フィギュアな彼女

奏 隼人

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ぞ〜ん?

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会場に着いた僕達は関係者エントランスゲートから出場者控室に向かった…

「じゃあ…後で!僕達は最高のサポートが出来るように準備するよ!コーチは今、エントリーの確認に向かわれたよ…」


「ありがとう!ヨロシクね!」

ミキが笑顔を見せるとリカが僕に歩み寄ってきた…

「ダイスケさん…私…不安のような…フワフワした変な気分です。」

「そう…多分それは緊張しているんだよ…」

「緊張…」

「そう…肩の力を抜いて…深呼吸して…いつもの練習のように力を出せば良いんだよ…」

「肩の…力を抜く…深呼吸…分かりました!ありがとうございます。ダイスケさん…ずっと私を見ててくださいね!」

「勿論さ…そのために僕はいるんだから…」

「ダイスケさん…」





大会出場選手のリカとミキはロッカールームに荷物を置いてメディカルチェックを受ける事になっていた…

「…33番、34番…ここよ…リカさん…」

「はい。ありがとうございます!」

「じゃあ早速メディカルルームに行きましょう!私達は外星人扱いだから先ずはウィルスチェックからね…」


そして彼女達がロッカールームを後にすると34番…リカのロッカーに手を伸ばす人物の影が現れた…

「ここね…」
  


二人がメディカルルームに入るとヴェガチームの三人もメディカルチェックを受ける為に集まっていた…

「あっ!リカちゃんと元エースやん!おーい!」

カオリが大きく手を振った。


リカは大きくお辞儀をして三人を見つめた。

「いよいよですね…」

リカの言葉にミヤは微笑んで「全力を出し切って…そして表彰台を私達で独占しましょう!」

「負けへんで!昨日のレースのようにまたウチがブッチぎるからな!」

カオリも闘志を燃やしている…

マイは軽く会釈をしてまたいつものようにクールに集中する…

リカはミキにコッソリと囁いた。

「マイさん…機嫌悪いんですかね…?」

「違うわよ…あれはゾーンの状態をキープしているの!」

「ぞ~ん…?」

「アスリートは自分と向き合って究極集中状態《ゾーン》を生み出すの…

緊張した筋力やメンタルではなくて例えるなら夢の中で演技しているような…無駄な力や動きが一切ない状態…それをゾーンって呼んでいるのよ…」

「なるほど…分かりました…後で調べてみますね…」




そして長いメディカルチェックを経てやっと選手は競技の準備に入る…




「あーもう!ドーピングチェックって恥ずかしいわね…人に排泄物を差し出すなんて…」


「仕方ないですよ…公平公正を期する為ですから…」

「そうね…さあ…着替えましょうか…」

廊下で音楽を聴きながら集中している選手達を避けるように二人はロッカールームへと入る…

ミキと一緒にロッカーを開けるリカ…

「あれ…?あれ?あれ?」

「どうしたの…リカさん?」



「無いんです…私の衣装が…ママが作ってくれた私の大切な衣装が…!」


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