上 下
84 / 85
Scene09 鋼の救世主

84 貴方は童貞よ。私が護るもの

しおりを挟む
そして一同はファミレスの前で解散することになる。

美澪と猫狐も大輔の指示により自宅へ戻る。

そして十三と亜金が公園の中に入る。

すると松葉杖をついているジルとそれを心配そうに見ているジャキがいた。

亜金は、戸惑う。

「先生?これは……?」

「仲直りできるかな?」

亜金は震える。
ジルのことは怖い。
でも、自分のせいで刺されて傷ついた。
謝らなければ……
自分にそう言い聞かせる。
でも恐怖心が勝つ。

「なんだ元気そうじゃないかい」

そういったのはベラだった。

「ベラ……」

亜金がベラの方をそっと見る。

「ジルのやつ死にかけたんだよ」

「……うん。
 ごめんな――」

「謝るな」

ジルが大きな声を出す。

「え?」

そしてゆっくりと亜金に近づく。

「目と目があったら、どうするんだっけか?」

ジルが亜金に尋ねる。

亜金は答える。

「えっとポケモン勝負」

「まじかよ」

ジャキが驚く。

「お前……なかなかおもしろい冗談を言うな?」

「え?」

ベラが驚く。

「本気で言ったのかい?」

「俺が教えてやる。
 目と目があったらまずは挨拶だ」

ジルが言う。

「あ……」

亜金の目から涙が溢れる。

「なんで泣くんだ?
 ここは小さく笑顔を作って会釈でもいいんだぞ」

ジルが慌てる。

「だって僕は――」

「言うな。
 俺はお前を許しはしない。
 だけどお前も俺を許さなくていい」

「ほう……?」

十三がふたりの行く末を見守る。

「だから俺はお前をダチだと思うことにした。
 だから目と目があったら挨拶だ。
 元気にしてたか?テオスに捕まっていたんだろ?
 何をしていたんだ?」

「タコパしてた」

空気が変わる。

「タコパ?」

ジルの眉間にシワが寄る。

「うん」

「女の子とタコパ」

「女の子?どんな子だ?」

「そこで缶コーヒー飲んでる子とか?」

亜金は、プレげトンに指を向ける。
プレゲトンは小さく手を振りながら近づいてくる。

「金髪でちびっこで巨乳」

ジルの頭の整理が追いついていない。

「ちなみに亜金の童貞は私が護るから」

そう言ってプレゲトンは小さく笑う。

「そうなのか?」

ジャキは戸惑う。

「それってつまり……」

ベラが困惑しながら言葉を続ける。

「ずっと童貞ってことかい?」

「そういうことね」

プレゲトンがニッコリと笑う。
しおりを挟む

処理中です...