私のような彼と彼のような私

jun

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後悔しかない パブロ視点

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俺は・・・クララが好きだった。
クララと結婚するのが夢だった。
本当はいつでも一緒にいたかったし、いつも抱きしめていたかった。
やりたい事はたくさんあった。
でも、二人きりのお茶会にはいつも邪魔なマットがいた。
アイツは態と俺とクララを二人きりにならないようにしていた。
そりゃあ、二人きりになったら俺はクララに触りまくるのが分かってたからだろうけど、毎回だなんたあんまりだ。
クララはマットが俺の事が好きだからだと思って、「マットはパブロが好きなのね」なんて言って、微笑ましく見ているだけだ。
そんなクララも可愛くて、俺は何も言えないんだけど…。

そんな時に、クララにプレゼントする為のクッキーを買いにいつものカフェに行った。
途中、突然の雨でカフェに着くまでにビショビショになって店に着いた時、同じようにビショビショになった女の子がいた。
白いブラウスが濡れて下着が透けていて、紺のスカートを履いた女の子。
金色の髪から雫を垂らし、少し色っぽく見えた。
よく見れば同じクラスのミリエラ・タランソワ伯爵令嬢だった。

「ミリエラ嬢、こんにちは。君も濡れてしまったようだね。」

「パブロ様、こんにちは。そうなんです、ビショビショになってしまいました・・・」
と自分の胸元を見て、「キャッ!」と小さな悲鳴をあげた。

俺は濡れているが、自分の上着をかけてやった。

「ありがとうございます…。お恥ずかしい姿をお見せしてしまい、申し訳ございません…」
小さく震えるミリエラから目が離せなくなってしまった。

それからだ。
俺はクララではなくミリエラを優先するようになった。

クララとのお茶会を断り、ミリエラとの逢瀬を楽しんだ。
二回目でキスをし、三回目からは最後まではしなくても、ギリギリの所までは身体を合わせるようになった。
五回目にはミリエラが避妊薬を用意した事もあり、最後までしてしまった。
それからはもう止まらなかった。

学園でも旧校舎で暇さえあれば、盛った猿のようにミリエラを抱いた。

それをクララとマットが見ていたなんて気付かなかった。
だってミリエラが妊娠したなんて言うから。

旧校舎の廊下で物音がしたと思ったら、マットが倒れたクララを抱きながら、クララの名前を呼んでいた。

俺達は急いで服を直し廊下に行くと、マットがクララを抱っこし、運び出す所だった。

「クララ!マット、待ってくれ、俺が運ぶ!」
と言うと、

「その汚い手で姉さんに触るな!
お前に姉さんを心配する資格なんかない!
そこの阿婆擦れと続きでもやってろ!クソが!」
と吐き捨てマットはクララを抱いて行ってしまった。

「なんて言葉使いが悪いのかしら。
でも、これでクララ様とは婚約は解消ですわね、パブロ様。
すぐには無理でしょうけど、時間をおいてこら私と婚約いたしましょう!」

俺の腕に捕まり、嬉しそうにそう言ったミリエラを振り解いた。

「俺はクララと婚約解消なんてしない!」

「だって、私のお腹には貴方の赤ちゃんがいるのよ?
クララ様と結婚なんか出来るわけないでしょ?」

そうだ・・・子供・・

「お前、避妊薬飲んでたんじゃないのか⁉︎」

「飲んでたわよ。でも、飲む前に挿れた事なんて何回もあったでしょ?
出す前には飲んだけど、出さなくても子種は多少なりとも出てるのよ、パブロ様。
だからきちんと挿れる前に飲まなきゃダメなのに、貴方が我慢出来なかったんだもの、仕方ないわ。」

初めて会った時の弱々しいミリエラはとっくにいなかったのは気付いていた。
ただ俺はミリエラの身体に溺れていた。

「お前、分かってて飲まなかったのか?」

「さあ、でも何も考えないでヤッたのはパブロ様よ。
これで私は公爵夫人ね、やったわ!」

ああ、俺は騙されたのか…
嵌められたんだな…

クララ…クララ…お願い、別れないで…。
俺はクララだけが好きなんだ…
許さなくていいから、俺を捨てないで…。



結局、クララとは俺の有責で婚約破棄となった。
俺はミリエラを公爵夫人になんかしたくなかったから、廃嫡してほしいって父に頼んだ。
父は、
「廃嫡はしないが、セリアノ家はジョエルに継がせる。
お前は私が持っているクナイ男爵領を継ぎなさい。
領地はここから馬車で三日はかかる場所にある。
こことは全く環境が変わるだろう。
カフェも宝石店も仕立て屋もない。
あるのは畑と山だ。
果物と麦畑しかない。
景色は綺麗だが、お前が選んだ女は我慢出来るかどうか…難しいだろうな。」

「・・・・・はい…分かりました…。」

そう答えるしかなかった。

「今からタランソワ伯爵の所に行ってくる。
フェルドの所に行く前に向こうには連絡している。
とりあえず、タランソワ伯爵に今の状況を説明してくる。
お前とその令嬢との子供は絶対お前の子なのか?
他の男とその令嬢は付き合っていたわけではないのか?」

「分かりません・・・でも初めてではなかったと思います…」

「その辺は私が調べる。
今日は話しをしに行くだけだ。
すぐに婚約はしない。
だがお前はタランソワ伯爵の娘さんに、嫁入り前に手を出した事を誠心誠意謝罪しなさい。騙された、嵌められたなどと決して口にはするな。分かったな。」

「・・・はい。母上は?」

「寝込んでる…。少し一人にしておいた方が良い。あの状態では令嬢に何をするのか分からないからな。」

母上のあんな姿は見た事がなかった。
俺を叩いた事などなかったし、あんな大声を出した事もなかった。
それほどクララと俺の結婚を待ち望んでいたのかと思うと、自分のした事が改めて最低だったと涙が出た。
クララは学園でも倒れ、侯爵邸でも倒れた。

クララ・・・側についていたい…けどもうそれも叶わない…。
学園も退学だろう…。
どうして止められなかったんだろう・・・
どうしてクララだけを見なかったんだろう・・・


どんなに後悔しても、クララの側にはもういられなくなってしまった。















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