たとえ瞳が失われても

序章

1

ある夜、10人の少年少女は不思議な夢を見る。

10人全員小学校1年生の子供たちだ。

そのうち5人は、夢の中で《瞳アイズ》という不思議な能力ちからをそれぞれ与えられた。

残りの5人はそれぞれ、《四神しじん》という能力を与えられた。

そして一人一人に力を与えていった、黒い人間の影のような形をした物体がこう語りだす。

「初めまして。私は神の使い、《天使》です。

こんな姿ですが立派な天使なんですよ。

...。

まあそんなことは置いといて、早速ですが本題に入らせていただきます。

みなさんには10年後の10月24日、つまり20XX年10月24日から《瞳》を奪い合う戦争、すなわち《瞳戦争アイズせんそう》をしていただきます。

皆さん幼いですし、いきなりで全く意味が分からないことと思います。

ですがご安心ください。

今からあなたたちの体に《瞳》、《四神》、《瞳戦争》とは何か、どのようにして《瞳》を奪うのか、それぞれの能力についての注意点や禁止事項を脳に埋め込ませていただきます。

目が覚めた時には、頭は理解していなくても体が理解していますよ。

頭でしっかりと理解していただくまでは、能力の使用や行動を制限させていただきます。

そういうことですので、10年の間に頭でも理解できるようにしてください。

頭でも問題なく理解すれば、勝手に制限が解除されますので」



と、早口に語り終えた《天使》はあまりにもおかしい夢で混乱している子供たちを見渡し、満足げに首を動かした。

そして、



「では10年後にまたお会いしましょう。皆さんの成長楽しみにしてますよ」



と言い残し、姿を消した。



その直後10人の子供たちは目を覚ました。