Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

Ωの性

バレた…⭐︎

ーside 理ー

舞先生に、論文の事で聞きたい事があると診察室から出るのを引き止められた俺。
真琴と奏が診察室を出て行ったのを目視で確認してから、

「舞、何だよ？」

と聞けば、


「コレ、何かわかる？」


モニターに映し出された画像…
なんだ？このモゴモゴと少しだけ動いてるものは…

「分からんな。一体なんなんだ？」

と答えると、

「コレ、あそこの顕微鏡に繋がってるの。」

と顕微鏡を指差して言われ、画面に映る物体を更に拡大した舞。

拡大された画面には、オタマジャクシの様なモノが映し出された。

な…な……、コレって、まさか…真琴の精子…か…？

「検査中に、真琴先生クスコの挿入で偶然前立腺を刺激しちゃったら射精イっちゃったのよね～。で、妊娠させる事も出来るかなぁ？って、思って採取して見たんだけど、精子の量が半端なく量が少ないのよね～。理先生、何か理由知ってる？」

舞がニヤリとしながら言う。

絶対分かって言ってるな…コイツ…
墓場まで持って行くハズだったのに…

「はぁ～、ぜってえ～奏にも真琴にも言うなよ…」

前置きをしてから、昨日一度だけ真琴をイかせた事を話した。

「やっぱりね…。思った通りだったわ。奏からも、兄貴が『運命の番』を見つけたから、そいつを一度見てやってほしいって。そりゃあ～もう詳しく聞きましたわ。昨日夜遅くに電話で…。だから、いつかあんたらの子供を取り上げる日が来たらいいなぁって思って、少し詳しく調べたらコレで、驚いたわよ…。」

舞のさばけた性格と人懐っこさもあり、一時期ほんの短い期間だが付き合っていた俺たちだった。
身体を重ねた事もあったが、恋人関係でいるよりも気心知れた異性の友達関係の方が腑に落ち、どちらからと言う事もなく別れを告げたのだった。

「真琴先生のこと、大切にしてあげなよ！真琴先生って、無防備だし守ってあげたくなる様な母性本能擽られちゃうタイプよねぇ～。絶対に、未経験と見たわ！あ、途中まではどっかの誰かさんが耐えきれなくてやっちゃってたんだっけ？」

悪態をつく舞に

「うっせぇ…、最初に煽って来たのは真琴アイツだ！それに、据え膳食わぬは男の恥、と言うだろうが‼︎可愛い寝顔で、襲って下さいって言わんとした無防備な状態見て盛らん『運命の番』なんかいねぇ～だろうがよ…。」

とまくし立てた。

「沈着冷静、眉目秀麗なイメージが崩れちゃうほど、真琴先生には激甘なのね…ご馳走様っ。でもね、発情ヒートの時は、いろんな意味で気をつけて。今は未熟な状態だから、フェロモンの拡散が弱かったり抑制剤が効いてるけど、『運命の番』と出会ってしまっているΩが開花したら、今の比じゃない程になるから。月一の診察の継続と薬の飲み忘れだけはしっかり管理した方がいいわよ、未来の旦那様としては…。ホルモン剤の投与を週明けから初めて行く予定だから、きっとそう遠くない未来に一度発情ヒート状態を起こすと思う。今まで何の治療もしてなかった真琴先生の事だから、効果が顕著に現れると思う…。その時は、緊急抑制剤が効かないハズだから…、発情ヒート状態を抑える為にする事は……分かってるわよね？」

最初こそ面白おかしく冷やかすかの様に話していた舞だが、徐々に真剣な表情になっていた。

「子宮に精子を注ぐ……か…」

俺は冷静に答える。

「そう。きっとその時は、尋常じゃないフェロモンにあてられて貴方も発情ラット状態に陥ってる可能性が高い。『番の契約』をしていなくてもヤル事をしたら100%妊娠する。だから、コレを渡しておくわ…。」

銀色のヒート(SP包装)を目の前に出された。

「殺精剤…、卵子に受精する前に精子を殺してくれる。使い方は、医者の貴方なら分かるわよね？」

と言われ、俺は

「あぁ…分かってる、コレの効果持続時間はどのくらいだ？」

と聞いた。発情ヒートは通常１週間程続く。
舞が言っていた、『Ωが開花したら、今の比じゃない程になる』『効果が顕著に現れると思う…』と言う言葉が本当ならば、その期間はお互い狂った様に求め合うんだろう…
その間に、薬の効果が切れてしまえば望まぬ妊娠をしてしまう…。
俺は、真琴には本当に愛し合ってから妊娠して欲しいと思っている。

「αの序列の中でも最も高い位置にいる貴方の精子なら、多分24時間と言ったところだけど、Ω側の要因も加味されるから真琴先生の序列がどの位置か分からないから来週中に出る正確な検査結果を待たないと確実な効果持続時間は答えられない…。」

舞がそう答えると、

「分かった。今日の検査データ等全部俺の所にもコピーを送ってくれるか？真琴の状態を自分でもしっかり把握しておきたい。今後のものも出来れば全て…」

と伝えた。

「独占欲丸出しね…。分かったわ、準備してまた届ける。未来の奥様の健康管理は夫の務めですものね！さ、真琴先生と奏が首を長くして待ってるでしょうから、行った行った。」

と言われ、俺は診察室を後にした。