23 / 91
第19話 お風呂の後
しおりを挟む
サウナから出た私たちは、再び少しお風呂に入った後に大浴場を後にする。
満足げな表情で「お風呂って気持ちいいですねえ」と感想を口にしたアリシア。
他の魔族達も頷いて彼女に同意していた。
やはり、労働の後の風呂は格別なのである。
これは、人間も魔族も関係ない共通の認識で間違いないようだった。
脱衣所に戻った私たちは、あらかじめ入る前に魔族達から提供されていた服に着替える。
その際に、パーフェクトボディのアリシアはニャルラ達に「美しい体形の維持」についてあれこれ聞かれていた。
私の服を慣れた手つきで着せながら、彼女たちの質問に答えるアリシア。
どうやら、肌の手入れなども重要だが、一番重要なのは「インナーマッスルを鍛えること」であるという。
インナーマッスルとは表層の筋肉ではなく、深層部にある小さな筋肉群の総称であり、どこか1つの筋肉を指す言葉ではない。
これを鍛えることにより、体幹や姿勢を整え美しいプロポーションを保つことができるらしい。
また、運動性能も向上し、肩や腰などの負担も軽くなるという。
どうりでアリシアは体力があり、足腰も強いわけである。
時間が取れそうだったら一緒にトレーニングをしたいという魔物たちに「お嬢様が許可していただければ私は構いませんよ」と答えるアリシア。
私としても「アリシアと魔族の交流の機会も増えていいんじゃないかな」とあっさり許可するのであった。
私の腕の中にいるワタアメも「もきゅ!」と声をあげて参加希望の意思を伝えている。
この子も美容とか気にするんだねと思いながら、私はその様子に和むのであった。
着替え終わった私たちは脱衣所を後にする。
温泉の入り口を出たところで、先に風呂から上がっていたガウェイン達と遭遇した。
彼らに声をかけると、向こうもこちらに気づいたようで近づいてくる。
「お風呂はどうだった、ガウェイン?」
アリシア同様に入浴が初めてであるガウェインに感想を聞くも、彼はなんだかキョロキョロした様子で「気持ちよかったです……」と答えるのだった。
彼の横にはガウェインの横腹を肘で小突く猫の姿がある。
たしか、この魔物はビッケの同僚のマイケルだったかしら?
彼は、私が「猫ちゃん」と言うと怒った様子で「ハウンドウルフ種だ!」と騒いでいたやんちゃな子だったわね。
「お嬢様、それではお部屋に戻りましょうか」
楽しそうに第3部隊の魔物たちとじゃれ合いながら話すガウェイン。
とりあえず、このあとは夕食があるので一旦魔物たちとは解散して部屋に戻ることになった。
わざわざ部屋まで送ってくれたアドルに礼を言って、執事のミャオが待つ屋敷へと戻る私たち。
屋敷の入り口では執事長のラビアンローズとミャオが礼をしながら出迎えてくれた。
私も魔王城での生活に慣れてきたら、屋敷の中で彼らにお世話になることも増えるだろう。
彼らに自室まで送ってもらい、夕食会場の食堂に行くための準備をする私たち。
ワタアメを食堂に連れてっても問題ないということなので、彼女も連れていくことにした。
もともと野生の魔物であったワタアメに親近感が沸くというミャオは「こいつをよろしくお願いしますニャ」と私に言う。
どうやら、魔王軍の先輩として放っとけないらしい。
そんなミャオを「意外と面倒見の良い奴なんだなあ」と思う私であった。
庭園から見える空は既に暗くなっており、辺りはすっかり夜になっていた。
月の光に照らされて美しく光る花々の間を抜けて、屋敷を後にした私たちは食堂へと向かう。
長い廊下を再び歩き食堂につくと、料理長のオーキンス達に出会った。
「魔王妃様!今晩の料理の出来を明日また評価してください!」
夕食を作る際に、私に教わったことを意識して作ったらしい。
了解したと彼に伝えて、私たちは魔王とアドルが座るテーブルへと向かう。
今朝とは違い、くたびれた様子の魔王は「ああ、メルヴィナか。城には慣れたか?」と剣呑な雰囲気ではなかった。
どうやら彼も仕事に追われて疲れている様子である。
その隣で夕食を食べるアドルが言うには、魔王は今「邪神教」の復活とやらの対応で忙しいらしい。
なんだか、「魔王軍」よりも忌々しい感じのワードが出てきたけど大丈夫?
