Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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Ωの性

1日の終わり

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ーside 真琴ー

理先生がすごく神妙な顔つきで診察室から出てきた。
手には、銀色のSP包装の薬の様なものを手にしていたみたいだった。
理先生は、待ち合いの隅に座っていた僕たちを見つけると、手にしていたものを胸ポケットに慌てた様に仕舞って僕らの方に向かって来た。

「お待たせ。今日、真琴先生にコピーしてもらった論文を舞にも送ってたから、その中で解らない事が幾つかあったらしくって質問責めにあったよ…。あ、あと、真琴先生に伝言言付かった。当面は月一で診察を受けて欲しいって事と、来週から処方する薬は飲み忘れない様にって。」

と、言うから

「月一の受診ですか…。面倒くさっ…」

と、呟くと、

「意外。真琴先生でも、そんな事言うんだ…。医者の不養生って言葉は、やっぱり正しいのかも知れないな!」

と、返される始末。

「安心しな。舞は定期的にコッチに応援に来てるし、受診は兄貴が調整してくれるから任せとけよ!」

と奏先生に言われてしまい、否応無しに月一の受診は決定したのだった。
幸いなのは、大学病院きんむさきじゃないって事だ。

はぁーっと溜め息を付けば、

「幸せが逃げてっちゃうぞ。」

とまたも奏先生にからかわれた。

「そろそろ真琴先生をお姉さまの御宅まで送っていかないと、お姉さまが御心配なさるでしょう。」

理先生が助け舟を出してくれた。
僕達は、司波総合医療センターを後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帰りの道中は、理先生が運転をしてくれた。
理先生のタワーマンションは大学病院から3駅程、車で10分程の距離だと教えてくれた。
姉夫婦の家は大学病院からは10駅程離れていて、車でも40分以上かかる閑静な住宅街に建てられていた。
場所的には、大学病院に通うよりも司波総合医療センターに通う方が速かったりする場所に当たる。
場所を聞いた奏先生が、

「何で、大学病院ウチに決めたの?司波ウチのセンターの方が近いじゃん?」

と来て来た。

アメリカあっちでも、大学の系列病院だったし、心臓血管外科の困難症例って大学病院にまわされる事が多いじゃん。いろんな症例と向き合える可能性が高いのは、大学病院かな?って思ってね。」

と答えた。

本音は、
理先生の近くに居たいと思ったから…
なんだけど…

そんな話をしているうちに、姉夫婦の自宅に到着した。
実際にここに来たのは、姉が結婚して2年程した時に日本の学会にキャロライン先生の御供でやって来た5年前にギュウギュウのスケジュールの中、甥の出産祝いを遅ればせながら届ける為に2時間程の時間を何とか作ってやって来たの1回こっきりで、記憶も曖昧で結構な大きさの家だったことに今驚いている。

「よその家がちっさく感じる位バカでかい…まぁ~、七草が絡んでるから仕方ないのか…。義理の兄にいさんもこりゃ大変だな…。」

口から思わず出て居た。

車から荷物を降ろしてくれた理先生が、

「月曜は9時までに病院の受付に寄ってIDカードを貰って部長室に来て下さい。論文の事もあるので、新たに真琴先生専用のPCを用意しておきますので、必要なデータも持って来ておいて下さい。では。」

と言い残し、颯爽と奏で先生を乗せたパールホワイトの車は走り去っていった。

僕は、門にあるチャイムを鳴らせば、

「真琴、お帰りなさい!今、門を開けるわ。」

と姉の声が聞こえた。
ガチャっと言う開錠音が聞こえたら、門は自動で開き始めた…。
スーツケースを引き、玄関まで進むと5歳になった甥の湊汰そうた

「真琴にいちゃん、いらっしゃい!」

と出迎えてくれた。
日本に帰国する事を決めた頃に、姉さん夫婦一家が揃ってアメリカにやって来た時振りの再会だ。
とは言え、ビデオ通話で月に1度程は短時間だが話していた。

「湊汰、おっきくなったなぁ~。いい子にしてたか?兄ちゃん、誕生日のお祝いちゃんと用意してるからな!」

と言うと、湊汰は走り回って喜んでいた。
湊汰に手を引かれ、玄関をくぐりリビングに入ると、姉の柚稀ゆきがお茶の準備をしてくれていた。

「真琴、おかえり~!暫く一緒に暮らせるんでしょう?」

と聞くので、

「うん、仕事に慣れるまでくらいの期間の予定でいるよ。お世話になります。」

ペコリと頭を下げた。

「お茶にしてから、部屋に案内しましょうね。アメリカ向こうから届いた荷物は、部屋に運んでるから、あとで確認して。」

と言われ、準備してくれた紅茶を頂き、湊汰が暫くの間居住空間となる僕の部屋に案内をしてくれた。
荷物の確認や部屋へ配置などをしていたら、義理の兄にいさんが帰って来た。

そして、お祝いと称され、昨日も堪能した『翡翠』さんへ一家と共に伺った。
二日続けての『翡翠』さんの天ぷらに、大満足し帰宅した僕は心地よい睡魔に襲われた。
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