20 / 26
20話 男同士の会話 その1
しおりを挟む
もしかして、殴り合いの喧嘩でも勃発しているのではないか……メイサとシルからは、そんな不穏な考えまで言われていた。流石にそれはないと思ったけれど、ライジング公爵とお父様が何を話しているのはかとても気になってしまう。
秘密裏に聞きに行きたいところではあるけれど、それではお父様たちがやっていたことと同じことをしてしまうわけだし……私はその衝動をぐっと堪えていた。
「殴り合いの喧嘩はないしても……本当に、どういう会話をされているのかしら?」
「確か、オルスト伯爵って平民出身の出世コースに乗った人なんでしょ? あの変な方便からは想像しにくいけれど……そんな人と、ライジング公爵との会話なら聞いておきたいっていうのは、あるかもね」
「まあ、確かに……」
二人の会話は本当に気になるところではあるけれど……うう、さっき決めた決意が揺らぎそうだわ。
「よし、では聞きに行こうよ!」
シルが元気いっぱいにそう言った。……この子は何を言っているのかしら?
「何を言っているのよ……もう」
「だって、オルスト伯爵に後を付けられて、デート監視されていたのよ? なら、一回くらい仕返しとして、会話を盗み聞きしてもバチは当たらないと思わない?」
「……」
メイサもうんうんと頷いている。……この子たちの面の厚さには呆れるのを通り越して感心しているわ。私もこのくらい無神経というかメンタル面を強くすれば、婚約破棄とかにも耐えられたのかもね。
でもまあ……私がそれをする分には、確かにバチは当たらないかもね……。
「……二人も付いてくるの?」
「当たり前でしょ、いいじゃない別に」
「親友じゃない、私達」
……本当にとても良い親友を持ったわ……。なんていうか、地の果てまででも親友で居てくれそな二人ね。私は頭を抱えながらも、メイサとシルを引き連れて、店を後にした。
-------------------------------------------------
お父様とライジング公爵の居場所はすぐに発見することができた。寿司のお店の裏側辺りで話していたからだ。
「ライジング公爵に話すのは初めてかもしれませんなぁ……」
「ああ、そのようですね。あなたが平民の出の貴族という話は、確かに知りませんでしたよ。噂ではそういう者が居る程度には聞いておりましたが」
私達は二人の会話に聞き耳を立てているのだけれど、意外にも真面目な話をしているようだった。
「それだけに、心配でもあったんですよ……元平民の娘とか、差別されるんやないかとね」
「オルスト伯爵……心中、お察しいたします……」
……ええと、聞き耳を立てるのが失礼な会話に発展しそうなんだけれど……大丈夫かしら?
秘密裏に聞きに行きたいところではあるけれど、それではお父様たちがやっていたことと同じことをしてしまうわけだし……私はその衝動をぐっと堪えていた。
「殴り合いの喧嘩はないしても……本当に、どういう会話をされているのかしら?」
「確か、オルスト伯爵って平民出身の出世コースに乗った人なんでしょ? あの変な方便からは想像しにくいけれど……そんな人と、ライジング公爵との会話なら聞いておきたいっていうのは、あるかもね」
「まあ、確かに……」
二人の会話は本当に気になるところではあるけれど……うう、さっき決めた決意が揺らぎそうだわ。
「よし、では聞きに行こうよ!」
シルが元気いっぱいにそう言った。……この子は何を言っているのかしら?
