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第七章 ユーリと氷の女王
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髪を整え直すためにほどかれた
私の三つ編みを丁寧に櫛けずる
シェラさんの手付きは優雅で優しい。
あまりの気持ち良さにちょっと
眠くなりそうで、気を紛らわすために
話しかけた。
「そういえば奥の院で、公爵の
ヒルダ様のことを氷の女王って
呼んでましたけど、どうしてですか?」
「ああ、いわゆる通り名ですね。
ヒルダ様は大層な魔力持ちで、
主に氷雪系魔法に優れた能力を
発揮されるのですよ。
騎士団を率いて竜退治をしたと
言ったでしょう?
ダーヴィゼルド領の北の端には
隣国とルーシャ国を隔てる国境で
山頂に万年雪を頂く大山脈があります。
そこには竜の巣があると言われていて
稀に山から竜が降りてくることもあり、
ヒルダ様はその魔力で領内に現れた
氷瀑竜を打ち倒したんです。」
オレ達や中央騎士団の助けもなく
よくやったものです。
私の髪をすきながらシェラさんは続ける。
「また、ダーヴィゼルドはその気候から
ルーシャ国の大穀倉地帯としても
有名で、他にも酪農や農産物の
一大生産地。その豊かさを狙われて
真冬以外は常に他部族の侵入にも
目を光らせねばなりません。
あの地を治めるには怜悧な頭脳、
強大な武力、騎士団以下荒くれ者を
統べる統率力と一領主としては
求められるものが大変多いのですが
ヒルダ様の統治能力はそれは
素晴らしいものがあります。」
「なんだか、聞けば聞くほど
すごい人なんですね。そんな人が
困っているなら早く行ってあげないと
領民の皆さんも心配してるでしょうね。」
カリスマ社長が倒れた会社は潰れる。
そんなイメージだ。
そしてシェラさんの説明から連想する
ダーヴィゼルド領は気候といい作物といい、
私の憧れの大地・北海道である。
「今朝、出発する前に殿下から
教えていただいた情報ですと
ヒルダ様と第二夫君、バルドル殿との
間に生まれた御息女フレイヤ様が
魔物に襲われたのを庇って
怪我を負った第一夫君のカイゼル殿が、
その直後から人が変わったように
暴れてヒルダ様ですら手に負えない
とのことでした。
治癒魔法や浄化魔法も効かないらしく
もはや癒し子の力に頼るしかないと
判断されたようです。
同時に、山中に魔物が出てくる
泉のようなものまで発見されたとか。」
「それはかなり深刻なのでは⁉︎
私の力が役立てればいいですけど・・」
今更ながらちょっと心配になってきた。
「カイゼル殿が豹変した状況から、
魔物による影響は間違いが
ないようですので
イリューディア神のご加護が厚い
ユーリ様ならば何らかの効果を
及ぼすことが出来ると期待されての
お考えなのでしょう。
・・・こんなにも急いで
駆けつけるのです、ユーリ様に
感謝こそすれぞんざいな扱いは
しないはずですよ。」
まあ万が一にでもそんな扱いを
されたらその時はオレの出番ですが。
サラッとシェラさんは恐ろしい事を
言った。まさか首スパンとか、
しないですよね・・・?
一気に違う意味でダーヴィゼルド領の
ヒルダ様達が心配になった。
そんな私に構わず、シェラさんは
鼻歌でも歌いそうな楽しげな雰囲気で
すいすいと私の髪の毛を編み込みながら
三つ編みを作っていく。
リオン様もそうだけど、シェラさんも
随分と器用だ。完全に私が自分で
作る三つ編みよりも手が込んでいて
綺麗な出来上がりになっている。
「さあ出来ました。これならこの先
馬に揺られても崩れにくいはずです。
ユーリ様の髪の毛は絹糸のように
なめらかで大変触り心地が良いですね。
ダーヴィゼルド滞在中は侍女殿が
到着されるまでの間はぜひ
オレに毎朝髪を整えさせて下さい。」
「いや、護衛騎士なのにそれは」
「髪だけでなく、身の回り全般も
お世話いたしますよ?
オレは出自柄、王侯貴族の身の回りの
世話は手慣れておりますし
その辺の下手な侍女や侍従より
優れていると自負しております。
・・・まさかここにきて
身に染みついてしまっている
経験が役立つとは思いませんでしたが、
人間生きていると何があるか
分からないものですね。」
面白いものです、と目を細めて
1人納得しているようなシェラさんが
謎だ。偉い人の世話をし慣れている?
騎士になる前はどこかで
侍従でもしていたのだろうか。
首を傾げていると、背後から
馬の駆けてくる音が聞こえた。
「お待たせしました!」
デレクさんだ。馬の横にはさっきまで
なかった皮袋が一つぶら下げられている。
「狩ったついでにその場で捌いて
すぐに焼けるようにしてきました、
早速昼食の準備にかかります!」
「さすがですね。そのこまやかな
気遣いは大事です。ユーリ様も
気兼ねなく食べることが出来るでしょう」
あ、もしかしてここで解体したら
それを見た私が気持ち悪くなって
ご飯を食べられないかもって
気を使ったんだろうか。
そこまで気を使わなくてもいいのに、
ありがたくも申し訳ない。
感謝しつつ、デレクさんに私の籠も
一緒に降ろしてもらう。
デレクさんは持参した鉄串に肉を
刺して火で炙り、石組みには
お茶用とは別の小鍋をかけて
持ってきた香辛料や乾燥させた野菜に
鉄串に刺したのとは別に分けておいた
肉を投入してスープも作り始めた。
キャンプみたいでちょっと楽しい。
手際よく作られていく料理を
見ているだけでもお腹がすいてくる。
「山越えは大変ですけど、こういうのは
楽しいですねぇ・・・‼︎」
いい匂いがしてきたスープを見ながら
そう言えば、デレクさんが苦笑いする。
「緊急事態のためにこんな道を
走らせて申し訳ありません。
ユーリ様の初めての本格的な辺境への
移動が嫌な思い出として記憶に
残らなければいいんですが。」
「いえっ!むしろこういう変わった事が
あったり苦労した事の方が後になって
逆に楽しい思い出になるものですよ?
崖を駆け降りたり、綺麗な渓流を
馬で飛び越えたりなんて、
なかなか出来ないことですから!
それに、このご飯も‼︎」
鉄串で炙られているお肉からも
いい匂いがしてきている。
そろそろ食べられそうだ。
ウキウキして私も自分の籠から
白パンを取り出して2人に渡した。
シェラさんが興味深そうに
籠を覗き込む。
「これが例の、ユーリ様が加護を
付けられた・・・」
「はい、パンとお菓子は無くなりません!
たくさん食べて下さいね!」
デレクさんが試しにクッキーを
数枚取り出したら、籠の底の方から
パンとお菓子がまた盛り上がってくる。
それを目の当たりにして
2人の目が丸くなったのが面白い。
奥の院を出発してから初めて取った
休憩はこうしてゆっくりした時間が
流れて、しっかりと休むことが出来た。
2人とも話して、この後も
昼休憩前と同じように、
小休憩は馬上で取りながら
一気にダーヴィゼルド領を
目指す事にした。
そのため、私とシェラさんは
あと少し休憩してから出発するけど
それに先行してデレクさんは
もう出発するという。
私達が着く前にヒルダ様の所へ
先触れも兼ねて先に早めに
着いておきたいということだった。
「ユーリ様達が着く頃には
出迎えが出来るようにあちらを
整えておきますね!
そうしたら公爵城でゆっくりと
休んで下さい、もう一息の辛抱ですよ。」
そう言うとデレクさんはあっという間に
馬で駆けて行ってしまった。
「ではオレ達はもう少し休んで
おきましょう。さあユーリ様、
お茶のおかわりをどうぞ。
熱いので気を付けて下さいね。」
渡された紅茶は甘くて熱い。
ぴんと張りつめたように冷たい空気に
カップから手に伝わる熱が
心地良くて、これから大変な事が
待っているなんて信じられないくらい
穏やかな時間が流れていた。
私の三つ編みを丁寧に櫛けずる
シェラさんの手付きは優雅で優しい。
あまりの気持ち良さにちょっと
眠くなりそうで、気を紛らわすために
話しかけた。
「そういえば奥の院で、公爵の
ヒルダ様のことを氷の女王って
呼んでましたけど、どうしてですか?」
「ああ、いわゆる通り名ですね。
ヒルダ様は大層な魔力持ちで、
主に氷雪系魔法に優れた能力を
発揮されるのですよ。
騎士団を率いて竜退治をしたと
言ったでしょう?
ダーヴィゼルド領の北の端には
隣国とルーシャ国を隔てる国境で
山頂に万年雪を頂く大山脈があります。
そこには竜の巣があると言われていて
稀に山から竜が降りてくることもあり、
ヒルダ様はその魔力で領内に現れた
氷瀑竜を打ち倒したんです。」
オレ達や中央騎士団の助けもなく
よくやったものです。
私の髪をすきながらシェラさんは続ける。
「また、ダーヴィゼルドはその気候から
ルーシャ国の大穀倉地帯としても
有名で、他にも酪農や農産物の
一大生産地。その豊かさを狙われて
真冬以外は常に他部族の侵入にも
目を光らせねばなりません。
あの地を治めるには怜悧な頭脳、
強大な武力、騎士団以下荒くれ者を
統べる統率力と一領主としては
求められるものが大変多いのですが
ヒルダ様の統治能力はそれは
素晴らしいものがあります。」
「なんだか、聞けば聞くほど
すごい人なんですね。そんな人が
困っているなら早く行ってあげないと
領民の皆さんも心配してるでしょうね。」
カリスマ社長が倒れた会社は潰れる。
そんなイメージだ。
そしてシェラさんの説明から連想する
ダーヴィゼルド領は気候といい作物といい、
私の憧れの大地・北海道である。
「今朝、出発する前に殿下から
教えていただいた情報ですと
ヒルダ様と第二夫君、バルドル殿との
間に生まれた御息女フレイヤ様が
魔物に襲われたのを庇って
怪我を負った第一夫君のカイゼル殿が、
その直後から人が変わったように
暴れてヒルダ様ですら手に負えない
とのことでした。
治癒魔法や浄化魔法も効かないらしく
もはや癒し子の力に頼るしかないと
判断されたようです。
同時に、山中に魔物が出てくる
泉のようなものまで発見されたとか。」
「それはかなり深刻なのでは⁉︎
私の力が役立てればいいですけど・・」
今更ながらちょっと心配になってきた。
「カイゼル殿が豹変した状況から、
魔物による影響は間違いが
ないようですので
イリューディア神のご加護が厚い
ユーリ様ならば何らかの効果を
及ぼすことが出来ると期待されての
お考えなのでしょう。
・・・こんなにも急いで
駆けつけるのです、ユーリ様に
感謝こそすれぞんざいな扱いは
しないはずですよ。」
まあ万が一にでもそんな扱いを
されたらその時はオレの出番ですが。
サラッとシェラさんは恐ろしい事を
言った。まさか首スパンとか、
しないですよね・・・?
一気に違う意味でダーヴィゼルド領の
ヒルダ様達が心配になった。
そんな私に構わず、シェラさんは
鼻歌でも歌いそうな楽しげな雰囲気で
すいすいと私の髪の毛を編み込みながら
三つ編みを作っていく。
リオン様もそうだけど、シェラさんも
随分と器用だ。完全に私が自分で
作る三つ編みよりも手が込んでいて
綺麗な出来上がりになっている。
「さあ出来ました。これならこの先
馬に揺られても崩れにくいはずです。
ユーリ様の髪の毛は絹糸のように
なめらかで大変触り心地が良いですね。
ダーヴィゼルド滞在中は侍女殿が
到着されるまでの間はぜひ
オレに毎朝髪を整えさせて下さい。」
「いや、護衛騎士なのにそれは」
「髪だけでなく、身の回り全般も
お世話いたしますよ?
オレは出自柄、王侯貴族の身の回りの
世話は手慣れておりますし
その辺の下手な侍女や侍従より
優れていると自負しております。
・・・まさかここにきて
身に染みついてしまっている
経験が役立つとは思いませんでしたが、
人間生きていると何があるか
分からないものですね。」
面白いものです、と目を細めて
1人納得しているようなシェラさんが
謎だ。偉い人の世話をし慣れている?
騎士になる前はどこかで
侍従でもしていたのだろうか。
首を傾げていると、背後から
馬の駆けてくる音が聞こえた。
「お待たせしました!」
デレクさんだ。馬の横にはさっきまで
なかった皮袋が一つぶら下げられている。
「狩ったついでにその場で捌いて
すぐに焼けるようにしてきました、
早速昼食の準備にかかります!」
「さすがですね。そのこまやかな
気遣いは大事です。ユーリ様も
気兼ねなく食べることが出来るでしょう」
あ、もしかしてここで解体したら
それを見た私が気持ち悪くなって
ご飯を食べられないかもって
気を使ったんだろうか。
そこまで気を使わなくてもいいのに、
ありがたくも申し訳ない。
感謝しつつ、デレクさんに私の籠も
一緒に降ろしてもらう。
デレクさんは持参した鉄串に肉を
刺して火で炙り、石組みには
お茶用とは別の小鍋をかけて
持ってきた香辛料や乾燥させた野菜に
鉄串に刺したのとは別に分けておいた
肉を投入してスープも作り始めた。
キャンプみたいでちょっと楽しい。
手際よく作られていく料理を
見ているだけでもお腹がすいてくる。
「山越えは大変ですけど、こういうのは
楽しいですねぇ・・・‼︎」
いい匂いがしてきたスープを見ながら
そう言えば、デレクさんが苦笑いする。
「緊急事態のためにこんな道を
走らせて申し訳ありません。
ユーリ様の初めての本格的な辺境への
移動が嫌な思い出として記憶に
残らなければいいんですが。」
「いえっ!むしろこういう変わった事が
あったり苦労した事の方が後になって
逆に楽しい思い出になるものですよ?
崖を駆け降りたり、綺麗な渓流を
馬で飛び越えたりなんて、
なかなか出来ないことですから!
それに、このご飯も‼︎」
鉄串で炙られているお肉からも
いい匂いがしてきている。
そろそろ食べられそうだ。
ウキウキして私も自分の籠から
白パンを取り出して2人に渡した。
シェラさんが興味深そうに
籠を覗き込む。
「これが例の、ユーリ様が加護を
付けられた・・・」
「はい、パンとお菓子は無くなりません!
たくさん食べて下さいね!」
デレクさんが試しにクッキーを
数枚取り出したら、籠の底の方から
パンとお菓子がまた盛り上がってくる。
それを目の当たりにして
2人の目が丸くなったのが面白い。
奥の院を出発してから初めて取った
休憩はこうしてゆっくりした時間が
流れて、しっかりと休むことが出来た。
2人とも話して、この後も
昼休憩前と同じように、
小休憩は馬上で取りながら
一気にダーヴィゼルド領を
目指す事にした。
そのため、私とシェラさんは
あと少し休憩してから出発するけど
それに先行してデレクさんは
もう出発するという。
私達が着く前にヒルダ様の所へ
先触れも兼ねて先に早めに
着いておきたいということだった。
「ユーリ様達が着く頃には
出迎えが出来るようにあちらを
整えておきますね!
そうしたら公爵城でゆっくりと
休んで下さい、もう一息の辛抱ですよ。」
そう言うとデレクさんはあっという間に
馬で駆けて行ってしまった。
「ではオレ達はもう少し休んで
おきましょう。さあユーリ様、
お茶のおかわりをどうぞ。
熱いので気を付けて下さいね。」
渡された紅茶は甘くて熱い。
ぴんと張りつめたように冷たい空気に
カップから手に伝わる熱が
心地良くて、これから大変な事が
待っているなんて信じられないくらい
穏やかな時間が流れていた。
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