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しおりを挟む通常のウルフよりも大柄で漆黒の毛皮を持つ個体をボスとした群れには中々手こずらされた。奴は戦況が悪いと見ればすぐに逃げ出す上、徹底的に嫌なところをついてくる。夜の気の抜けた時や、トイレのタイミングなんかを狙ってきやがる。
まぁしかし流石のSランク。結界を張って逃げられないようにしてしまえばあっという間に討伐してみせた。
「ふぅ…終わったね。」
「おう、おつかれコクヨウ。」
「うん!ねぇねぇ、褒めて?」
「ふっよくやったなコクヨウ。良い子だな。」
「えへへ」
俺達は水の都に到着した。湖を見下ろせる美しい景色。そんな景色に合わせて作られたような白と青を組み合わせた清廉な町並み。すげぇ良いところだな。湖で取れるらしい淡水魚の串焼きなんかが名物のようだ。
ゆったりと景色を見て寛ぎつつ、街での時を過ごしていた。この街にはどうやらコクヨウ以外の獣人がいるらしい。というか、コクヨウと同じく黒豹なんだそうだ。宿屋の女将さん曰く、その黒豹獣人は獣人を探しているらしく、俺達も気をつけた方がいいかも知れないと教えてくれたのだ。
コクヨウがお昼寝している間に街をぶらついていると、突然声をかけられた。例の獣人だな…。
「お前、獣人の知り合いがいるだろう?」
「あ?…知らねぇよ。」
「…嘘をつくと為にならねぇぞ。」
「そうかよ。例え知ってたとしてもお前みたいな無礼な奴には教えねぇよ。」
「…後悔しても知らないぞ。」
脅すように言って去っていった。しかし…コクヨウに似てたな。ヤンチャな感じではあったが。諦めてくれそうにねぇよな。コクヨウにどんな用があるのが知らねぇけど…逃げるか?
「おかえり!タカ…ミ…」
「ただいま。ん?どうした?」
「むぅ…タカミ、獣人に会ったでしょ?」
「おう、声かけられた。お前のこと探してるっぽい。」
「ふぅん。とにかくさっさとその匂い流してきて!」
「お、おう。」
風呂から上がるとコクヨウがいなくなってた。何も言わずに居なくなることなんて無かったから、少しモヤモヤする。このまま姿を眩ませてしまうんじゃないか、なんていう不安も裏腹にちゃんと帰ってきた。
しかし様子がおかしい。
なんというか…惜しむように俺を抱く。まるで…そうまるでSランク冒険者パーティーのところへコクヨウを送り出そうとした時の俺のようだ。別れが来ると分かっているような…そんな感じがする。
「なぁ…この間居なくなった時、何かあったんだろ?」
「…ないよ。なにも。大丈夫だから。」
「っ…なにも話してくれないんだな…」
「…ごめんね。」
嫌な予感がする…。
珍しく早く目が覚めた早朝。どうしても不安がぬぐい去れないまま過ごしていたが、遂に現実になってしまったらしい。隣にある筈の温もりが無い。冷たくなったシーツだけが残されていた。
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