゲルマンは電流鞭の威力を最大にあげた。200万ボルトの電流を流すとその瞬間、アークの機体にトラブルが発生した。
『しっ、しまった……!!』
電流鞭を最大出力にあげた事で高電流が機体内部の高圧電源の回路をショートさせた。それによって鞭は一時的に使用不能に陥った。ゲルマンはしまったと口ずさむと途端に焦りだした。
2機のアビスに巻きついていた頑丈な鞭は僅かに緩んだ。美岬はその瞬間を見逃さなかった。彼は操縦席の前で静かに笑った。
「待ってたぜ、この瞬間をな…――! 力に驕り酔ったお前の負けだ!」
『何ぃっ!?』
美岬は何かを確信したように呟くと巻きついた鞭を素早く振りほどいた。彼は右手を勢い良く、天に向かって翳した。すると雲の切れ目から突如リゲル部隊の戦闘機が姿を現した。
彼らは輸送してきたインフェルノブレイカーを美岬がいる地点に投下した。絶妙なタイミングで彼らは現れると、武器を真上から投下したあとに速やかに退却モードに入った。アレックスは2人の隊員に掛け声を上げると機体を旋回させて戦闘区域から離脱した。
真上から落ちてきた武器を地上から受け取ると、美岬は相手に剣先を翳し、そのままインフェルノブレイカーを手にゲルマンの方へと突撃した。
『なっ、何だと……!?』
ゲルマンは驚愕するような光景に思わず、声をあげて立ち尽くした。
「ハァアアアアアアアアアアアアッ!!」
『ゲルマン避けろぉっ!!』
カインはその場で咄嗟に回避するように命じた。しかし、その命令が届く間に美岬はインフェルノブレイカーで彼の機体を正面から貫いた。
『ぐぁあああああああああーーっつ!!』
美岬はインフェルノブレイカーを勢い良く正面から突いた。ゲルマンは回避する間もなく直撃で喰らった。正面から突かれるとそれは機体の胴体を貫通させた。さらにヒート効果で機体の一部が炎上した。ゲルマンは機体内部に起きたトラブルに慌てると額から冷や汗を流した。
「うぐっ! 今の攻撃で私の機体が……!」
「ゲルマン!」
「カ、カイン様……!」
「もういい、お前は下がれ! 後は俺が……!」
「いいえ、そうはいきません! 私はアークⅡを率いるミストラル部隊の隊長です! この程度の傷、何ともありません! 私は何ともしてもこの戦いに勝利を…――!」
彼は危険な状態だと知っていながら、最後まで戦士としての闘志を燃やした。ゲルマンはそこで雄叫びを上げながら、DTM―900のマシンガンを撃ちまくった。
美岬はアビスを巧みに操りながら攻撃を回避すると、宙を高く飛んで剣を構えた。両手で剣を前に構えると、彼の頭上からインフェルノブレイカーを振り上げた。
「――上には上がいるのか! ならその上を俺が見みせてやる、これで終わりだぁあああっ!!」
ゲルマンは一気に急接近されるとマシンガンを撃ちまくった。しかし、彼は勢いよく突撃すると機体を真上から剣で切り裂いた。
その瞬間アークⅡは斜めに切り裂かれて機体の左半身を失った。彼はそのまま地面に倒れた。
「そこで永眠してろ…――!」
美岬はゲルマンを圧倒的に倒すと、吐き捨てるように呟いた。DT2―ARRKの隊長機を倒すと、指令室には一気に大きな歓声が上がった。
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