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Scene07 殺さない殺し屋

65 人間になりたくて

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「タイプα-au発見」

ユキが嬉しそうに呟く。
目の前にいるのはジル。
そして倒れているのは複数の男子生徒たち。

「あ……」

亜金もその場にいたユキと目が合い恐怖する。

「あれ?どうしてそんなに怖がるかな?
 私と目が合ったんだよ?恋が芽生えるかもって期待しなさいよ」

ユキがそういってゆっくりと亜金に近づく。

「来るな!」

亜金が大きな声を出す。

「どうしたんだ?」

ジルが首をかしげる。
ユキは倒れている男子生徒の体に手を触れる。

「なにをして……る?」

ジルが顔をしかめる。

「怪我しているのでお薬を注入したの」

ユキは平然と答える。

「薬って……?」

亜金が恐る恐る尋ねる。

「死んでも体内に残る劇薬。
 でもこの子は死なないしずっと苦しみ続ける。
 もちろん近づけば害がでるので誰も近づいてくれない」

「何を言ってるんだ?」

ジルにはユキの言葉がわからない。

「自己紹介が遅れたわね。
 私はユキ、テオスの幹部ユキ!
 お薬を自在に操れるギフテッド!
 全ての愚かなものに罰を与えるの」

ユキはそういってクスクスと笑う。

「薬?」

「そうよ亜金、貴方に選択肢を用意したわよ」

「え?」

「私の薬で一生私の奴隷になるか。
 自分の意志で私達とくるか。
 どっちがいい?」

「テオスって犯罪者集団だろ?
 コイツにそんな場所に行ってなんのメリットがあるんだ!」

ジルが怒鳴る。

「あるわよメリット。
 気に入った女の子をいつでもだけるようにしてあげる。
 気に入らない人間をいつでも殺してあげる。
 私の薬でならなんでも思うまま!いいでしょう?」

「そんなのどちらも嫌だ」

「貴方の願いなんでも叶えれるのよ?」

「じゃ、僕は人間になれる?」

亜金が目に涙を浮かべる。

「亜金、お前何を言って……?」

「うるさいわね」

ユキはそう言ってジルの腹部にナイフを投げた。

「あ……」

ジルは、そのまま倒れる。

「人間になれるわよ約束する」

ユキは優しく笑った。

「あ……金……」

ジルは意識を失った。
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