帰らなければ良かった

jun

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脅迫

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エドワード視点

取調室の椅子にスーザンを座らせ、向かいに座った。

「さて、スーザン。あそこにいたのは何故?」

「道に迷ったんです…」

「ほう。聞きたい事があってな、すぐ貴方を追いかけたんだ。
すると、馬車に乗ったのが見えた。馬車が出てしまったから、馬で追いかけようと厩舎に行って馬で追いかけたら、イザリス公爵家にその馬車は入った。今馬車に乗っていた人は誰かと聞けば男だって言うんだ。
だから引き返す途中、脇道を探したら、さっきの小屋を見つけた。
あの小屋までは、馬車道から真っ直ぐに行けば行けるんだが、迷ったなら戻れば良かったのでは?」

「もう暗かったし、怖かったので…」

「そもそもどうして馬車を降りたの?」

「それは…おトイレに行きたくて…」

「トイレに行きたいだけで、馬車帰しちゃったの?」

「いえ、あの、戻ったらいなくて…」

「え?迷ったんだよね?広い道からわざわざ林の奥に入ったの?」

「それは…怖くて、方向が分からなくて…」

「普通、明るい方へ行くよね?怖いなら。」

「何がなんだか分からなくて…」

「スーザン、嘘ついてるよね?」

「いえ…嘘なんか…」

「そもそもどうして追いかけたのかはね、備品保管室で何で気を失ったのか、聞きたかったんだ。何をされて気を失ったの?」

「あの後ろから薬か何かを口と鼻にあてられて…」

「スーザンは先生の助手だよね?」

「はい…」

「じゃあある程度、薬品も分かるんだよね?」

「はい…」

「じゃあ君が嗅がされた薬品は何だか分かる?」

「分かり…ません…」

「嘘ついてもバレるの、分かるよね?」

「・・・・・」

「君が、お茶に睡眠薬を入れてラルスとブライアンを眠らせて、二人がぐっすり寝付いた頃に、ミッシェルを薬で眠らせ、その後シシリーに毒を注射したね?」

「・・・・・・」

「イザリス公爵に頼まれた?それともフランシスの友達?
君もブライアンのファン?
シシリーへ嫉妬したの?君もあのクソ女達と同じ?
何もしてないシシリーがブライアンと結婚するってだけで殺そうとしたの?
シシリーを殺したら君とブライアンは結婚出来るの?
シシリーがいなくなったらブライアンは君を好きになるの?
君はシシリーよりも美人なの?
俺はシシリーの方が美人に見えるけど、君の使ってる鏡は魔法でもかかってるのかな?
性格が良いのかな?
それともスタイル?
シシリーの方が良さそうだけど、裸になったら違うのかな?
それともお金持ちなの?
凄いね、ブライアン、きっと君の名前も知らないのに、結婚するんだ。
それとも妊娠でもしてるの?誰の?
だから急いで旦那さんになってくれる人を探してるの?
ねえ、教えてよ…
?」

「違います…私じゃありません…」

「じゃあなんであんな所にいたんだ!」

「言ったらお母様が殺されます!」

「脅されてるんだな?」

「はい…」

「イザリス公爵か?」

「夫人です…」

「イザリス公爵夫人か?」

「はい…今日の昼間、手紙が届きました。
母を殺されたくなかったら、言う通りにしろって…。」

「その手紙は?」

「読んだら燃やせって…」

「なんて書いてあった?」

「睡眠薬を使って、ラルス団長とブライアン副団長を眠らせろって…。
シシリーさんに付き添ってる人には気付かれずに薬を嗅がせろって…。
でも意識のあるミッシェルさんに薬なんて嗅がせないと思ったので、ミッシェルさんにも睡眠薬を飲ませた後、薬を嗅がせました。
その後、シシリーさんに医務室にある解毒薬が効く毒を注射しました。
殺したくなかったので…。
その後、備品保管室で気絶したフリをしました。
手紙には適当な髪の色と瞳の色を言えって書いてありましたが、フランシス様の特徴を言ったら、誰か気付いてくれると思いました…。
すみません、すみません、お願いです、母を、母を助けて下さい!
お願いします…お願いします…」

「分かった、俺にでも相談してくれたら良かったのに…。
とにかく、分かった。」

取調室を出て、ファルコンの詰所に行き、ヤコブを探した。

ヤコブが茶髪の女の捜索を指揮していたが、
スーザンの虚偽だったと告げ、今聞いた事をそこにいた団員達にも告げた。
そして、今からイザリス公爵邸に行き、スーザンの母の救出に向かうが、陛下の許可が出るまで待機しているように指示を出した後、イーグルにも行き、副団長のシックスにも説明した。シックスに誰がスーザンに手紙を渡したのか調べて欲しいと頼んでから、
近衛の詰所に行き、陛下との謁見許可を取りたい旨を伝えた。

夜中だが、緊急の場合は謁見も認められる。

しばらくすると許可がおり、これまでの説明をした後、イザリス公爵家へ誘拐、脅迫の容疑による家宅捜査の許可が降りた。

だが、もし証拠が何も出なかった時は、俺の騎士団からの不名誉除隊もありうると言われた。
公爵家への家宅捜査だ。
証拠が出なかったら、そうなるだろう。
だが、そこを崩さねば解決はないだろう。
そして、ずっとシシリーやブライアンが狙われるのだろう。
だったらやるしかない。


陛下との謁見を終え、ファルコンへ戻ろうとしたら、ファンハイド卿が追いかけてきた。

「エドワード!」

「はい、何でしょう、ファンハイド卿。」

「娘が済まなかった…親として責任を取りたいと思っている。だが、今このような状況で私が辞めるのは、解決の妨げになる。
この事件が解決するまで、この場にいる事を許してくれ。」

「私が決める事ではありません。ですが、理解しました。」

「足を止めさせてしまい、済まなかった。」

ファンハイド卿は頭を下げ、戻っていった。

後ろ姿をじっと見た後、やりきれない思いが込み上げたが、今は一刻も早くイザリス公爵家に行き、スーザンの母親を救出せねばと、歩き出した。




ファルコンの詰所へ行くと、ラルスとブライアンがいた。













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