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番外編 奪還と返還〜エドワードの純愛
エドの気持ちとミッシェルの気持ち
しおりを挟むラルス視点
俺は知っている。
エドがシシリーを愛していることを。
長くいる団員も気付いているだろうが、淡い恋心くらいとしか思っていないだろう。
でも違う。
エドは本気でシシリーを愛している。
あからさまな好意を見せてはいないし、適度な距離も取っている。
決して触れる事もない。
俺ですら頭を撫でるぐらいはした事があるのに。
余程、他の男性団員の方がシシリーとの接触が多い。
シシリーが襲われた時のエドの殺気は半端なかったし、あんなに怒っているエドを見た事はなかった。
ブライアンとシシリーが付き合う前に一度聞いた事がある、シシリーの事をどう思っているのかと。
その時エドは、
「とても優秀な騎士だ。剣筋も美しくさすが辺境伯の愛弟子だと感心した」
としか言わなかった。
多分自分でも気付いていなかったんだろうな、シシリーを目で追っていた事。
その後すぐ自分の気持ちに気付いたのか、人目を気にして遠くからしか見つめなくなった。
そして、そんなエドを、同じく遠くから見つめるミッシェルがいた。
なんだかなぁ~と思ったが、こればかりはどうしようもない。
俺としてはエドとミッシェルがくっつけば良いなと思っているが、ミッシェルは絶対告白なんかしないだろうし、エドは一途過ぎだし、死ぬまでシシリーを忘れなさそうだし。
でもミッシェルの事は他の女性騎士と違って、少し特別なんだなと思っている。
シシリーの親友だからだろうけど、シシリーに立て続けに起きた事件の時、常にミッシェルを気にかけていたから。
エドがシシリーへの気持ちに踏ん切りがついたら、ミッシェルの存在はとても大きい。
でも踏ん切りがつくのは、多分だいぶ先だ。
ベルの件が片付かない限り、エドはシシリーへの気持ちを捨てない。
おそらく片付くのは何年も先になる。
その時エドは四十を超えている。
それまでミッシェルは待っていないだろう。
うーーーーん、悩ましい。
俺が気にする事でもないが、俺はエドに幸せになってほしい。
愛する妻や子供に囲まれて老後は穏やかに過ごしてほしいって思ってる。
だって、エドはいい奴だから。
俺と違って、誠実で優しい人格者だから。
ハア~なんであんなに一途かなぁ~
ミッシェルも一回くらい告白したらいいのに!
そしたら少しエドが意識して、上手くいくかもしれないのにーーー!
ってそれはないな。
だってエドは気付いてるからね、ミッシェルがエドの事好きだって事。
だからどんなに親しくしてても、シシリーとは違う距離の線を引いてる。
シシリーには手がすぐ届く距離。
ミッシェルには絶対手が届かない距離。
その微妙な違いをミッシェルが気付いた時、どんな気持ちだったんだろう。
ミッシェルの切なさを思うと辛い…おじさん、泣きそう。
そんな微妙な二人に全く気付かないバカップル。
バカップル・・シシリーとブライアンは、ミッシェルが団長を好きなのは知ってるが、団長が誰を好きなのかは、全く気付いていない。
どんだけ鈍いんだよ!
でもあの微笑ましいバカップルの幸せな結婚生活を俺も守ってやりたい。
あんなに大勢に邪魔され、傷付けられ、それでも別れず結ばれた二人を守る為に、俺も一切手を抜かずベルの件はやり遂げる。
エドのためにも最短でね。
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