フィギュアな彼女

奏 隼人

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アップルブロッサムの咲く丘

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ミキは幼い頃、ダイスケに同じ事を言われた経験があった…

それはミキがスケート三昧でジュニアスクールも休みがちで他の子と遊べなかったため、クラスメイト達と打ち解けなかった中…

「おい!もう一度言ってみろよ!」

「フン!あんな奴、友達でも何でもないんだよ!お前も味方するなら仲間から外しちゃうぞ!」

「そんなつまらない友達ならいらないよ!僕にはノブと…ミキがいるから!」

「じゃあ…勝手にしろよ…行くぞ…みんな…」



「ダイちゃん!どうしたの?」


「あっ!ミキ!アイツら…ミキの事を悪く言うんだ!スクールのカリキュラムをサボりまくりで来てもすぐ帰っちゃうし…ちっともみんなと仲良くする気が無いって…」

「ダイちゃん…」


「だからオレ…言ってやったんだ…

ミキはみんなと一緒に遊べなくてもみんなを笑顔にする為に頑張ってるんだって。

例え辛くても歯を食いしばって必死に笑顔を見せて跳んでいる…それを知っているのはオレだけじゃない。

ノブも…ミキが頑張ってる事を分かってる…オレ達三人はずっと変わらないんだって…」


「…バカ!…バカ!

ダイちゃんまで友達を失くしてどうすんのよ!」




十年前…あの時と同じ涙が時を経てミキの目に蘇る…

「あっつ!このプール空調効き過ぎじゃないの…?」

独り言を言う振りをしてミキはタオルをそっと両目に当てながら呟いた。


「みんなに優しいんだから…ホント…バカ…!」





「そうや…!!この後、ウチが良い所に連れて行ったるわ!!」

突然立ち上がったカオリはマイとミヤに目配せをした…

二人は笑顔で頷いた。ミヤさん達はそれが何処なのか分かっているようだ…






しばらくしてプールを出て…カオリの案内でみんなは小高い丘に登る…ヴェガの…スクールの全体と街が一望できた…



「わぁぁ…素敵…」

「アルタイルとはまた違った…」



リカやダイスケ達がその景色に心を奪われているとミヤがゆっくりと口を開いた。


「…ヴェガは昔、一日が十二時間周期の星だったそうです。

それをリュカ博士という人がプロジェクトチームを組んで星軸調整を行って二十四時間周期の星に開拓したとカリキュラムの中で学びました…

でも昔は星のエリア毎に寒暖の差が激しくて…ここは極寒の地だったそうです…」


ヒューッ…

ヴェガの街を眺めるダイスケ達の間を冷たい風が駆け抜けて…アップルブロッサムの白い花吹雪が彼らを包み込むように舞う…


リカは眼前に拡がる景色にとても感動した。



「綺麗…こんなの見た事無い…」




ミヤは続けた…「先人達はきっと後世の人達の笑顔のためにアップルブロッサムの木を其処彼処そこかしこに植えたそうです…

そして私達の目を今でもこうして楽しませてくれている…

私、この星に生まれて良かった…」



「ミヤさん…」


リカはミヤの目を見つめて言った。


「私…ヴェガの事…アルタイルと同じ位大好きです。明日からお互いに頑張りましょうね…」
 


ミヤは風になびく髪を抑えること無くリカの言葉に応えた。

「こちらこそ!ベストを尽くしましょう!」


そして僕達はみんなで握手を交わした…






そして翌日を迎えていよいよ星間学生杯が開幕した…
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