2 / 3
1章 出会いとこれから
1
しおりを挟む
その日、僕は夢を見た。
夢の中では僕のお父さんとお母さんが殺されていた。
殺したのが一体誰なのかもわからない。
わかるのは、夢の中で僕が「お父さん!お母さん!」と泣き叫び、僕の目の前で焼けただれたお父さんとお母さんが床に倒れているということだけだった...。
-------------------------------------------------------------------------------------
時刻は18時00分
終業のチャイムが学校に鳴り渡る。
それと同時に、白金聖は目を覚ました。
あぁ、もうこんな時間かと聖は頭をかく。
こんな大事な日に学校で爆睡してチャイムで目を覚ますなんて、俺ってまじで危機感ねぇなぁと聖は自分自身に呆れてしまう。
そう、今日は聖が《守護人》として初めて、自分の守護対象の《瞳》を持つ人間、すなわち《瞳憑き》と会う日だった。
「たしか、19時に生徒会室に集合だったよな」
そんなことを呟きながら聖は教室を出る準備をする。
すると聖の後ろの席の鈴木が声をかけてくる。
「ようやくお目覚めか?」
「あぁ、昨日寝るの遅くてさ」
「いつものことだからもう何も思わないけどさー。聖は今日もジム行くのか?」
「いやー、今日からしばらくジムは行かねぇな。」
「珍しいな、何かあんの?」
「これから大事なことがあんのよ」
「お前がボクシングより優先することか...。さては彼女でもできたな!」
「馬鹿言うな、んじゃ行くから」
「おう!何かわかんねーけど頑張ってな」
そんなくだらない会話をして聖は教室を出た。
だが、こんなくだらない話だっていつまでできるかわからない。
これから《瞳憑き》と出会い、その後自分がどんな生活を送るのか聖には想像もできなかった。
しかし、どんなことが起きようと自分の身を守るために、聖は7歳からの9年間全てをボクシングに捧げてきたのだ。
ボクシングという人間の格闘技で、人間の力を遥かに超える奴らから自分の身を守れるかという不安はあったが、それでも何かをやらなくては恐怖に耐えられなくなると聖は考えていた。
そして少しの時間歩いていると、聖の目の前に生徒会室の扉が見えてきた。
聖は少し早いかと思ったが、扉に手をかけ一息吸った後、勢いよく扉を開いた。
生徒会室では、窓から差し込む夕日に照らされた一人の少年が椅子に腰かけていた。
まるで常闇のような漆黒の髪に、それとは対照的な透き通るように白い肌、そして息をのむほど綺麗なオッドアイ。
右目は髪と同じ漆黒で、左目は澄んだ青色の瞳をしていた。
彼は、その綺麗な瞳からは想像できないほど冷ややかな目つきをしていた。
そして、椅子の傍らにはどこにでもあるような木刀。
その普通ではない姿を見て聖はこの男が何者であるか即座にわかった。
この学園の生徒会長、黒羽月華だ。
月華は聖にちらりと目を向けた。
聖はその瞳を見て確信を得たが、念のために聞いておくことにした。
「お前、《瞳憑き》か?」
目を少し細め、月華は答える。
「ああ、そうだ」
その返事を月華から聞いたと同時に聖は口元に小さな笑みを浮かべ、《白虎》の能力を全身に巡らせた。
そして能力が全身に巡った刹那、聖は月華に殴りかかっていた。
夢の中では僕のお父さんとお母さんが殺されていた。
殺したのが一体誰なのかもわからない。
わかるのは、夢の中で僕が「お父さん!お母さん!」と泣き叫び、僕の目の前で焼けただれたお父さんとお母さんが床に倒れているということだけだった...。
-------------------------------------------------------------------------------------
時刻は18時00分
終業のチャイムが学校に鳴り渡る。
それと同時に、白金聖は目を覚ました。
あぁ、もうこんな時間かと聖は頭をかく。
こんな大事な日に学校で爆睡してチャイムで目を覚ますなんて、俺ってまじで危機感ねぇなぁと聖は自分自身に呆れてしまう。
そう、今日は聖が《守護人》として初めて、自分の守護対象の《瞳》を持つ人間、すなわち《瞳憑き》と会う日だった。
「たしか、19時に生徒会室に集合だったよな」
そんなことを呟きながら聖は教室を出る準備をする。
すると聖の後ろの席の鈴木が声をかけてくる。
「ようやくお目覚めか?」
「あぁ、昨日寝るの遅くてさ」
「いつものことだからもう何も思わないけどさー。聖は今日もジム行くのか?」
「いやー、今日からしばらくジムは行かねぇな。」
「珍しいな、何かあんの?」
「これから大事なことがあんのよ」
「お前がボクシングより優先することか...。さては彼女でもできたな!」
「馬鹿言うな、んじゃ行くから」
「おう!何かわかんねーけど頑張ってな」
そんなくだらない会話をして聖は教室を出た。
だが、こんなくだらない話だっていつまでできるかわからない。
これから《瞳憑き》と出会い、その後自分がどんな生活を送るのか聖には想像もできなかった。
しかし、どんなことが起きようと自分の身を守るために、聖は7歳からの9年間全てをボクシングに捧げてきたのだ。
ボクシングという人間の格闘技で、人間の力を遥かに超える奴らから自分の身を守れるかという不安はあったが、それでも何かをやらなくては恐怖に耐えられなくなると聖は考えていた。
そして少しの時間歩いていると、聖の目の前に生徒会室の扉が見えてきた。
聖は少し早いかと思ったが、扉に手をかけ一息吸った後、勢いよく扉を開いた。
生徒会室では、窓から差し込む夕日に照らされた一人の少年が椅子に腰かけていた。
まるで常闇のような漆黒の髪に、それとは対照的な透き通るように白い肌、そして息をのむほど綺麗なオッドアイ。
右目は髪と同じ漆黒で、左目は澄んだ青色の瞳をしていた。
彼は、その綺麗な瞳からは想像できないほど冷ややかな目つきをしていた。
そして、椅子の傍らにはどこにでもあるような木刀。
その普通ではない姿を見て聖はこの男が何者であるか即座にわかった。
この学園の生徒会長、黒羽月華だ。
月華は聖にちらりと目を向けた。
聖はその瞳を見て確信を得たが、念のために聞いておくことにした。
「お前、《瞳憑き》か?」
目を少し細め、月華は答える。
「ああ、そうだ」
その返事を月華から聞いたと同時に聖は口元に小さな笑みを浮かべ、《白虎》の能力を全身に巡らせた。
そして能力が全身に巡った刹那、聖は月華に殴りかかっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる