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第四章
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しおりを挟む顔を上げた美波は憎悪に満ちた顔をしていた。
普段の彼女からは考えられない表情だ。
「二人を殺害した事は認めるのか」
「そうですね、二人を殺したのは私です。あの二人は死んで当然の人間なんですよ。そしてこの別荘から出た後、最後の一人である烏間秀治を殺す事が出来れば私の復讐は完璧だったのに。倫太郎さん、貴方にその計画は潰されてしまいましたね」
今美波は復讐と言ったか。一体何に対しての復讐なんだ。
「烏間真琴の殺害方法は、倫太郎さんが言った通り共犯者として協力していると見せかけて、あの男の部屋へと侵入し、殺害した後に糸を使用した密室トリックで部屋に鍵を掛けました。眠っているあの男の胸にナイフを突き刺したあの感覚は一生忘れませんよ。空っぽの自分が満たされていくのを感じました」
美波はうすら笑みを浮かべ、殺害した当時の事を思い出しているようだ。
倫太郎はそんな彼女を鋭く睨みつける。
「今回の事件でどうしても分からない事が一つだけあった。それは睡眠薬についてだ。睡眠薬入りのハーブティーで使用されたティーカップやソーサーには、変わったところは見られなかった。何故君は自分だけ睡眠薬を回避する事が出来たんだい」
「そんなのは簡単な話ですよ。私も睡眠薬入りのハーブティーを飲んでいたんです。あの時に用意したハーブティーは全て睡眠薬入りの水で作られたものです。だからトリックなんて何もないですよ。睡眠薬を入れたのは、倫太郎さんが言っていた通り、のり子さんが厨房から抜けていた時間を狙って行いました」
「睡眠薬を飲んだのに、何故君は犯行が可能だったんだ」
「それは、私の身体に睡眠薬への耐性が出来ているからです。私は普段から睡眠薬を使用しないと眠れないんですよ。その睡眠薬も今では強い効果があるものしか効かなくっているので、全員に飲ませた一般的な睡眠薬程度では全く効き目がないんです」
睡眠薬に耐性を持っている、だからどのティーカップで飲んでも美波には関係がなかったのだ。
「でも少しだけ焦りましたよ、全員眠っていると思っていたのに海斗が目を覚ましてしまった時には。犯行に気づかれてしまうかと思っていたんですが、何にも気づかずにいつも通りボケっとしながら部屋に戻って行って安心しました。起きて来たのが、倫太郎さん貴方だったら気づかれてしまう可能性もありましたからね。あの時に海斗の分までハーブティーを飲んでくれたお陰ですよ」
美波はそう言って倫太郎の隣にいた僕へと視線を移した。
うすら笑みを浮かべた彼女のその表情に、僕は身体が固まってしまった様に動けなくなってしまった。
倫太郎は美波の視線から僕を庇う様に一歩前へ出る。
「あらら、隠されちゃいましたね。まあいいか、渡部杏奈の殺害についてはあの女が入浴して直ぐに、洗面所へ忍び込み背後から心臓を狙ってナイフを突き刺しました。直ぐには死なずにまだ息があったので頭を掴んで湯船に沈めました。そうしたらじきに動かなくなったので、その姿を見てまた私の心は満たされたんです」
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