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16章 『秘薬』の開発
第167話 二人の『聖女』③
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そして、『秘薬』を手に俺は『勇者』パーティが暇を持て余した時に集まる食堂へと向かう。どうせなら、あいつらにも効力を見てもらおうと思ったからだ。
俺がメルトとラヴィを引き連れて食堂へと足を踏み入れると、食堂にある椅子に座って談笑していた『女剣士』ルクと『弓使い』セヴィリアが気付き声を上げてくる。
「あら、おかえりなさい。メルト、そちらの方は?」
「ん? あ、本当だ。一人増えてる」
そうして声を上げる二人にメルトは背中に隠れかかったラヴィを前へと連れて来ると、少し考えるような仕草をしてから声を返す。
「……まあ、経緯は色々とあるようですけど……彼女も私と同じく『聖女』です」
「ら、ラヴィと言います……」
「あ、うん。よろしく―っていうか、『聖女』ってメルトだけじゃないんだ?」
「私も初めて知りました……」
頭を下げるラヴィに驚きつつも、ルクに続いて『魔導士』であるマティもラヴィに倣うように急いで頭を下げていた。別にわざわざ席から立たなくても良いだろうに。
そんな律儀な『魔導士』時代の後輩を見ていると、セヴィリアが俺の手にしていた『秘薬』の存在に気付いて声を掛けてくる。
「あら、それが『秘薬』? もう取り返してきたのね」
「まあな。今度からは簡単に盗まれないようにルートについては考えておいた方が良いな」
「そうね……それにしても、元になった『聖水』の効力もすごかったのに、それがさらに効力を増したらどうなるのかしらね?」
「うーん……病気が治ったりとか?」
セヴィリアの言葉に、その隣の席に座っていたルクが考え込むように腕を組んでそう答える。そんな二人に答えるようにして『秘薬』を片手に俺は食堂の中を進んでいく。
「実際、軽い病気くらいなら治せるだろうな。とはいえ、今回一番確認したいのは即効性だ。戦闘で使用してすぐに回復するかどうか、それが一番売れるポイントだろうしな」
「もし、それが完成したら村に活気が溢れるわね。これでお祖父ちゃん達の生活も楽になるわ」
そんな俺にこの村長の孫娘であるクルゥが嬉しそうに微笑むと、俺は軽い調子で返してやる。
「まあ、そうだな。それじゃあ、手っ取り早く効果を確認してお前の爺さんを安心させてやらないとな」
「それは良いけど……でも、怪我とかしてないのにどうやって確認するの?」
「なに、軽く自分の腕を切りつけてみようと思ってな」
「え……?」
驚いたように声を上げるクルゥを横目に軽く魔法で剣を作ってみせると、俺は自分の腕を切りつける。すると、通常では絶対に傷つかない俺の腕から血がだらりと垂れてきた。
それと同時に、周囲から大きな悲鳴と声が響いてくる。
俺がメルトとラヴィを引き連れて食堂へと足を踏み入れると、食堂にある椅子に座って談笑していた『女剣士』ルクと『弓使い』セヴィリアが気付き声を上げてくる。
「あら、おかえりなさい。メルト、そちらの方は?」
「ん? あ、本当だ。一人増えてる」
そうして声を上げる二人にメルトは背中に隠れかかったラヴィを前へと連れて来ると、少し考えるような仕草をしてから声を返す。
「……まあ、経緯は色々とあるようですけど……彼女も私と同じく『聖女』です」
「ら、ラヴィと言います……」
「あ、うん。よろしく―っていうか、『聖女』ってメルトだけじゃないんだ?」
「私も初めて知りました……」
頭を下げるラヴィに驚きつつも、ルクに続いて『魔導士』であるマティもラヴィに倣うように急いで頭を下げていた。別にわざわざ席から立たなくても良いだろうに。
そんな律儀な『魔導士』時代の後輩を見ていると、セヴィリアが俺の手にしていた『秘薬』の存在に気付いて声を掛けてくる。
「あら、それが『秘薬』? もう取り返してきたのね」
「まあな。今度からは簡単に盗まれないようにルートについては考えておいた方が良いな」
「そうね……それにしても、元になった『聖水』の効力もすごかったのに、それがさらに効力を増したらどうなるのかしらね?」
「うーん……病気が治ったりとか?」
セヴィリアの言葉に、その隣の席に座っていたルクが考え込むように腕を組んでそう答える。そんな二人に答えるようにして『秘薬』を片手に俺は食堂の中を進んでいく。
「実際、軽い病気くらいなら治せるだろうな。とはいえ、今回一番確認したいのは即効性だ。戦闘で使用してすぐに回復するかどうか、それが一番売れるポイントだろうしな」
「もし、それが完成したら村に活気が溢れるわね。これでお祖父ちゃん達の生活も楽になるわ」
そんな俺にこの村長の孫娘であるクルゥが嬉しそうに微笑むと、俺は軽い調子で返してやる。
「まあ、そうだな。それじゃあ、手っ取り早く効果を確認してお前の爺さんを安心させてやらないとな」
「それは良いけど……でも、怪我とかしてないのにどうやって確認するの?」
「なに、軽く自分の腕を切りつけてみようと思ってな」
「え……?」
驚いたように声を上げるクルゥを横目に軽く魔法で剣を作ってみせると、俺は自分の腕を切りつける。すると、通常では絶対に傷つかない俺の腕から血がだらりと垂れてきた。
それと同時に、周囲から大きな悲鳴と声が響いてくる。
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