【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

文字の大きさ
315 / 776
第十五章 レニとユーリの神隠し

16

しおりを挟む
魔力を使って地面を直した私がまだ元気いっぱい
なのを見たキリウさんはさすがに何かおかしいと
怪しんだ。

ヨナス神の関係者だという疑いは晴れたはずだけど、
どう話せばいいのかな。まさか私も召喚者です、
なんて言えないし。

そう思っていたらレニ様が私の前にずいと出てきた。

「なんだよ、ユーリはこの国の誰よりも魔力量が多い
だけだぞ!それに魔導士を先生にして魔法のことを
教えてもらい始めたのも最近の事だからな、こいつは
自分でも魔法の事はよく分かってないんだよ!お前、
いい大人なのにユーリみたいなチビをいじめたりして
恥ずかしくないのか⁉︎」

「レニ様・・・」

まさか庇ってくれるとは思わなかった。この際私の
ことをまたチビと言ったのは目を瞑ろう。

自分よりも大きくて大人な、ルーシャ国では有名な
キリウさんに堂々と文句を言うなんて。

そういえばここに飛ばされてきた時も自分よりも
ずっと大きなラーデウルフに剣を持って立ち向かおう
としてたっけ。

私よりも年下なのに偉いぞ、とちょっと感激して
いたら、そんなレニ様とキリウさんを見たレンさんが
笑った。

「あーあ、キリウさんすっかり悪者じゃないですか。
キリウさんだってユーリちゃんの反応を見れば、
それが何か企んでのことなのかどうかなんてすぐに
分かるでしょ?そうやって、肝心なところで疑い深い
からいつも最後は女の子に逃げられちゃうんですよ」

「は?誰が疑い深くて結婚出来ないって⁉︎オレは
ただ、ユーリちゃんの魔力量が多くてその力の使い方
が変だなって言っただけだろ?」

キリウさんに文句を言われたレンさんが、

「誰もキリウさんの婚期の話はしてないのにそんなに
気にしてたなんて・・・すみません。」

真面目な顔で頭を下げるとそのままキリウさんには
分からないようにこっそりと私にウインクした。

どうやら話を逸らしてくれたらしい。

そうしてパッと頭を上げると、

「それで、ユーリちゃんはキリウさんと一緒に木を
植えて水場を作りたいんだよね?そんなに魔力を
使っても大丈夫なの?」

にこにこしてそう聞いてきた。さりげない気遣いと
人当たりの良さはさすが、伴侶候補が列をなして
待っているだけある。なんていい人だ。

勝手に厨二病の女好きだと勘違いしていた過去の私に
説教したい。

「レンさん・・・!」

ありがとうございますと感謝を込めてレンさんを
見つめたら、キリウさんが慌ててその間に割り込んで
きた。

「違うから!ユーリちゃんを疑ってたとかじゃない
からレンのことをそんな目で見つめるのは止めて‼︎
ユーリちゃんと結婚するのはオレだから‼︎」

騒ぐキリウさんにレニ様は呆れて、自業自得じゃ
ないか、やっぱり勇者様の方がカッコイイ。と呟いて
いる。

そしてレンさんは割り込んできたそんなキリウさんの
肩越しに私に向かってまた笑いかけた。

「ごめんね、ユーリちゃん。キリウさん俺に近付く
変わったものに対してちょっと過剰反応するだけ
だから。悪気はないから許してあげてね。」

それはあれかな、召喚者をヨナスの手から守ろうと
しているからついそうなってしまうのかな。

さっきもレンさんに危害を加えるなら容赦しないって
言ってたし、そういうところは相手が子どもの姿を
していようが油断はしないで立派だと思う。

「ほら、キリウさんも。せっかくユーリちゃんが
こんなに豊かな地を作ってくれて、水場まで作って
くれるって言うんだから協力しましょうよ。」

「分かったよ、分かりました!全部ユーリちゃんの
言う通りにするって‼︎」

レンさんに肩をぽんぽんされてなだめられた
キリウさんは、片膝をつくと私に目線を合わせた。

「・・・本当に、疑ってたとかじゃないからね?
オレはただユーリちゃんもまるで召喚者みたいだな
って気になっただけだから。さっきは元から持って
いるイリューディア神様の加護の力をうまく使えない
って言ってたけど、そんなことはないんじゃないかな
って。その瞳を見てると特にそう感じるんだよね。
まるでグノーデル神様の加護を受けたレンみたいな
輝きをしている瞳から目を離せなくなるんだよ。」

そう言って真面目な顔でじっと見つめられれば、
シグウェルさんに見られているような錯覚に陥って
顔が赤くなったのが自分でも分かった。

そんないい顔で至近距離から見つめないで欲しい。
つい動揺してしまう。

そんな私にレニ様は、

「ユーリ!なんで赤くなってるんだ、さっきまで
怪しまれてたのにやっぱりお前そういう顔に弱い
のか!せっかく俺が味方してやったのに‼︎」

と小さく叫んだ。だからそういうデリカシーのない
ことは口にしないで欲しい。せっかくさっきはレニ様
の行動に感激したのに。

「え、ついにユーリちゃんの気持ちがオレに傾いた⁉︎
どうしよう、嬉しい‼︎」

ほら、キリウさんが誤解した。

「いえ、少しも傾いてませんから!レニ様、思った
ことを全部口に出すのはやめて下さい。キリウさんも
レニ様の言葉に惑わされないで下さいね⁉︎そんな事
より、これを大きくしてもらえませんか?」

「オレを惑わしているのはユーリちゃんのその思わせ
ぶりな態度だよ・・・?ていうか、これを大きくして
欲しいの?」

私はそんな思わせぶりなことはしていないはずだ、と
思いながらさっきキリウさんが成長させた木から小枝
をいくつか折ると地面にそれを挿した。

ハーピーや炎狼達の攻撃から私達を守るために作った
結界の境目に沿うようにぐるりと円形に挿した小枝を
キリウさんが確かめる。

「はい、お願いします。この結界の中心に私は泉を
作りたいので、キリウさんにはそれを囲むように木を
育てて欲しいんです。」

別に木を育てるくらい私も簡単に出来るけど、
さっきからキリウさんには色々と怪しまれているし
あまり色んな力は使わない方がいいだろう。

ふむふむと私の挿した小枝を確かめたキリウさんは
にっこりと微笑んでハーピー達を攻撃した時のように
パンと手を打った。

「いいよー、・・・成長して結実ね!」

その言葉と叩いた手の音に反応したかのように、
地面に挿した小枝は明るく輝く。

と、途端にぐんぐん成長した小枝はあっという間に
立派な木になると小さな白桃のような実までつけて
しまった。

本当にすごい。イリューディアさんの加護を受けて
いるわけでもないのにまるで私みたいな力を易々と
使いこなしている。

さすが、自分で自分を超絶魔法の使い手と自画自賛
するだけある。

「次は私の番ですね。」

そのキリウさんが育ててくれた樹木に負けないような
綺麗な泉をここに作ろう。

どんな干ばつにも絶対に枯れない、農作業をする人や
ここを通りがかった人達の喉を潤して疲れを癒して
くれるような泉を。

地面に手を付いてそう願う。

そうすれば、柔らかな地面についた両手の平は暖かく
熱を持って輝くとその下から水が湧き上がってくる
ような僅かな振動を感じた。

そこで地面から手を離して避ければ、ポコポコと
水が湧き上がってくる。

「おっと」

キリウさんも私みたいに地面に手をついた。すると
湧き上がってきた水の周囲の土が盛り上がり、水が
周りに溢れ出してしまわないようせきとめるように
そこは小さな噴水付きの池になった。

噴水からは私の出した湧き水が絶えず流れ出して
いる。

一連の作業を見ていたレンさんはその出来上がりに
目を輝かせた。

「2人ともすごいよ、これならここを通るみんなに
喜ばれるし重宝されると思う!あっ、そうだ魔物が
立ち入れないように結界も更に強めるんだっけ?」

レンさんはさっき倒した炎狼から回収した魔石の
入っている小袋をごそごそした。

その中から赤く輝く魔石を大小いくつか取り出すと
キリウさんに渡す。

「これ、炎熱魔法を加えた結界石にしてもらっても
いいですか?それをこの周囲にぐるっと埋めて、もし
ここに魔物が入り込もうとした時は魔物が燃えて
しまうような結界にしたいんで!」

そんなレンさんのリクエストに応じるように、
キリウさんはあーハイハイ、と渡された魔石を手で
包み込んだ。

赤い魔石は更に明るく燃え上がるように輝くと、
それを確かめたキリウさんは出来たぞと言って魔石
をレンさんに返す。

「ありがとうございます!じゃあ俺はこれをちょっと
周りに埋めてきます!」

そう言って私達に手を振って走って行ったレンさんを
見送りながらキリウさんは

「二人の初めての共同作業だね!こんなにうまくいく
なんてやっぱりオレ達は相性がいい!」

そう満足気に頷いた。


しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 1/10 HOTランキング1位、小説、恋愛3位ありがとうございます。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

処理中です...