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いよいよパーティーの日
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この日、一日中多忙すぎた。日々のルーティンはもちろんのこと、パーティーの準備もしなければならなかったから。
この日は公休日の侍女や執事や料理人たちも、公休日を他の日に振り替えるなどして協力してくれた。
人は多いはずなのに、それでもだれもがバタバタと走りまわっていた。ほとんどがベテランばかりだけれど、新人たちも含めてミスやうっかりが続発した。
とはいえ、致命的なものはなにひとつない。笑ったり舌をペロリと出す程度の可愛らしいものばかり。もっとも、ささやかなミスといえどもわたしたちはプロ。たとえ大変な状況であったとしても、そこは反省すべき点であることにかわりはない。
それについては、すべてが終ってから反省や見直しや改善策を練らなければならない。
パーティーは、宰相ジョエルが進行することになっている。当人が「責任をもって進める」と申し出たらしい。
『パーティーは任せていただいて、王子殿下はどうか心おきなくディーマー帝国の皇族を接待してください。そちらが終わり次第、殿下もパーティーに合流されればよろしいかと』
ジョエルは、さらにはそう勧めたとか。
まぁ、彼には計画していることがある。アレックスがパーティーにいない方が計画をスムーズに進められるに違いない。
なにせジョエルは、王族主催のパーティーという表舞台で「重大な発表」をするのだから。
彼がパーティーを牛耳った方がぜったいにやりやすい。
そして、ジョエルの「重大な発表」が終ったタイミングでアレックスが登場したら……。
ディーマー帝国の皇族をよりにもよってパーティーの日に招いたのは、ジョエルがわざとそうしたのではないかと勘繰ってしまう。
そのように想像してしまうのは、きっとわたしが意地悪で陰険なのに違いない。
(それにしても、「重大な発表」の主役のひとりであるアレックスは了承済みなのかしら?)
ふと考えてしまう。
(いくらジョエルでも、アレックスにまったくなにも知らせずに婚儀の話を進めたり公にすることはしないわよね)
詳細までは伝えていなくても、それらしきことは予告なり布石は打っているはず。
そのようにも考える。
とにかく、アレックスは接待に全力を傾けた後にパーティーに出席する。
そしてわたしは、上級侍女たちにパーティーの采配を任せてディーマー帝国の皇族の接待に全力を傾ける。
アレックスがパーティーに行ってしまったら、執事長のメルヴィン・ベンフィールドとともに接待を引き継いでお見送りまでしなければならない。
一抹の不安と緊張とわずかながらワクワクどきどきしつつ、最後のチェックをしに行くことにした。
まずは今夜のメインイベントであるパーティーが行われる宮殿の大広間へと向かう。
まさかこのとき、はやくもトラブルに見舞われるとは思いもしなかった。
この日は公休日の侍女や執事や料理人たちも、公休日を他の日に振り替えるなどして協力してくれた。
人は多いはずなのに、それでもだれもがバタバタと走りまわっていた。ほとんどがベテランばかりだけれど、新人たちも含めてミスやうっかりが続発した。
とはいえ、致命的なものはなにひとつない。笑ったり舌をペロリと出す程度の可愛らしいものばかり。もっとも、ささやかなミスといえどもわたしたちはプロ。たとえ大変な状況であったとしても、そこは反省すべき点であることにかわりはない。
それについては、すべてが終ってから反省や見直しや改善策を練らなければならない。
パーティーは、宰相ジョエルが進行することになっている。当人が「責任をもって進める」と申し出たらしい。
『パーティーは任せていただいて、王子殿下はどうか心おきなくディーマー帝国の皇族を接待してください。そちらが終わり次第、殿下もパーティーに合流されればよろしいかと』
ジョエルは、さらにはそう勧めたとか。
まぁ、彼には計画していることがある。アレックスがパーティーにいない方が計画をスムーズに進められるに違いない。
なにせジョエルは、王族主催のパーティーという表舞台で「重大な発表」をするのだから。
彼がパーティーを牛耳った方がぜったいにやりやすい。
そして、ジョエルの「重大な発表」が終ったタイミングでアレックスが登場したら……。
ディーマー帝国の皇族をよりにもよってパーティーの日に招いたのは、ジョエルがわざとそうしたのではないかと勘繰ってしまう。
そのように想像してしまうのは、きっとわたしが意地悪で陰険なのに違いない。
(それにしても、「重大な発表」の主役のひとりであるアレックスは了承済みなのかしら?)
ふと考えてしまう。
(いくらジョエルでも、アレックスにまったくなにも知らせずに婚儀の話を進めたり公にすることはしないわよね)
詳細までは伝えていなくても、それらしきことは予告なり布石は打っているはず。
そのようにも考える。
とにかく、アレックスは接待に全力を傾けた後にパーティーに出席する。
そしてわたしは、上級侍女たちにパーティーの采配を任せてディーマー帝国の皇族の接待に全力を傾ける。
アレックスがパーティーに行ってしまったら、執事長のメルヴィン・ベンフィールドとともに接待を引き継いでお見送りまでしなければならない。
一抹の不安と緊張とわずかながらワクワクどきどきしつつ、最後のチェックをしに行くことにした。
まずは今夜のメインイベントであるパーティーが行われる宮殿の大広間へと向かう。
まさかこのとき、はやくもトラブルに見舞われるとは思いもしなかった。
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