51 / 57
16章 『秘薬』の開発
第169話 『秘薬』の効果②
しおりを挟む
すると、レファーは食堂の中へと入り、俺の下まで足を進めてくる。
そして、床に散らばった俺の血に恍惚とした目を向けた後、その目を俺へと向けながら腕を首へと巻きつけるようにしてくる。
「な、何をしているんですか!?」
そんなレファーの行動に周囲が驚いて声を上げる中、メルトが責めるように声を上げた。レファーはそんなメルトの声に気付いて振り返ると、妖艶な笑みを作りながら『聖女』であるメルトへと言葉を返す。
「……『聖女』であるお前には分からぬか? 私は『吸血鬼』の女王……『吸血鬼』がもっとも強く持っている欲望と衝動……それは何だと思う? ……そう、吸血行為だ」
「吸血行為……。話で聞いたことくらいはありますが……だ、だからといって、彼にそこまで無駄に近付く意味はないでしょう?」
「何を言っている? 血を吸うのに近付かないのは不可能ではないか。それとも、『聖女』は私が遠くから人の血を抜き取るようなことをするとでも思っているのか? 例えそれが出来たとしても、それでは意味がない……血は新鮮でなければ飲めたものではないのだからな。お前達もいくら水を欲しているとはいえ、汚れた水を飲むことはあるまい? 血も同じだ。時間が経てば空気中のものを含み、新鮮さを失い飲めなくなる……その為にこうして接近しているのだ」
そう言って、これ見よがしにメルトに見せるようにして近付くレファー。……これはメルト達の反応を楽しんでいるだけだな。周囲が黄色い声を上げる中、メルトが何か言おうと口をパクパクと開く。
そんな中、セリィが影の中へと消えると、俺とレファーの間に一気に転移してきた。そして、俺とレファーをその手で引きはがすと、不機嫌な様子で声を上げた。
「いつまでそうしているつもりだ? ……どけ」
「何だ? 『元魔王』? お前は他の者と同じく、普通の食事で満足しているではないか。お前達が食事をするのと同じように、私の食事はこの吸血行為なのだ。邪魔をしないで欲しいものだな?」
「ば、場所を弁えろと言っているのだ。それに、それを言うなら貴様も我々同様に食事をしているではないか」
「まあ、食事をしていればある程度の栄養は取れるからな。しかし、私達『吸血鬼』にとってはあくまでもある程度の栄養にしかならん。だからこそ、『吸血鬼』は血を吸って己の糧とするわけだ」
「ぐ……!」
レファーの言っている事は実際に間違いはない。
だからこそ、セリィも言い返せずに黙り込んでしまう。そんな二人のやり取りをため息交じりに見ていた俺は、疲れたようにレファーへと言葉を向けた。
そして、床に散らばった俺の血に恍惚とした目を向けた後、その目を俺へと向けながら腕を首へと巻きつけるようにしてくる。
「な、何をしているんですか!?」
そんなレファーの行動に周囲が驚いて声を上げる中、メルトが責めるように声を上げた。レファーはそんなメルトの声に気付いて振り返ると、妖艶な笑みを作りながら『聖女』であるメルトへと言葉を返す。
「……『聖女』であるお前には分からぬか? 私は『吸血鬼』の女王……『吸血鬼』がもっとも強く持っている欲望と衝動……それは何だと思う? ……そう、吸血行為だ」
「吸血行為……。話で聞いたことくらいはありますが……だ、だからといって、彼にそこまで無駄に近付く意味はないでしょう?」
「何を言っている? 血を吸うのに近付かないのは不可能ではないか。それとも、『聖女』は私が遠くから人の血を抜き取るようなことをするとでも思っているのか? 例えそれが出来たとしても、それでは意味がない……血は新鮮でなければ飲めたものではないのだからな。お前達もいくら水を欲しているとはいえ、汚れた水を飲むことはあるまい? 血も同じだ。時間が経てば空気中のものを含み、新鮮さを失い飲めなくなる……その為にこうして接近しているのだ」
そう言って、これ見よがしにメルトに見せるようにして近付くレファー。……これはメルト達の反応を楽しんでいるだけだな。周囲が黄色い声を上げる中、メルトが何か言おうと口をパクパクと開く。
そんな中、セリィが影の中へと消えると、俺とレファーの間に一気に転移してきた。そして、俺とレファーをその手で引きはがすと、不機嫌な様子で声を上げた。
「いつまでそうしているつもりだ? ……どけ」
「何だ? 『元魔王』? お前は他の者と同じく、普通の食事で満足しているではないか。お前達が食事をするのと同じように、私の食事はこの吸血行為なのだ。邪魔をしないで欲しいものだな?」
「ば、場所を弁えろと言っているのだ。それに、それを言うなら貴様も我々同様に食事をしているではないか」
「まあ、食事をしていればある程度の栄養は取れるからな。しかし、私達『吸血鬼』にとってはあくまでもある程度の栄養にしかならん。だからこそ、『吸血鬼』は血を吸って己の糧とするわけだ」
「ぐ……!」
レファーの言っている事は実際に間違いはない。
だからこそ、セリィも言い返せずに黙り込んでしまう。そんな二人のやり取りをため息交じりに見ていた俺は、疲れたようにレファーへと言葉を向けた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
224
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる