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ダンジョン
驚愕
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「…………うっ!」
ダンジョンに潜ってすぐにマルクは鼻を押さえた。
この血の生臭さと金属の錆びたような臭い。
流石に王族には慣れているはずもなく、マルクは顔をしかめている。
「やっぱりマルク様は止めておいた方がいいのでは?」
「そうだな。王族を危険な目に遭わせるわけにはいかない」
そんな様子を見てアレンとキールが意気投合して口にする。
日に日にマルクへのキールの態度がきつくなっていると思うのは私の気のせいだろうか。
まぁレイ騒動の時に何かマルクとは会ったのだろうが、そこまで関係も悪化していないようなので安心していいだろう。
当然、そんな舐められるようなことを言われてマルクが黙っているわけがない。
「な、舐めてもらったら困る。俺だって魔法は使えるんだよ」
マルクは少し胸を張りながら言った。
それに関しては二人とも文句がないようで押し黙る。
マルクの魔法レベルはA級を超える。
武力全振りのアレンにも渡り合えるほどの魔法を持つ。
しかし、肉体がまだまだひょろがりなのでキール同様、激しい戦闘は出来ないだろう。
「じゃあどの階層に行く?」
転移石の前に辿り着いたときアレンが後ろを振り返って聞いてくる。
するとキールは少し間をおいて考えてから言った。
「61階層なんてどうです?」
「少し最前線過ぎないか? マルク様はどう思う?」
キールの提案にアレンは頭を抱える。
長年の経験とトラウマのせいだろう。どうやらアレンは私たちをそこまで深層には行かせたくないようだ。
特にマルクは今日が初の冒険だ。どれだけ実力があろうと結局最後は経験がものを言う。
そのため当の本人にアレンは聞いた。
すると、マルクは少しだけ意地を張るように、
「俺は…………62階層ぐらいがいいね」
「…………なッ! なら僕は63階層がいいと思います!」
「いや、やっぱり64階層がいいと思うよ」
そんな子供のような意地の張り合いをしている二人を見てアレンは溜息を吐く。
だが、それでも二人は負けたくないようで、体外に視線をぶつけ合うように睨み合っている。
「「くっ…………!」」
「はぁ…………ならエリスはどうす…………エリス?」
当てが外れたアレンは最後の頼みの綱である私に聞いてくる。
しかし、アレンが振り返ったところには私はいなかった。
そのためアレンは少しだけ焦りながら辺りを見回す。
「…………なッ! エリス!? 何をしようと」
私を見つけたアレンは驚愕するように、いや、怯えるように私を見てきた。
まぁ言いたいことは分かる。
早まるな! と言いたいのだろう。
でもね? 私に60階層レベルなんて物足りないんですよ。
ってことで行きましょうか!
「70階層!」
「「「……………………あっ」」」
私の元気な声に三人は茫然としている。
その様子に私は頭をかきながら苦笑いをして答えた。
「一応、辺りは確認したけど誰も冒険者はいなかったわよ?」
私の言い訳に三人は喧騒を変えて叫んでくる。
「そ、そういうことじゃない!」
「そうですよ! エリス様!? 70階層って理解してます!? 未到達地ですよ!?」
「そうだよ! 70なんてちょっとやりずぎじゃ…………」
だが、そんな物言いもすぐに聞こえなくなってくる。
そう。転移が開始されたのだ。
こうして私たちの視界は真っ黒に染まった。
ダンジョンに潜ってすぐにマルクは鼻を押さえた。
この血の生臭さと金属の錆びたような臭い。
流石に王族には慣れているはずもなく、マルクは顔をしかめている。
「やっぱりマルク様は止めておいた方がいいのでは?」
「そうだな。王族を危険な目に遭わせるわけにはいかない」
そんな様子を見てアレンとキールが意気投合して口にする。
日に日にマルクへのキールの態度がきつくなっていると思うのは私の気のせいだろうか。
まぁレイ騒動の時に何かマルクとは会ったのだろうが、そこまで関係も悪化していないようなので安心していいだろう。
当然、そんな舐められるようなことを言われてマルクが黙っているわけがない。
「な、舐めてもらったら困る。俺だって魔法は使えるんだよ」
マルクは少し胸を張りながら言った。
それに関しては二人とも文句がないようで押し黙る。
マルクの魔法レベルはA級を超える。
武力全振りのアレンにも渡り合えるほどの魔法を持つ。
しかし、肉体がまだまだひょろがりなのでキール同様、激しい戦闘は出来ないだろう。
「じゃあどの階層に行く?」
転移石の前に辿り着いたときアレンが後ろを振り返って聞いてくる。
するとキールは少し間をおいて考えてから言った。
「61階層なんてどうです?」
「少し最前線過ぎないか? マルク様はどう思う?」
キールの提案にアレンは頭を抱える。
長年の経験とトラウマのせいだろう。どうやらアレンは私たちをそこまで深層には行かせたくないようだ。
特にマルクは今日が初の冒険だ。どれだけ実力があろうと結局最後は経験がものを言う。
そのため当の本人にアレンは聞いた。
すると、マルクは少しだけ意地を張るように、
「俺は…………62階層ぐらいがいいね」
「…………なッ! なら僕は63階層がいいと思います!」
「いや、やっぱり64階層がいいと思うよ」
そんな子供のような意地の張り合いをしている二人を見てアレンは溜息を吐く。
だが、それでも二人は負けたくないようで、体外に視線をぶつけ合うように睨み合っている。
「「くっ…………!」」
「はぁ…………ならエリスはどうす…………エリス?」
当てが外れたアレンは最後の頼みの綱である私に聞いてくる。
しかし、アレンが振り返ったところには私はいなかった。
そのためアレンは少しだけ焦りながら辺りを見回す。
「…………なッ! エリス!? 何をしようと」
私を見つけたアレンは驚愕するように、いや、怯えるように私を見てきた。
まぁ言いたいことは分かる。
早まるな! と言いたいのだろう。
でもね? 私に60階層レベルなんて物足りないんですよ。
ってことで行きましょうか!
「70階層!」
「「「……………………あっ」」」
私の元気な声に三人は茫然としている。
その様子に私は頭をかきながら苦笑いをして答えた。
「一応、辺りは確認したけど誰も冒険者はいなかったわよ?」
私の言い訳に三人は喧騒を変えて叫んでくる。
「そ、そういうことじゃない!」
「そうですよ! エリス様!? 70階層って理解してます!? 未到達地ですよ!?」
「そうだよ! 70なんてちょっとやりずぎじゃ…………」
だが、そんな物言いもすぐに聞こえなくなってくる。
そう。転移が開始されたのだ。
こうして私たちの視界は真っ黒に染まった。
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