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49.協力を頼まれました。
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マジかよ。嘘であってほしかった。外で待っていると本当に楽屋に通されて、二人きりで話すことになった。そいつの話す内容は、なかなかブッ飛んでて、アイドルとファンそれも男同士…。
でも嘘を言っているようには見えなかった。それに記憶の中のシバの様子とも合致している。やけにテンションが高かった時期や、いきなり予定があるとか言い始めた時、それから元気がなくなったとき。
…マジかよ…。なんか疲れたわ。
記憶と一致していても、真に受けて信じるわけにもいかないだろう。証拠を求めると、雑誌の名前が出る。意味がわからないが、シバとアイドルくんが写っているらしい。
シバからは一言も聞いたことのない話ばかりだった。衝撃を受けるとともに、どこか納得もしていた。シバのスマホを見るそわそわした様子とか、今思い返してみれば恋だよなぁ。
とは言っても、シバが騙されているかもという疑いを捨て切ることはできなかった。あんなに顔も良くて仕事も成功している奴がシバを好き…ねぇ?
シバを悪く言うわけではないが、至って普通の顔の少しチビな男だ。まぁ良い奴だとは思う。けれど、アイドルくんは芸能界に身をおいて、周りを見りゃ整った顔の奴がわんさか居るんだ。そんな奴がシバを選ぶのか?
シバに傷ついて欲しくない。
俺の数少ない理解者で、数少ない男友達だ。男の知り合いは一定数いるが、皆俺に寄ってくる女目当てだ。俺を利用してやろうというのが透けて見える。だから信用も信頼もしない。
シバは、たまたまの出会いから始まった付き合いだが、信じられる奴だ。どうすべきか見極めねぇと。シバが傷つかなくて済むように。
「はぁ…」
マネージャーだと言う人の車に乗り込み、思わずため息が漏れる。すると、隣のマネージャーの人から声がかかる。
「あの、alfalfaマネージャーの神谷と申します。この度は藍月がご迷惑おかけしました。ところで司馬咲さんとは、お知り合いなんですよね?」
「遠野です。まぁそうですね」
「藍月が何を話したのか知りませんが、藍月は本当に司馬咲さんが好きなんです。」
「はぁ…」
「…藍月の顔見ましたか?」
「まぁ…見ましたけど」
「目の下にクマがあるんです。コンシーラーなどで隠していますがね。」
「それがどうしたんですか?」
「…あれ、仕事のせいとかじゃないんですよ。司馬咲さんに会えなくなってからです。会えないだけでそうなるくらい藍月は司馬咲さんが好きなんです。」
「…本気…なんですか?」
「…そう思っています。」
「アイドルですよね?いいんですか?」
「…難しいところですね。でも、犯罪よりはマシだと思いませんか?」
「どういう?」
「…藍月は、司馬咲さんが好きすぎるので…側にいれなくなったらストーカーでもしそうな勢いなので…。それで逮捕なんて洒落になりませんよ。
それよりは、上手く行ってくれる方が良いと思うんですよ。だから、上手くいくなら事務所としては容認するつもりです。この件に関しては、私から上にも交渉してあります。」
「そうですか…」
…話を聞く限り本当にシバのことを好きなのかもしれない。けれど…逆に不安になったわ。会わせて上手く行くように協力したとして、それは本当にいいんだろうか…。
アイドルくん…なかなかヤバい奴じゃねぇ?
シバ…なんて奴に目を付けられてんだよ…。でも…シバもアイドルくんのこと好きそうなんだよなぁ…。両思いならいいのか…?
あー…最悪逃げるなら手伝ってやろう…。協力した責任として…。
家まで送ってもらって、神谷さんは帰っていった。その一週間後、発売された雑誌を買って、アイドルくんが写っているページを開く。
アイドルくんともう一人の顔は写っていなかった。けれど、体格や雰囲気からほぼ確信できた。そして決定的だったのは次のページ。アイドルくんを膝枕しているもう一人、その手にはシバと同じ特徴的なハートのほくろがあった。
(彼方:雑誌見た。協力してやる。けど、シバを傷つけたら許さねぇ。)
(藍月:ありがとうございます!絶対傷つけたりしません!)
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