「何を言っているのよ……もう」
「だって、オルスト伯爵に後を付けられて、デート監視されていたのよ? なら、一回くらい仕返しとして、会話を盗み聞きしてもバチは当たらないと思わない?」
「……」
メイサもうんうんと頷いている。……この子たちの面の厚さには呆れるのを通り越して感心しているわ。私もこのくらい無神経というかメンタル面を強くすれば、婚約破棄とかにも耐えられたのかもね。
でもまあ……私がそれをする分には、確かにバチは当たらないかもね……。
「……二人も付いてくるの?」
「当たり前でしょ、いいじゃない別に」
「親友じゃない、私達」
……本当にとても良い親友を持ったわ……。なんていうか、地の果てまででも親友で居てくれそな二人ね。私は頭を抱えながらも、メイサとシルを引き連れて、店を後にした。
-------------------------------------------------
お父様とライジング公爵の居場所はすぐに発見することができた。寿司のお店の裏側辺りで話していたからだ。
「ライジング公爵に話すのは初めてかもしれませんなぁ……」
「ああ、そのようですね。あなたが平民の出の貴族という話は、確かに知りませんでしたよ。噂ではそういう者が居る程度には聞いておりましたが」
私達は二人の会話に聞き耳を立てているのだけれど、意外にも真面目な話をしているようだった。
「それだけに、心配でもあったんですよ……元平民の娘とか、差別されるんやないかとね」
「オルスト伯爵……心中、お察しいたします……」
……ええと、聞き耳を立てるのが失礼な会話に発展しそうなんだけれど……大丈夫かしら?
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
【短編】婚約破棄の断罪裁判を開いた王太子、証言で全て自分の首を絞める
あまぞらりゅう
恋愛
エドゥアルト王太子から「婚約破棄だ!」と断罪されるシャルロッテ侯爵令嬢。
彼は彼女の『悪行』を暴くため、証人を次々と呼び出す。
しかし、証言されるのは、全て『彼女が正しかった証拠』ばかり。
断罪裁判はいつしか、王太子自身の罪を暴く場へと変わっていき……?
※覚えやすさや分かりやすさを重視しているので、登場人物の名前は「キャラクター名+身分表記」にしています
★他サイト様にも投稿しています!
投資の天才”を名乗る臣民たちよ。 その全財産、確かに受け取った。 我が民のために活かそう』 〜虚飾を砕く女王の経済鉄槌〜
しおしお
恋愛
バブルに沸くアルビオン王国。
「エルドラド株」を持たぬ者は時代遅れ――
そう嘲笑いながら、実体のない海外権益へ全財産を注ぎ込む貴族たち。
自らを“投資の天才”と称し、増税に苦しむ民を見下す日々。
若き女王リリアーナは、その狂騒を静かに見つめていた。
やがて始まる王室監査。
暴かれる虚偽契約。
崩れ落ちる担保。
連鎖する破綻。
昨日まで「時代の勝者」を気取っていた特権階級は、一夜にして無一文へ。
泣きつく彼らに、女王はただ微笑む。
――“皆様の尊いご投資、確かに受け取りましたわ”
没収された富は国庫へ。
再配分された資源は民へ。
虚飾を砕き、制度を再設計し、王国を立て直す。
これは復讐譚ではない。
清算と再建の物語。
泡沫の王国に、女王の鉄槌が下される。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
婚約辞退いたします。だってこの国、沈みますもの
鍛高譚
恋愛
「婚約はお断りいたします――この国は近い将来、崩壊しますので」
そう言い放ったのは、社交界でも目立たない子爵令嬢、マリン・アクアリウム。
ある日、とある舞踏会に突如現れた王太子ガイア殿下。
誰もが驚く中、なんと彼はマリンに婚約を申し出る。
周囲は騒然。「子爵令嬢が王太子妃!?」「断る理由などないはず!」
――だが、彼女は断った。「この国は、もうすぐ滅びます」――と。
そんな不吉な言葉を口にしたことで、彼女は“狂言癖のある嘘つき令嬢”と噂され、
家族にさえ見放され、ついには国外追放の身に。
だが、彼女の予言は本物だった――
数年後、王国に未曾有の大災厄が迫る。
国土が崩れ、海に沈む都市。人々が絶望する中、思い出されるのは、
あの舞踏会でただひとり“滅び”を告げた少女の名。
「彼女なら、この国を救えるかもしれない……」
皮肉にも“追放令嬢”マリンは、再び王都に呼び戻され、
滅びゆく国で最後の希望として担ぎ上げられる。
信じてもらえなかった過去。
それでも人々の命を守ろうと奔走するマリン。
そして、王子ガイアが差し伸べた、あの日と変わらぬ手。
――たとえ国が滅んでも、あなたとともに歩んでいきたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる