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Scene07 殺さない殺し屋

64 恐怖再開

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「なんかこっち見てない?」

海夜がそう言って怯える。

「あいつの腕、変じゃないか?」

そういったのは十三の生徒のひとり、水木 しげる
滋の視線の先にはユキの投薬により正気を失った男がいる。

「女がいっぱいだな。
 全員犯していいのか……?
 ゾクゾクするワクワクする。
 想像するだけで勃ちそうだ」

そう言って触手を東のいる教室に向けて勢いよく伸ばす。

「アンバランサー!ガードだ!」

その声と同時に伸ばされた触手が弾かれる。

「先生!」

十三が息を切らせて教室の中に入ってきた。

「みんな教室から出ないでね!」

十三は、そういうと教室の窓から飛び降りた。

「マジカよ」

滋が驚く。

「きゃ……!」

海夜が悲鳴を上げる。

男たちが数人教室の中に入ってきた。

「女は教室の右へ男は教室の左へ固まれ」

銃を持っている男がそう言って指示を出す。

「な、なんで?」

海夜が涙を流す。

「言うことを聞いたほうがいいぞ。
 特に男子。褒美に好きな女子をやれるチャンスをやる。
 別にこのクラスの女子じゃなくてもいいぞ?」

男たちがケラケラと笑う。

「テロリストなの?」

東が男たちに尋ねる。

「おっとお嬢ちゃん、かわいいね。こっちにおいで!
 まずはスカートをあげて下着ても見せてもらおうか?」

「嫌だと言ったら?」

「ああん?そんときは男をひとり殺す」

東が男たちに近づこうとする。

「……朝倉行かなくていいぞ」

百道がそういうも東が涙をこらえて一歩、また一歩近づく。

「でも……」

「わ、私が見せるから許して!」

海夜がそういってスカートをまくりあげる。

「んー心意気よし!
 今度は教壇の上に乗りスカートを脱げそしてパンツを脱げ!」

「え?」

「まさかそれくらいで満足すると思ったか?」

ナイフを持った男が海夜に近づく。

「怖い……」

海夜が涙をボロボロと流す。

「さぁ、早くしろ。それとも死ぬか?」

「……いや、死にたくない」

「10、9、8……」

銃を持った男が数を数える。

海夜は慌てて教壇の上に立つ。

「海夜やめろ!」

百道がそういって海夜の腕を掴む。

「4、3、2、1、はいゼロ!」

男が銃を放つ。
すると百道の方に机が飛んできた。

メガネ少年の臼杵|《うすき》桃李とうりが投げた。

「桃李?」

「その銃はそんなに威力はないよ。
 モデルガンだから」

「舐めたマネしてんじゃね!!
 ぶっ殺すぞ!」

ナイフを持った男が怒鳴る。
しかしすぐに意識を失う。

滋がナイフを持った男に拳の一撃を浴びせたのだ。

「まぁ、こんなもんさ」

滋が小さく笑う。

「でも、どうする?この教室に入ってきた野郎どもは……」

百道がそういうと桃李がため息をつく。

「そのへんは難波くんが解決してくれたよ」

桃李がそういうと教室に入ってきた男たちが眠るように倒れている。

「なにがあったんだ?」

滋が驚く。

「眠ってもらったんだ」

沙都がそういった。

「眠る?ってその手に持っているのって」

東が驚く。

「麻酔銃だよ。今どき小学生でも持っているでしょ」

沙都が笑う。

「持ってねぇよ」

百道が苦笑いを浮かべる。

「それより亜金くんだっけ?
 見かけないんだけど……」

沙都が首を傾げる。

「そういえばジルもいないぞ?」

百道が周りを確認する。

「本当だいないね」

「あいつ……!!」

百道が教室を出ようとした。

「ダメだよ」

すると教室の窓から十三が入ってくる。

「ここ5階だぞ?」

「とりあえずあの触手は倒した」

十三は百道のツッコミを無視していった。
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