満足げな表情で「お風呂って気持ちいいですねえ」と感想を口にしたアリシア。
他の魔族達も頷いて彼女に同意していた。
やはり、労働の後の風呂は格別なのである。
これは、人間も魔族も関係ない共通の認識で間違いないようだった。
脱衣所に戻った私たちは、あらかじめ入る前に魔族達から提供されていた服に着替える。
その際に、パーフェクトボディのアリシアはニャルラ達に「美しい体形の維持」についてあれこれ聞かれていた。
私の服を慣れた手つきで着せながら、彼女たちの質問に答えるアリシア。
どうやら、肌の手入れなども重要だが、一番重要なのは「インナーマッスルを鍛えること」であるという。
インナーマッスルとは表層の筋肉ではなく、深層部にある小さな筋肉群の総称であり、どこか1つの筋肉を指す言葉ではない。
これを鍛えることにより、体幹や姿勢を整え美しいプロポーションを保つことができるらしい。
また、運動性能も向上し、肩や腰などの負担も軽くなるという。
どうりでアリシアは体力があり、足腰も強いわけである。
時間が取れそうだったら一緒にトレーニングをしたいという魔物たちに「お嬢様が許可していただければ私は構いませんよ」と答えるアリシア。
私としても「アリシアと魔族の交流の機会も増えていいんじゃないかな」とあっさり許可するのであった。
私の腕の中にいるワタアメも「もきゅ!」と声をあげて参加希望の意思を伝えている。
この子も美容とか気にするんだねと思いながら、私はその様子に和むのであった。
着替え終わった私たちは脱衣所を後にする。
温泉の入り口を出たところで、先に風呂から上がっていたガウェイン達と遭遇した。
彼らに声をかけると、向こうもこちらに気づいたようで近づいてくる。
「お風呂はどうだった、ガウェイン?」
アリシア同様に入浴が初めてであるガウェインに感想を聞くも、彼はなんだかキョロキョロした様子で「気持ちよかったです……」と答えるのだった。
彼の横にはガウェインの横腹を肘で小突く猫の姿がある。
たしか、この魔物はビッケの同僚のマイケルだったかしら?
彼は、私が「猫ちゃん」と言うと怒った様子で「ハウンドウルフ種だ!」と騒いでいたやんちゃな子だったわね。
「お嬢様、それではお部屋に戻りましょうか」
楽しそうに第3部隊の魔物たちとじゃれ合いながら話すガウェイン。
とりあえず、このあとは夕食があるので一旦魔物たちとは解散して部屋に戻ることになった。
わざわざ部屋まで送ってくれたアドルに礼を言って、執事のミャオが待つ屋敷へと戻る私たち。
屋敷の入り口では執事長のラビアンローズとミャオが礼をしながら出迎えてくれた。
私も魔王城での生活に慣れてきたら、屋敷の中で彼らにお世話になることも増えるだろう。
彼らに自室まで送ってもらい、夕食会場の食堂に行くための準備をする私たち。
ワタアメを食堂に連れてっても問題ないということなので、彼女も連れていくことにした。
もともと野生の魔物であったワタアメに親近感が沸くというミャオは「こいつをよろしくお願いしますニャ」と私に言う。
どうやら、魔王軍の先輩として放っとけないらしい。
そんなミャオを「意外と面倒見の良い奴なんだなあ」と思う私であった。
庭園から見える空は既に暗くなっており、辺りはすっかり夜になっていた。
月の光に照らされて美しく光る花々の間を抜けて、屋敷を後にした私たちは食堂へと向かう。
長い廊下を再び歩き食堂につくと、料理長のオーキンス達に出会った。
「魔王妃様!今晩の料理の出来を明日また評価してください!」
夕食を作る際に、私に教わったことを意識して作ったらしい。
了解したと彼に伝えて、私たちは魔王とアドルが座るテーブルへと向かう。
今朝とは違い、くたびれた様子の魔王は「ああ、メルヴィナか。城には慣れたか?」と剣呑な雰囲気ではなかった。
どうやら彼も仕事に追われて疲れている様子である。
その隣で夕食を食べるアドルが言うには、魔王は今「邪神教」の復活とやらの対応で忙しいらしい。
なんだか、「魔王軍」よりも忌々しい感じのワードが出てきたけど大丈夫?
