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誤解が解けてこんなに安心したことはない
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「え~と⋯⋯結ちゃん飲み物ないね。お姉ちゃんが持ってくるよ」
「今日ケーキを買ってきたんです。二人とも食べてください」
コト姉とユズは俺達が恋人ではないとわかり、先程とは打って変わって神奈さんを歓迎し始めた。
「あ、ありがとうございます」
「お姉ちゃんケーキだって! やったあ」
神奈さんはコト姉とユズの、手のひらくるっくるの対応に驚きを隠せないようで動揺しているように見えた。だがこれであの殺伐とした空間がなくなり、俺は心から安堵する。
それにしても母さんには困ったものだ。イタズラする内容をちゃんと考えてほしい。勘違いされたまま神奈さん達が帰ったら、二人からどんな拷問をかけられるかわからなかったぞ。
「結ちゃん、これからも友人としてリウトちゃんと仲良くしてあげてね」
「クラスメートとしてまた遊びに来て下さい」
コト姉とユズが放った言葉で、友人とクラスメートが強調されているのは気のせいか?
どうやら二人はまだ、神奈さんへの警戒心を完全に解いているわけではなさそうだ。
俺を嫌っている神奈さんと付き合うことなんて絶対ないのに。今日だって紬ちゃんがいなきゃ家にくることはなかっただろう。
「ただいま」
そして俺達がケーキを食べている時、玄関から親父の声が聞こえてきた。
「お父さんを迎えに行ってくるわ」
母さんはケーキを食べている手を止め、玄関へと向かう。すると⋯⋯。
「な、なんだと!」
親父の叫び声がリビングまで響き渡る。
何だかこれと同じ状況をさっき経験しなかったか? まさかとは思うけどまた母さんは神奈さんのことを俺の恋人だって伝えているわけじゃないよな。
俺は親父がどんな様子でリビングに現れるか注視する。今度神奈さんのことを彼女扱いしたらすぐに否定してやるぞ。
そしてリビングの扉が開くとスーツ姿の親父が現れた。
「ただいま。母さんに聞いたが、今日はリウトの友人が来ているんだってな。え~と⋯⋯神奈⋯⋯結さんと紬ちゃんだね」
ん? 今親父の奴、神奈さんの名前を口にする時言い淀んだよな。
「お父さんもしかして結ちゃんが可愛いからって緊張しているの?」
「そ、そんなわけないだろ!」
そう言いつつ親父は言葉を詰まらせている。
「いい年したおっさんが女子高生に見惚れるとは情けないぜ」
「バカヤロー、そんなんじゃない」
親父は俺の言葉に対して冷静に返答してきた。
おかしい⋯⋯いつもの親父なら俺の言葉に鉄拳の1つも飛んでくる所だが。神奈さん達がいるから遠慮しているのか?
「えっと⋯⋯神奈 結です。今日は天城くんに料理を教わりに来ました」
「妹の紬です」
「父親の強斎です。今日はゆっくりしていって下さい」
神奈さんも親父の様子がおかしいことに気づいているのか、状況に少し戸惑っているように見える。
「今ハンバーグを焼きますね」
「あっ! 結ちゃん。お父さんのご飯は私が用意しますからそのままケーキを食べてて」
「はい、わかりました」
そして母さんはキッチンに向かい、俺達はまたケーキに手をつける。
そういえばさっき母さんが親父を迎えに行った時、驚いた声を上げていたのはなんだったんだろう?
「玄関で声が聞こえたけど何かあったの?」
俺はふと疑問に思っていると、コト姉も同じ考えだったのか、親父に問いかけていた。
「ああ、リウトが女の子の友達を連れてきたから驚いただけだ」
「お母さんが最初、結ちゃんのことリウトちゃんの彼女だって冗談で言うからお姉ちゃんも驚いたよ」
「結さんがリウトの彼女? それは笑えない冗談だな」
「でしょ~」
そしてこの後、和やかな雰囲気のまま夕食の時間は終わり、神奈さんと紬ちゃんは自宅へと帰るのだった。
「今日ケーキを買ってきたんです。二人とも食べてください」
コト姉とユズは俺達が恋人ではないとわかり、先程とは打って変わって神奈さんを歓迎し始めた。
「あ、ありがとうございます」
「お姉ちゃんケーキだって! やったあ」
神奈さんはコト姉とユズの、手のひらくるっくるの対応に驚きを隠せないようで動揺しているように見えた。だがこれであの殺伐とした空間がなくなり、俺は心から安堵する。
それにしても母さんには困ったものだ。イタズラする内容をちゃんと考えてほしい。勘違いされたまま神奈さん達が帰ったら、二人からどんな拷問をかけられるかわからなかったぞ。
「結ちゃん、これからも友人としてリウトちゃんと仲良くしてあげてね」
「クラスメートとしてまた遊びに来て下さい」
コト姉とユズが放った言葉で、友人とクラスメートが強調されているのは気のせいか?
どうやら二人はまだ、神奈さんへの警戒心を完全に解いているわけではなさそうだ。
俺を嫌っている神奈さんと付き合うことなんて絶対ないのに。今日だって紬ちゃんがいなきゃ家にくることはなかっただろう。
「ただいま」
そして俺達がケーキを食べている時、玄関から親父の声が聞こえてきた。
「お父さんを迎えに行ってくるわ」
母さんはケーキを食べている手を止め、玄関へと向かう。すると⋯⋯。
「な、なんだと!」
親父の叫び声がリビングまで響き渡る。
何だかこれと同じ状況をさっき経験しなかったか? まさかとは思うけどまた母さんは神奈さんのことを俺の恋人だって伝えているわけじゃないよな。
俺は親父がどんな様子でリビングに現れるか注視する。今度神奈さんのことを彼女扱いしたらすぐに否定してやるぞ。
そしてリビングの扉が開くとスーツ姿の親父が現れた。
「ただいま。母さんに聞いたが、今日はリウトの友人が来ているんだってな。え~と⋯⋯神奈⋯⋯結さんと紬ちゃんだね」
ん? 今親父の奴、神奈さんの名前を口にする時言い淀んだよな。
「お父さんもしかして結ちゃんが可愛いからって緊張しているの?」
「そ、そんなわけないだろ!」
そう言いつつ親父は言葉を詰まらせている。
「いい年したおっさんが女子高生に見惚れるとは情けないぜ」
「バカヤロー、そんなんじゃない」
親父は俺の言葉に対して冷静に返答してきた。
おかしい⋯⋯いつもの親父なら俺の言葉に鉄拳の1つも飛んでくる所だが。神奈さん達がいるから遠慮しているのか?
「えっと⋯⋯神奈 結です。今日は天城くんに料理を教わりに来ました」
「妹の紬です」
「父親の強斎です。今日はゆっくりしていって下さい」
神奈さんも親父の様子がおかしいことに気づいているのか、状況に少し戸惑っているように見える。
「今ハンバーグを焼きますね」
「あっ! 結ちゃん。お父さんのご飯は私が用意しますからそのままケーキを食べてて」
「はい、わかりました」
そして母さんはキッチンに向かい、俺達はまたケーキに手をつける。
そういえばさっき母さんが親父を迎えに行った時、驚いた声を上げていたのはなんだったんだろう?
「玄関で声が聞こえたけど何かあったの?」
俺はふと疑問に思っていると、コト姉も同じ考えだったのか、親父に問いかけていた。
「ああ、リウトが女の子の友達を連れてきたから驚いただけだ」
「お母さんが最初、結ちゃんのことリウトちゃんの彼女だって冗談で言うからお姉ちゃんも驚いたよ」
「結さんがリウトの彼女? それは笑えない冗談だな」
「でしょ~」
そしてこの後、和やかな雰囲気のまま夕食の時間は終わり、神奈さんと紬ちゃんは自宅へと帰るのだった。
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