平凡な私が選ばれるはずがない

ハルイロ

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「彼がね!サージェント式の結婚の流れを教えてくれって言ってきたのよ!殿下が、事ある毎に、ステラにベタベタベタベタしているから、あんまり長い期間は我慢出来ないだろうって!主人を想って、先に行動するなんて、良い副官じゃない!でも、そこの所、実際どうなの!?このゴタゴタが片付いたら、殿下とステラは結婚しちゃうのかしら?でも、私としては、しっかり準備して、ステラを送り出してあげたいのよね…。お母様も、きっとそのつもりだろうし。それに、異能者と番の結婚だもの。各国に向けて婚約式やお披露目会も必要でしょう?そうなると、サウザリンド王国とサージェント王国で二回、式を行う必要があるわね…。準備期間は確保出来るかしら。うーん、これは、サウザリンド王とお母様に早急に会って、綿密な計画を立てる必要があるわ。」

「ひ、姫様、あの、その…、結婚って、私と、ヴェイル様が、ですか?」

一気に話し出した姫様を、私は恐る恐る止める。
その間、ヴェイル様は呆れた顔をしつつも、静かに姫様の話を聞いていた。


「そうよ!今更、何を言っているの?ウェディングドレスの作成には時間がかかるから、早めに準備しなくちゃね!ステラには、どんなデザインがいいかしら?」

「何!?それはどう言う事だ!?」
うっとりと語る姫様に対して、ヴェイル様が、突然、態度を変えて反論し始めた。


やっぱりヴェイル様だって、そんな話をされたら困るわよね。
そもそも、番とはいえ、私のような者じゃ、ヴェイル様の相手として認めてもらえるとは思えないもの…。
ヴェイル様の怒りを感じて、浮ついていた私に冷静さが戻る。



「もう!いきなり、何かしら?」
話を中断された姫様が、ヴェイル様を睨みつける。姫様の鋭い視線を受けながら、ヴェイル様は、ビタンビタンと尻尾を打ちつけて、大声を上げた。


「なぜ、花嫁の衣装をそちらが選ぶんだ!?それは、花婿の仕事だろう!」


え?
怒っていたのは、そこ?

「違うわよ!サージェント王国では、送り出す花嫁の家族が、嫁入り道具として花嫁衣装一式を揃えるの!だから、これは私達の仕事よ!」

「サウザリンドでは、花婿が花嫁をその髪の一筋まで着飾らせるんだ!なぜ、愛する女性の晴れ姿を、その家族とはいえ、自分以外の者に委ねねばならない!そこは、絶対に譲らないぞ!」

「はあ!?無骨な脳筋野郎が、花嫁を着飾らせるですって!?鎧でも着せるつもりじゃないでしょうね!?それに、サウザリンド王国の衣装は、露出が多くて破廉恥なのよ!そんなのステラには似合わないわ!こっちだって譲らないわよ!」

「それを言うなら、そちらの国の衣装は、修道女のように堅苦しいだろう!」

「何ですって!?私に喧嘩を売っているの!?」

「やるなら、こちらも手加減はしないぞ!」

ヴェイル様と姫様が、同時に強くテーブルを叩く。
慌てて私は、凄い剣幕で睨み合う二人の間に分け入った。


「落ち着いて下さい!今は、魔物の王をどうにかしないと。皆さん、今頃、頑張ってくれているでしょうし。ね?」


「「そんな事は、どうでもいい!」」

二つの鋭い視線がいっぺんに襲い来て、私はビクリと肩を跳ねさせてしまった。





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