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しおりを挟むタカミはあれから時々デレてくれるようになった。もともと僕には甘かったけど、そういうのとは違う恋愛的な甘さがある。無理はしないようにしながらも、出来るだけ早く街に辿り着くべく進んできた。
そしてようやく、この砂漠を抜けることが出来た。やっとタカミをちゃんと休ませてあげられる。タカミのこと抱きたいけど、それよりもタカミの身体が優先!
「ふぁぁ…やっと着いた。長かったな。」
「だね…今日は沢山休もうね。」
「おう、うわっ普通の地面久々過ぎて変な感じするわ。」
「あはは!確かに、固い地面歩きやすいね。」
「だな。」
「魔術都市まではもう少し距離あるみたい。だけど、その手前に宿場町があるから、今日はそこで休もうね。」
「おう。」
魔術都市への通り道で、徒歩や馬車なんかで来る人は皆が通る場所にあるだけあって、割と大き目な宿場町のようだ。魔術都市から流れてきたらしい魔導具や魔道士なんかも見て取れた。
「デケェな。」
「だね、取り敢えず宿探そうか。」
「おう。」
人の流れは多いものの、基本的な街の構造は今まで行ったことのある街と近しいものだ。大体の勘で当たりをつけて、高級宿であろう場所に入る。
「いらっしゃいませ。泊まりのお客様でしょうか?」
「ああ、風呂は付いているか?」
「ええ、お風呂も御座いますよ。」
「そうか。なら二人部屋かダブルベッドの部屋で頼む。」
「かしこまりました。どちらも空いておりますが、どうされますか?どちらのお部屋も価格はお二人様で1泊銀貨70枚になりますが」
「じゃあダブルベッドの部屋で。タカミ、いいよね?」
「おう。いいぞ。」
「かしこまりました。料金は前払いとなっております。」
「銀貨70枚ね。はい、金貨一枚」
「それではこちら銀貨30枚のお返しです。」
「ん、ご飯はついてるの?」
「はい、ご注文頂いた品をご用意させて頂きます。」
「タカミ、何食べたい?」
「そうだな、肉も魚も食いたいかな。」
「かしこまりました。それでは後ほどお部屋までお持ちいたします。」
「取り敢えず風呂に入りたいから準備お願い。」
「はい、すぐに用意させます。こちらお部屋の鍵になります。案内は必要でしょうか?」
「いや、大丈夫。行こタカミ」
「ん、そうだな。」
宿の接客も良さそうだし、いいところ見つけられたかな。部屋に入っても期待を裏切らず、センスの良い内装できれいに掃除されているのが伺える。疲れてはいるけど、流石にこのままベッドに入るのは憚られる。クリーンしてるから綺麗ではあるんだが気分の問題だ。
部屋に入って程なく、従業員が訪ねてきた。どうやら魔法によってお風呂に湯を溜めるために来てくれたらしい。かなりの水量の筈だが、すぐにお風呂はお湯で満たされた。俺達は順番にお風呂に入ってさっさと眠ることにした。
コクヨウの温かい腕の中で俺は落ちるように眠りに誘われる。
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