82 / 130
82
しおりを挟むタカミはあれから時々デレてくれるようになった。もともと僕には甘かったけど、そういうのとは違う恋愛的な甘さがある。無理はしないようにしながらも、出来るだけ早く街に辿り着くべく進んできた。
そしてようやく、この砂漠を抜けることが出来た。やっとタカミをちゃんと休ませてあげられる。タカミのこと抱きたいけど、それよりもタカミの身体が優先!
「ふぁぁ…やっと着いた。長かったな。」
「だね…今日は沢山休もうね。」
「おう、うわっ普通の地面久々過ぎて変な感じするわ。」
「あはは!確かに、固い地面歩きやすいね。」
「だな。」
「魔術都市まではもう少し距離あるみたい。だけど、その手前に宿場町があるから、今日はそこで休もうね。」
「おう。」
魔術都市への通り道で、徒歩や馬車なんかで来る人は皆が通る場所にあるだけあって、割と大き目な宿場町のようだ。魔術都市から流れてきたらしい魔導具や魔道士なんかも見て取れた。
「デケェな。」
「だね、取り敢えず宿探そうか。」
「おう。」
人の流れは多いものの、基本的な街の構造は今まで行ったことのある街と近しいものだ。大体の勘で当たりをつけて、高級宿であろう場所に入る。
「いらっしゃいませ。泊まりのお客様でしょうか?」
「ああ、風呂は付いているか?」
「ええ、お風呂も御座いますよ。」
「そうか。なら二人部屋かダブルベッドの部屋で頼む。」
「かしこまりました。どちらも空いておりますが、どうされますか?どちらのお部屋も価格はお二人様で1泊銀貨70枚になりますが」
「じゃあダブルベッドの部屋で。タカミ、いいよね?」
「おう。いいぞ。」
「かしこまりました。料金は前払いとなっております。」
「銀貨70枚ね。はい、金貨一枚」
「それではこちら銀貨30枚のお返しです。」
「ん、ご飯はついてるの?」
「はい、ご注文頂いた品をご用意させて頂きます。」
「タカミ、何食べたい?」
「そうだな、肉も魚も食いたいかな。」
「かしこまりました。それでは後ほどお部屋までお持ちいたします。」
「取り敢えず風呂に入りたいから準備お願い。」
「はい、すぐに用意させます。こちらお部屋の鍵になります。案内は必要でしょうか?」
「いや、大丈夫。行こタカミ」
「ん、そうだな。」
宿の接客も良さそうだし、いいところ見つけられたかな。部屋に入っても期待を裏切らず、センスの良い内装できれいに掃除されているのが伺える。疲れてはいるけど、流石にこのままベッドに入るのは憚られる。クリーンしてるから綺麗ではあるんだが気分の問題だ。
部屋に入って程なく、従業員が訪ねてきた。どうやら魔法によってお風呂に湯を溜めるために来てくれたらしい。かなりの水量の筈だが、すぐにお風呂はお湯で満たされた。俺達は順番にお風呂に入ってさっさと眠ることにした。
コクヨウの温かい腕の中で俺は落ちるように眠りに誘われる。
13
お気に入りに追加
1,234
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます
天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。
広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。
「は?」
「嫁に行って来い」
そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。
現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる!
……って、言ったら大袈裟かな?
※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる