私のような彼と彼のような私

jun

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父の話 ミゲル視点

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アナの妊娠騒ぎで学園に行っても、コソコソ俺とアナの事を噂していて、居心地が悪い。
隣りのクラスのコルトもアナも休んでいる。アナに至っては退学となった事が伝わり、元婚約者の俺に話しを聞きたい同級生達は、聞いて良いのか、やめた方がいいかと遠巻きに様子を見ているようだ。

卒業試験を早めてもらって卒業してしまおうかと悩んでいた俺は、父に相談した。

「アナの事は他言しないよう言いくるめているが、向こうの屋敷で漏れたのかもしれないな。
さっさと卒業してしまうのも良いかもしれない。これからもくだらない噂は広がる一方だろう。
学園と相談して試験を受けられるよう学園長と話してみよう。

元々この婚約に私は乗り気ではなかったんだ。
お前の母ティナとルビオナ侯爵は幼馴染みで私とティナが婚約しなければ二人は結婚していただろう、と思うくらい仲が良かったんだ。
婚約してからは、ほとんど付き合いは無くなったが、娘がお前に一目惚れしたとかで私達の前に現れた。
別にルビオナ侯爵は何も悪い事などしていない。
だが何か嫌だった。
でもそんな理由言える訳ないからな、それでお前とアナの婚約を承諾した。
それがこのザマだ。
領地にいるティナがこれを知ったらなんて言うのかと思うと憂鬱だ。
ティナもこの婚約は喜んでいた一人だし、アナを気に入っていたからな。」

そうだったのか…。
身体の弱い母は領地で静養しているが、その母がアナの父親と幼馴染みだったとは知らなかった。
それに父が俺達の婚約を反対していたとは。
てっきり両親ともこの婚約を喜んでいたと思っていた。

父は母に手紙で報告すると言い、俺は執務室を出た。

それから父は学園にも話しをつけて、卒業試験を受けられるように話しをつけてくれた。

ホッと出来た頃、母が領地からやってきた。

そして第一声が、
「アナと婚約破棄だなんて私は許しません!」
だった。

それからは父と母の喧嘩になった。

どう考えてもアナとは婚約の継続なんて出来ない。
他所の男の子を身籠っているのだから無理だろう。
なのに母は、
「ミゲルの子として育てれば問題ないでしょ?」
とほざいた。

「うちの血が一滴も入っていない子を何故ミゲルが面倒を見なきゃならんのだ!
お前は何を言ってるんだ!」

「だってミゲルはアナを好きだったでしょ?それくらい我慢出来るわよね?」

「出来ません!どうしてそう思えるのか、私には母上の気持ちが理解出来ません。」

「例え貴方の子供じゃなくてもアナを愛せるでしょ?」

「いいえ、これっぽっちも愛せません。」

「どうして?あんなに仲睦まじかったじゃない!」

「未来の妻だと思うからこそ、大事に思えたのです。今は裏切られたと思う気持ちが強いです。」

「そんな・・・・ではアナとはやり直す気はないの?」

「全くありません。」

「お前は裏切られた息子を慰める為ではなく、婚約を継続させる為に態々領地から来たのか⁉︎
信じられない…お前は…何故そんなにミゲルとアナを結婚させたいんだ⁉︎」

「私は・・ただ二人は…お似合いだと思っていたから…驚いてしまって…」

「お前は母としてミゲルを裏切ったアナを責めずに、女としてアナの気持ちに共感したってわけか。
やっぱりお前は私と結婚したくなかったのだな…、よく分かった。」

そう言うと父は母を残し、自室に行ってしまった。

母は父の言葉に顔色を悪くし、立ち尽くしていたが、ハッとして父の後を追った。

父と母の仲は特別良いとは思っていなかったが、悪いとも思わなかった。
父が母を大事にしているのは分かったが、母は父を避けているような気がしてたが、気のせいではなかったんだろう。
俺が幼い時には既に母は領地に行ってしまっていた。
左程恋しいとも思わなかったが、幼い時は寂しく思ったりもした。
身体が弱いから俺の下に子供を作らなかったと聞いたが、実際はそうではないのかもしれない。

母はルビオナ侯爵と結婚したかったんだろうか。
だからアナと俺を結婚させ、縁近くなりたかったのか?

なんだか母親の女の部分が見えてしまい、息子としてはなんとも言えない気持ちになった。















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