【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

文字の大きさ
470 / 776
第十九章 聖女が街にやって来た

12

しおりを挟む
「申し訳ありませんユーリ様。
昨晩も遅くまで待たれておりましたのに・・・」

夜が更けても帰って来ないリオン様を待つうちに、いつの間にか眠ってしまった私は次の日の朝ルルーさんに頭を下げられていた。

「い、いいんですよ!リオン様も聖女様のお相手で忙しいし仕方ありません!」

今朝はここに戻って来て朝食を取るのかなと思い、ルルーさんに尋ねたのだ。

するとなんとリオン様は今日も王宮だと言う。

正確には王宮に篭りっきりというわけじゃなくて、大神殿を表敬訪問するヘイデス国の国王陛下と聖女様の付き添いだ。

だからこちらには立ち寄らず王宮から直接大神殿へと二人を案内するらしい。

ルルーさんはリオン様に頼まれて今日着るものをこれから王宮まで届けに行くらしい。

「昨夜ユーリ様が遅くまで待たれていたと聞いて、リオン様は会えなくて申し訳ないと言っておりました。
ユーリ様もリオン様に何か言伝はございますか?」

ルルーさんはそう言って私が何か言うのを待っている。

「体に気を付けてお仕事頑張って下さいと伝えてもらえますか?」

そうお願いすれば物足りなさそうな顔をされた。

「もう少し何かありませんか?会えなくて寂しいとか声が聞きたいと伝えましょうか?
それ位言えばリオン様も嬉しくて早く帰ってきてくれるかもしれませんよ?」

さすが元乳母、リオン様の喜ぶツボは心得ているらしい。

「あ、じゃあそれで・・・」

「かしこまりました」

たった2日ほど会っていないだけでちょっと大袈裟な気もするけど、まあ会いたかったのは本当だし。

うっすら頬に熱を持ちながら頷いてルルーさんの言った通りの伝言をお願いする。

それからふと気になって、

「ルルーさん、今日って私、魔導士院に出掛けて来てもいいですか?」

と聞いた。

「魔導士院ですか?」

「はい。シグウェルさんに用事があって・・・」

そうなのだ。結界の件がどうしても気になるなら何もシグウェルさんが来るのを待たなくてもいい。

私から出掛けて聞きにいけばいいだけだ。

我ながらいいアイデアだと思いながらそう聞けば、さっきに引き続きまたルルーさんが申し訳無さそうな顔をした。

「魔導士院へのお出かけは構いませんがシグウェル様は本日そちらにいらっしゃいませんよ。」

「え?」

「当初の予定にはなかったのですが、昨日ヘイデス国の聖女様と交流された結果、急遽シグウェル様も大神殿へ同行されることにしたそうです。」

シグウェルさんが自分からついて行くことを決めた?

珍しい。カティヤ様の近くに行くと精霊の声がうるさいからと、大神殿やカティヤ様達神官にもさして興味はなさそうだったのに。

それどころか煩わしいとさえ思っていそうなあの人が自分から大神殿への同行を申し出るなんて。

昨日見かけたバルコニーで親しげな二人の様子を思い出してまた少し不安になった。

・・・お話をした結果、わざわざ表敬訪問へ着いて行こうと思うくらい聖女様に興味を持ったんだろうか。

「ユーリ様?」

急に考え込んでしまった私にルルーさんは心配そうに声を掛けてくれた。

「あっ、いえ、なんでもないです!そっかー、そうなんですね。分かりました、じゃあ今日はここで一日おとなしくしてます!」

「ええ。ユーリ様をなんだか奥の院に閉じ込めるようになってしまって申し訳ありませんが、明日の陛下とご一緒の謁見まではこちらにおいでくださいね。」

何でしたら明日に向けてシンシア達にユーリ様を磨かせましょうかと言われた。

そんなに気合いを入れなくてもと、王宮にいるリオン様のところへ戻るルルーさんを見送った私はいつものように庭園の木陰に座って本を開く。

なんだかヘイデス国の人達が来てから間が悪くて、リオン様やシグウェルさんの顔を見ていない。

リオン様と行動を一緒にしているレジナスさんともだ。

なんだかなあ・・・と思っていたら

「久しぶりにお会いしますが、憂いを含んだ悩ましげなそのお顔も美しいですね。
オレの女神をそんなにも悩ませるものは一体なんでしょうか?」

突然シェラさんの声が頭上から降って湧いた。

空耳かな⁉︎とびっくりして見上げれば、木の上にいつの間にかローブを羽織ったシェラさんがにこにこと座っていた。空耳じゃなかった。

「シェラさん⁉︎」

「お久しぶりですユーリ様。任務を終えましたら何よりも一番にユーリ様のお顔を見たくてこちらにやって参りました。」

とん、と軽やかに私の前に降り立つと片膝をついて服の裾に口付けられた。

どうやら任務で王都に帰って来てすぐ、任務の報告もそこそこにここに立ち寄ったらしい。

「シェラさんだぁ・・・」

リオン様達に会えなくてなんとなく寂しかったからなのか、いつもの大袈裟なオレの女神呼びすらなぜか嬉しい。

「国境のあちこちを巡って最後はダーヴィゼルドまで行って参りましたので遅くなりました。
ですがなんとかユーリ様とヘイデス国の謁見前に帰って来れて良かったです。ユーリ様のお世話はやはりオレがしたかったですから・・・」

いつもの色気を含んだ笑顔で話していたシェラさんは、らしくない私の態度にそこで気がついたらしく、何かありましたか?と小首を傾げられた。






しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...