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ゴブくん

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 アレンがディルガイナを出て半年が経った。
 未だに何の連絡も魔大陸には来ていないものの、確かな契約の繋がりが生きているのでそこまで皆は心配していない。
 まぁ誰もあのアレンが死ぬとは思っていないのだ。


「では皆さん。ここにその宝玉を置いてください」

 ゴブくんがそう口にすると机の上に六つの色とりどりの宝玉が置かれた。
 それを隣にいるドラが丁寧に回収し、玉座に飾るようにして置く。

「まさか本当にやりやがるとはな」
「ええ。主がいない中、これだけの偉業を成し遂げることは思ってもいませんでしたよ」

 グレードとラークはその儀式の様子を見て苦笑いしながらそう口にした。

「では、皆さん。これで儀式は終了です。主がご帰還なされた際にもう一度招集しますのでその時はご協力お願いします」
「「「「「「了解しました!」」」」」」

 ゴブくんの言葉に元気よく返事をした八魔獣、いや、六魔獣たちは頭を下げながらこの王城を去っていく。
 そしてその六人が見えなくなった瞬間、ゴブくんは大きなため息をついた。

「はぁ。疲れました」

 そんなゴブくんにドラが険しい表情をしながら紙袋を差し出す。

「お疲れさん…………プ、プリンでも食うか?」
「いりませんよ。それより現状を整理しましょう」

 一生に一度並みの決断をしたドラのその厚意をゴブくんはバッサリと切り捨てる。
 そして、玉座の前にある巨大なテーブルの横にある、先ほどまで六人が座っていた椅子に腰かけた。
 続いてラークとグレード、そしてドラが同じように席に着く。

「では、餓狼王ウルフロードから現状報告をお願いします」

 最初にグレードが口を開いた。

「一応、近辺の集落や国は全て了承を得た。まぁ魔大陸全土を手中に治めたと言っていいだろうな」
「まぁ主の進化効果がでかいですね。やはりどの魔獣たちも後れを取るのは嫌でしょうから」

 ゴブくんは苦笑いをしながら言った。
 そして、次に待ってましたとドラが口を開く。

「じゃあ次は俺の番だな」
「いえ、炎竜王ファイアロードはあとです。先に雷鳥王ボルトロードお願いします」
「経済は革新並みのスピードで進んでいます。まぁ魔王様の特殊な知識が大きく影響を与えたりしてますね。特に蒸気機関なんて本当に助かっていますよ」
 
 ラークがドスンとテーブルの上に鉄の塊のようなものを置いた。
 どうやらこれが蒸気機関のようだ。
 ちなみに魔石を動力としているため、環境に悪影響もないという。

魔族の国ディルガイナ魔獣の国ストレイド、そして北残国レイスとの直行の鉄道も通り、物資の供給も早く進んでいます」

 ゴブくんは目の前に置かれた資料に目を通しながら言った。
 これはこのの人口の推移表である。

「それは良い報告ですね。これで国民の数の規制もしなくて済みます」

 今のままでは人口と物資の割合の均衡がとれなくなり、入国者を規制しなければならないところだったのだ。
 それを解消してくれたのが新たな物資輸送手段である鉄道である。

「最後に炎竜王ファイアロードお願いします」
「軍団規模はまぁざっと五万だ。ちなみに、二段階者以下と出来るだけ女性は参加させていない。魔族から三万。獣人から二万と言ったところだろうな」

 少しドヤ顔をしながら言うドラにゴブくんはやれやれと首を振る。
 そして、ゴブくんは懐から巨大な地図を取り出し、テーブルの上に置いた。

「主が帰還したと同時に建国祭を行います。まぁ主のことです。そんなことはないと願いたいですが、何万もの他種族を連れてきたりするかもしれません。そのため餓狼王ウルフロードは続けて魔大陸の政治状況を確認してください」
「りょーかい」

 そのゴブくんの言葉を聞きグレードは手を上げながら頷く。
 そして、続けてゴブくんは地図に指をさしながらラークに言った。

雷鳥王ボルトロードは更に開墾を進め、国土の拡大と物資の調達。そして、魔王様と北残国レイスの住民の移住をお願いします」
「その場合。北残国レイスの活用法はどうしますか? ただの荒れ地になり果てますが」

 ゴブくんはラークがそう言うと予見していたかのように地図に何かを書き込む。
 その様子を見てラークは納得したような表情を見せた。

「そこは資源が豊富なので開発地帯にしようと思ってます。そのため魔獣の皆さんの力を借りたいんですが」
「分かりました。手配しておきましょう」

 するとラークはこめかみに手を当て何かぶつぶつと独り言を始める。
 【念話リークス】を行使して配下に連絡を取っているのだろう。

「最後に炎竜王ファイアロードの役目ですが……………………」
「ん? どうしたんだ?」

 ゴブくんが黙り込んでしまうためドラは不思議そうに聞く。
 すると、ゴブくんは、

「いえ、何でもないです。炎竜王ファイアロードは引き続き魔物の凶暴化の阻止と周辺の治安の管理をお願いします」
「…………分かった」

 ドラはその様子に違和感を持ちながらも頷く。

「では、これで新生人魔共栄国プロスパリティの幹部会議を終了ます」

 こうしてゴブくんたちの話し合いは終了した。

***********************

 すみません。間章はもう一話ありました。
 次話でこの半年、ゴブくんたちが何をしていたのかを説明しようと思います。
 まさか国を作ってるなんてあのアレンも予想できてないでしょうね()
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