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21話 男同士の会話 その2
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「オルスト伯爵殿は……平民の生まれ……まさか、そのことを気にしていらっしゃったのですか?」
「いやいや、そんなことでもないんですけど……ファリーナちゃんに関する場合はどうしてもね……」
「なるほど……」
普段はほとんど見せない、お父様の真剣な表情……盗み聞きしているのは悪いとは思うけれど、私はそんなお父様に見惚れていた。メイサとシルも同じ感情を持っているのか、先ほどまでの軽いノリは失われている。真剣な表情で盗み聞きをしていた。
……盗み聞きには変わりないけれど、私達の態度は真剣になっていたの。ごめんなさい、お父様、ライジング公爵……。
「オルスト伯爵は有名な冒険者だったようですね? 今でも力は衰えていないのですか?」
「まあ、流石に歳も取りましたし……全盛期と同じというわけには行きませんわ」
「なるほど……」
まだまだ、お互い牽制し合っているような会話が続いているみたい。本題はこれからといったところかしら?
「率直にお聞きしますけれど……ライジング公爵は、娘のことをどう思ってらっしゃいます?」
態度的には歳が近いように映るかもしれないけれど、お父様とライジング公爵では倍くらいの年齢差がある。ライジング公爵がそれだけ若いということね。
「本当に率直な質問ですね……それだけ、娘さんのことが大切ということでしょうか……」
「ええ、まあそんなところですわ」
政略結婚が当たり前の世の中だけれど……お父様は私にそれをさせたいとは考えていないのかしら? 恋愛重視の婚約……一度、婚約破棄をされているだけに、より慎重になっているのかもしれないわね。
「まあ、ご心配なのはわかりますよ……あんなにも良いお嬢さん、そうはいないでしょう」
「でしょでしょ? いや~~そうなんですは、実はね」
なんだか急に、お父様の態度が緩くなったのは気のせいかしら? ……多分、違うわよね……もう、お父様は現金なんだから……。
「しかし、ご心配頂く必要はありませんよ……私はファリーナ……いえ、オルスト嬢のことは愛しております」
「……父親としては、可愛い娘を出すのは心配な面もありますが……ライジング公爵にそう言っていただけるのは、非常に名誉なことですわ。ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ……」
お父様とライジング公爵は堅い握手を交わしていた。それを影から見ていた私は顔どころか、全身が真っ赤になっていくのを感じていた……メイサとシルの二人に小突かれながら……。
「いやいや、そんなことでもないんですけど……ファリーナちゃんに関する場合はどうしてもね……」
「なるほど……」
普段はほとんど見せない、お父様の真剣な表情……盗み聞きしているのは悪いとは思うけれど、私はそんなお父様に見惚れていた。メイサとシルも同じ感情を持っているのか、先ほどまでの軽いノリは失われている。真剣な表情で盗み聞きをしていた。
……盗み聞きには変わりないけれど、私達の態度は真剣になっていたの。ごめんなさい、お父様、ライジング公爵……。
「オルスト伯爵は有名な冒険者だったようですね? 今でも力は衰えていないのですか?」
「まあ、流石に歳も取りましたし……全盛期と同じというわけには行きませんわ」
「なるほど……」
まだまだ、お互い牽制し合っているような会話が続いているみたい。本題はこれからといったところかしら?
「率直にお聞きしますけれど……ライジング公爵は、娘のことをどう思ってらっしゃいます?」
態度的には歳が近いように映るかもしれないけれど、お父様とライジング公爵では倍くらいの年齢差がある。ライジング公爵がそれだけ若いということね。
「本当に率直な質問ですね……それだけ、娘さんのことが大切ということでしょうか……」
「ええ、まあそんなところですわ」
政略結婚が当たり前の世の中だけれど……お父様は私にそれをさせたいとは考えていないのかしら? 恋愛重視の婚約……一度、婚約破棄をされているだけに、より慎重になっているのかもしれないわね。
「まあ、ご心配なのはわかりますよ……あんなにも良いお嬢さん、そうはいないでしょう」
「でしょでしょ? いや~~そうなんですは、実はね」
なんだか急に、お父様の態度が緩くなったのは気のせいかしら? ……多分、違うわよね……もう、お父様は現金なんだから……。
「しかし、ご心配頂く必要はありませんよ……私はファリーナ……いえ、オルスト嬢のことは愛しております」
「……父親としては、可愛い娘を出すのは心配な面もありますが……ライジング公爵にそう言っていただけるのは、非常に名誉なことですわ。ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ……」
お父様とライジング公爵は堅い握手を交わしていた。それを影から見ていた私は顔どころか、全身が真っ赤になっていくのを感じていた……メイサとシルの二人に小突かれながら……。
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