9 / 46
9話 怒りのハルト その2
しおりを挟む
「シグマ・ブリーテン」
「は、はいい……」
「シエル・アクアマイトに対する公の場での婚約破棄、加えて今回の土下座の強要による嫌がらせ行為。これらは決して許されるものではない。当主であるアグマ・ブリーテン侯爵にも報告の上……」
「お、お待ちください殿下! ち、父上は関係のない話のはず……! これはあくまでも、僕とシエルとの間での出来事なんですから……!」
「何を今さら言っている? このような事態を巻き越しておいて、個人的な問題だけで済むと考えていたのか?」
ハルト王太子殿下の剣幕はとても恐ろしいものだった。本当に、ここまで怒っているハルト様を見たことはない。それだけ、私に対するシグマとアンナの嫌がらせを怒っているってことよね? そうだとしたら、こんなに喜ばしいことはないわ。また、ご迷惑をお掛けしたことは申し訳ないけれど。
それにしても、シグマは本当に個人的な問題で済むって思っていたのかしら? それだったら平和ボケにも程があるわ。ますます、こんな人と婚約関係にあったことが信じられないっていうか……。婚約破棄をした時点で、必ず両家に話は向かうのに。まあ、侯爵令息の権力でアクアマイト家には何も言わせない予定だったんだろうけど。
私がそんなことを考えている間にも、ハルト王太子殿下の声は貴族街に響いていた。シグマとアンナの二人からすれば公開処刑のようなものね。前のパーティ会場では公開処刑になるのは躊躇したけど、さすがに今回は何も思わないわ。
「今後しばらくの間、お前たち二人は自らの領地から出ることを禁ずる。これを破ればどうなるか……慎重に考えて行動せよ」
「か、畏まりました……」
シグマとアンナの二人は生気を完全に吸われた抜け殻のようになっていた。それだけ、ハルト様の罵声が効いたってことでしょうね。ハルト様の最後の言葉は、おそらく私に近づけさせない為のもの……それを破れば、家系ごと王家に潰されるか、追放される可能性もあるんでしょうね。
実際の罰が二人に下るのは少し先のことだけど、どんな風になるのかしら……今から気になってしまうわ。
「シエル、身体は大丈夫か?」
「はい、問題ございません。ハルト様……あの、なんてお礼を申し上げていいのか………」
振り向いたハルト様の顔を見て、私は嬉しさの余り言葉が出て来なかった。本当は言い尽くせないくらいの感謝をしたいんだけれど。
「君には今後、安全を保障するよ。これは王太子からの約束だ」
「ハルト様……その、お言葉はとても嬉しいのですが……他の貴族も見ている状況でして……」
私は一介の伯爵令嬢……ハルト様は次期国王が確実の国家のトップになられるお方だ。私の感情とは別に、貴族街の庭園で派手な演出は控えた方がいいのは確かだった。しかし……
「そんなことは関係ないさ、シエル。最終的には当人同士の問題なんだから」
「……えっ? ハルト様……?」
その瞬間、何が起きたのかわからなかった……ただ、遠くに立っていたメイドのメルレーンが「あらあら」と笑っていたことは覚えている。
……私はハルト様に唇を奪われていた。
「は、はいい……」
「シエル・アクアマイトに対する公の場での婚約破棄、加えて今回の土下座の強要による嫌がらせ行為。これらは決して許されるものではない。当主であるアグマ・ブリーテン侯爵にも報告の上……」
「お、お待ちください殿下! ち、父上は関係のない話のはず……! これはあくまでも、僕とシエルとの間での出来事なんですから……!」
「何を今さら言っている? このような事態を巻き越しておいて、個人的な問題だけで済むと考えていたのか?」
ハルト王太子殿下の剣幕はとても恐ろしいものだった。本当に、ここまで怒っているハルト様を見たことはない。それだけ、私に対するシグマとアンナの嫌がらせを怒っているってことよね? そうだとしたら、こんなに喜ばしいことはないわ。また、ご迷惑をお掛けしたことは申し訳ないけれど。
それにしても、シグマは本当に個人的な問題で済むって思っていたのかしら? それだったら平和ボケにも程があるわ。ますます、こんな人と婚約関係にあったことが信じられないっていうか……。婚約破棄をした時点で、必ず両家に話は向かうのに。まあ、侯爵令息の権力でアクアマイト家には何も言わせない予定だったんだろうけど。
私がそんなことを考えている間にも、ハルト王太子殿下の声は貴族街に響いていた。シグマとアンナの二人からすれば公開処刑のようなものね。前のパーティ会場では公開処刑になるのは躊躇したけど、さすがに今回は何も思わないわ。
「今後しばらくの間、お前たち二人は自らの領地から出ることを禁ずる。これを破ればどうなるか……慎重に考えて行動せよ」
「か、畏まりました……」
シグマとアンナの二人は生気を完全に吸われた抜け殻のようになっていた。それだけ、ハルト様の罵声が効いたってことでしょうね。ハルト様の最後の言葉は、おそらく私に近づけさせない為のもの……それを破れば、家系ごと王家に潰されるか、追放される可能性もあるんでしょうね。
実際の罰が二人に下るのは少し先のことだけど、どんな風になるのかしら……今から気になってしまうわ。
「シエル、身体は大丈夫か?」
「はい、問題ございません。ハルト様……あの、なんてお礼を申し上げていいのか………」
振り向いたハルト様の顔を見て、私は嬉しさの余り言葉が出て来なかった。本当は言い尽くせないくらいの感謝をしたいんだけれど。
「君には今後、安全を保障するよ。これは王太子からの約束だ」
「ハルト様……その、お言葉はとても嬉しいのですが……他の貴族も見ている状況でして……」
私は一介の伯爵令嬢……ハルト様は次期国王が確実の国家のトップになられるお方だ。私の感情とは別に、貴族街の庭園で派手な演出は控えた方がいいのは確かだった。しかし……
「そんなことは関係ないさ、シエル。最終的には当人同士の問題なんだから」
「……えっ? ハルト様……?」
その瞬間、何が起きたのかわからなかった……ただ、遠くに立っていたメイドのメルレーンが「あらあら」と笑っていたことは覚えている。
……私はハルト様に唇を奪われていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる