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Scene03 コインロッカーと女の子

21 目撃者

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「そうだよ」

楽空が優しく笑う。

「そっか」

由香はなにかを言おうとしたが言うのを止めた。

「あ、由香ちゃん。
 飴ちゃん食べる?」

大輔は飴をポケットから取り出そうとして1枚の写真を地面に落とす。

「あ……」

由香が思わず声を上げる。

「ん?由香ちゃん。その人のこと知っているのか?」

羅輝が尋ねる。

「うん。見たことある」

「どこでだい?」

大輔が由香の目を見る。

「ひらかた中央公園」

「そっか」

「そこでふたりの男の人に連れて行かれたよ」

「え?」

大輔の頭がまっしろになる。
嘘はいっていない大輔にはそれがわかる。

「……楽空。将門さんに電話だ」

羅輝がそう指示を出す。

「はい」

楽空は将門に電話をした。
子どもの話だからって信用しない。
そういう状況でもない。
すぐに捜査本部が開かれる。

「由香ちゃん、お兄さんたちと一緒に来てくれるかい?」

楽空の問いに由香が首を横に振る。

「そうか……」

羅輝が考える。

「奈留先生に怒られるから……」

由香がボソリと呟く。

「え?」

大輔は戸惑う。

「由香ちゃんになにか御用ですか?」

警戒を強めた女性がゆっくりと大輔たちに近づく。
すると羅輝が静かに警察手帳を見せる。

「警察……ですか?」

女性の警戒は更に強くなる。

「失礼ですが貴方は?」

羅輝の質問に女性が答える。

「私は、斉藤 奈留なるです。
 この子の孤児院に務めています」

「先生かー」

りのあが笑う。

「先生だよ」

由香がそういうと奈留が大輔たちを睨む。

「この子がなにかしましたか?」

「この近くであった失踪事件の目撃者かもなんです」

「え?」

奈留が、由香の方を見た。

「うん。見ちゃったの。
 警察署で話を聞きたいそう。
 先生、行ってもいい?」

「え?行きたいの?」

「話したほうがいいと思うから……」

「そっか」

奈留は再び大輔の方を見た。

「お願いします」

「私もついていきます。
 それでもよければ……」

「ああ、構わないよ」

羅輝がそういってうなずいた。
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