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前編
進展
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舞花は、彼の事をどこか怖いと深層意識の中で感じていた。一緒にいると楽しい。けど怖いのだ。というのも、舞花には多少スピリチュアルな第六感みたいなものがあり、最初にもらったメールの時点で、彼の背後に漆黒の闇が広がっているのが気になっていたからだ。怖い…と思うのと同時に、舞花は彼のその闇に強く惹かれていくのを感じていた…
問題の彼とのコラボ曲はその後どうしていいのかわからないまま、悪戯に時が過ぎていった。不思議な事にその間も、舞花とLANDYのやりとりは毎日のように続いていたのだ。
最初は心を閉ざしたままで事務的なやりとりをしていたLANDYだったが、次第に、舞花の持つ柔らかさ、人を安心させるような雰囲気に、ある時期を境に急速に心を開いた感じがあり、舞花もそのことを嬉しく思っていた。
彼は舞花でさえ知らない古い音楽の数々を彼女に教えた。それは舞花にしてみれば戸惑うような種類の音楽や、昔の流行りであったと思われるヒット曲もあった。その事からLANDYはかなり広範囲に渡る音楽を聴いていることが伺われた。
長いこと独りの時間を過ごしてきた舞花にとって、本人も気づかないうちに心の隙間が出来ていた。LANDYはその心の隙間をすべて埋めるような存在になっていった。
夜勤明けの朝方、深夜、夜勤前の数時間、お昼の休憩時間。昼夜時間を問わず、LANDYからRailが入るようになっていた。LANDYは自分の心の闇の部分や、音楽のこと、家族の事、生い立ちの事、何でも舞花に話すようになっていて、普通の人ならドン引きするような事柄でも舞花はそれを彼の個性と受け止め許容した。その頃のLANDYにとっては、舞花はありのままの自分を受け止めてくれる、すごく心地いい存在だったのだ。
一方、舞花の方は、楽しいけど不安。不安だけど楽しい。そんな不可思議な感情に捕らわれて、連日の睡眠不足も相まって、少しずつ情緒不安定になることが多くなっていった。
しかし、その頃の舞花にとってLANDYとの時間が自分の中で最優先事項となっていた。
「Kotohaさん、あとどれくらい時間ありますか?僕は今夜は夜勤なのであと一時間くらいなら大丈夫です!」
「私はもう家にいるからいつでも大丈夫だよ(*^^*)」
あるいは、平日の朝の四時頃に Railが入り、寝ぼけ眼で対応するのも、自分が特別な存在であるように感じて睡眠不足も気にならなかった。
かなり二人の仲が急接近した時に、舞花は思いきって、せっかくもらった曲が自分の知識不足で完成しない。もう一度力を貸して欲しい。とLANDYに相談した。
それは舞花がお昼休みで、彼が公休の日の事だった。
「わかりました。今日は休みなのでカラオケで二番、三番の仮歌の作成と言葉がうまくのらない部分の歌詞のてこ入れ考えてみますね!」
表には出せないが、舞花が一番欲しかったのは、彼とのコラボ曲のフルの仮歌だった。でも、最初に断られたので絶対に手に入らないだろうと思っていたものでもあった。
ヴォーカリストが決まっていなかったが、LANDYは、最初にもらったアカペラの音源から、舞花本人が歌ったらどうか?と提案してきた。
というのも、彼女の歌声はとても綺麗で音程もしっかりしていたので、素人ながら、そこそこいい線をいくのではないかと最初から目を付けていたからだった。
カラオケは好きだったが歌うことは、まるで考えていなかった。
舞花は、ネットで初めてレコーディングセットという宅録が出来るセット一式を購入したが、ちゃんとした音楽を作曲するためのものであろうアイテムが届いたので使いこなせるのか、かなり不安でもあった。
問題の彼とのコラボ曲はその後どうしていいのかわからないまま、悪戯に時が過ぎていった。不思議な事にその間も、舞花とLANDYのやりとりは毎日のように続いていたのだ。
最初は心を閉ざしたままで事務的なやりとりをしていたLANDYだったが、次第に、舞花の持つ柔らかさ、人を安心させるような雰囲気に、ある時期を境に急速に心を開いた感じがあり、舞花もそのことを嬉しく思っていた。
彼は舞花でさえ知らない古い音楽の数々を彼女に教えた。それは舞花にしてみれば戸惑うような種類の音楽や、昔の流行りであったと思われるヒット曲もあった。その事からLANDYはかなり広範囲に渡る音楽を聴いていることが伺われた。
長いこと独りの時間を過ごしてきた舞花にとって、本人も気づかないうちに心の隙間が出来ていた。LANDYはその心の隙間をすべて埋めるような存在になっていった。
夜勤明けの朝方、深夜、夜勤前の数時間、お昼の休憩時間。昼夜時間を問わず、LANDYからRailが入るようになっていた。LANDYは自分の心の闇の部分や、音楽のこと、家族の事、生い立ちの事、何でも舞花に話すようになっていて、普通の人ならドン引きするような事柄でも舞花はそれを彼の個性と受け止め許容した。その頃のLANDYにとっては、舞花はありのままの自分を受け止めてくれる、すごく心地いい存在だったのだ。
一方、舞花の方は、楽しいけど不安。不安だけど楽しい。そんな不可思議な感情に捕らわれて、連日の睡眠不足も相まって、少しずつ情緒不安定になることが多くなっていった。
しかし、その頃の舞花にとってLANDYとの時間が自分の中で最優先事項となっていた。
「Kotohaさん、あとどれくらい時間ありますか?僕は今夜は夜勤なのであと一時間くらいなら大丈夫です!」
「私はもう家にいるからいつでも大丈夫だよ(*^^*)」
あるいは、平日の朝の四時頃に Railが入り、寝ぼけ眼で対応するのも、自分が特別な存在であるように感じて睡眠不足も気にならなかった。
かなり二人の仲が急接近した時に、舞花は思いきって、せっかくもらった曲が自分の知識不足で完成しない。もう一度力を貸して欲しい。とLANDYに相談した。
それは舞花がお昼休みで、彼が公休の日の事だった。
「わかりました。今日は休みなのでカラオケで二番、三番の仮歌の作成と言葉がうまくのらない部分の歌詞のてこ入れ考えてみますね!」
表には出せないが、舞花が一番欲しかったのは、彼とのコラボ曲のフルの仮歌だった。でも、最初に断られたので絶対に手に入らないだろうと思っていたものでもあった。
ヴォーカリストが決まっていなかったが、LANDYは、最初にもらったアカペラの音源から、舞花本人が歌ったらどうか?と提案してきた。
というのも、彼女の歌声はとても綺麗で音程もしっかりしていたので、素人ながら、そこそこいい線をいくのではないかと最初から目を付けていたからだった。
カラオケは好きだったが歌うことは、まるで考えていなかった。
舞花は、ネットで初めてレコーディングセットという宅録が出来るセット一式を購入したが、ちゃんとした音楽を作曲するためのものであろうアイテムが届いたので使いこなせるのか、かなり不安でもあった。
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