0
お気に入りに追加
1,681
あなたにおすすめの小説
お飾り妻生活を満喫していたのに王子様に溺愛されちゃった!?
AK
恋愛
「君は書類上の妻でいてくれればいい」
「分かりました。旦那様」
伯爵令嬢ルイナ・ハーキュリーは、何も期待されていなかった。
容姿は悪くないけれど、何をやらせても他の姉妹に劣り、突出した才能もない。
両親はいつも私の結婚相手を探すのに困っていた。
だから受け入れた。
アーリー・ハルベルト侯爵との政略結婚――そしてお飾り妻として暮らすことも。
しかし――
「大好きな魔法を好きなだけ勉強できるなんて最高の生活ね!」
ルイナはその現状に大変満足していた。
ルイナには昔から魔法の才能があったが、魔法なんて『平民が扱う野蛮な術』として触れることを許されていなかった。
しかしお飾り妻になり、別荘で隔離生活を送っている今。
周りの目を一切気にする必要がなく、メイドたちが周りの世話を何でもしてくれる。
そんな最高のお飾り生活を満喫していた。
しかしある日、大怪我を負って倒れていた男を魔法で助けてから不穏な空気が漂い始める。
どうやらその男は王子だったらしく、私のことを妻に娶りたいなどと言い出して――
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
異世界細腕奮闘記〜貧乏伯爵家を立て直してみせます!〜
くろねこ
恋愛
気付いたら赤ん坊だった。
いや、ちょっと待て。ここはどこ?
私の顔をニコニコと覗き込んでいるのは、薄い翠の瞳に美しい金髪のご婦人。
マジか、、、てかついに異世界デビューきた!とワクワクしていたのもつかの間。
私の生まれた伯爵家は超貧乏とか、、、こうなったら前世の無駄知識をフル活用して、我が家を成り上げてみせますわ!
だって、このままじゃロクなところに嫁にいけないじゃないの!
前世で独身アラフォーだったミコトが、なんとか頑張って幸せを掴む、、、まで。
悪役令嬢になりたくない(そもそも違う)勘違い令嬢は王太子から逃げる事にしました~なぜか逆に囲い込まれました~
咲桜りおな
恋愛
四大公爵家の一つレナード公爵家の令嬢エミリア・レナードは日本人だった前世の記憶持ち。
記憶が戻ったのは五歳の時で、
翌日には王太子の誕生日祝いのお茶会開催が控えており
その場は王太子の婚約者や側近を見定める事が目的な集まりである事(暗黙の了解であり周知の事実)、
自分が公爵家の令嬢である事、
王子やその周りの未来の重要人物らしき人達が皆イケメン揃いである事、
何故か縦ロールの髪型を好んでいる自分の姿、
そして転生モノではよくあるなんちゃってヨーロッパ風な世界である事などを考えると……
どうやら自分は悪役令嬢として転生してしまった様な気がする。
これはマズイ!と慌てて今まで読んで来た転生モノよろしく
悪役令嬢にならない様にまずは王太子との婚約を逃れる為に対策を取って
翌日のお茶会へと挑むけれど、よりにもよってとある失態をやらかした上に
避けなければいけなかった王太子の婚約者にも決定してしまった。
そうなれば今度は婚約破棄を目指す為に悪戦苦闘を繰り広げるエミリアだが
腹黒王太子がそれを許す訳がなかった。
そしてそんな勘違い妹を心配性のお兄ちゃんも見守っていて……。
悪役令嬢になりたくないと奮闘するエミリアと
最初から逃す気のない腹黒王太子の恋のラブコメです☆
世界設定は少し緩めなので気にしない人推奨。
乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました
白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。
「会いたかったーー……!」
一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。
【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】
モブはモブらしく生きたいのですっ!
このの
恋愛
公爵令嬢のローゼリアはある日前世の記憶を思い出す
そして自分は友人が好きだった乙女ゲームのたった一文しか出てこないモブだと知る!
「私は死にたくない!そして、ヒロインちゃんの恋愛を影から見ていたい!」
死亡フラグを無事折って、身分、容姿を隠し、学園に行こう!
そんなモブライフをするはずが…?
「あれ?攻略対象者の皆様、ナゼ私の所に?」
ご都合主義です。初めての投稿なので、修正バンバンします!
感想めっちゃ募集中です!
他の作品も是非見てね!
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる