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三食昼寝、家族付き
第1112話
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そしてやってきました砂漠の離宮!
いくつもの候補を抑え、避暑地に選ばれたのは――
「離宮が一つも残ってなかったから新しく建てた」
『カイちゃんが全部壊しちゃったの』
「隔離された場所だからかあちゃが迷子になることもないぞ」
セティの都市の真横に出来た巨大な岩山の一部を削ってできた入り江が今回の滞在場所。
こちらの巨大な岩山、セティの都市を襲いに来てイグちゃんに魂を美味しく頂かれたアースドラゴンの亡骸で出来ているらしい。
街一つ分の平地を作ってそこに水上コテージなどを設置、ウォータースライダー付きのコテージもあれば、岩山に設置されたウォータースライダーもあるようです。
怖い、岩山のはアー君ら用かな。
「魂がなければ復活はしないのかな?」
「万が一を考えて、頭の部分にドリちゃんの枝ぶっ挿したから大丈夫」
『セティこだわりの離宮もあるよー』
「離宮は広いからかあちゃ迷子になるぞ、一人で行くなよ」
セティの離宮は岩山の中腹辺りにあって、入り江全体を見渡せる絶景スポットなんだって、行ってみたいけどエロ魔人が待ち構えている所に行く勇気はないかなぁ。
「ママ、離宮には海を見下ろせるインフィニティ・プールならぬインフィニティ風呂があるんだって! みんなで入ろうよ!!」
ヨムちゃんが大興奮でぴょんぴょん跳ねているけど、それはヨムちゃんを引き込むための罠なんじゃぁ。
近寄らんとこ。
「このアースドラゴン、倒すの本当大変だった」
『体力多くて大変だったんだっけ?』
「表面が硬いから攻撃通らなくてにいちゃも苦戦したんだっけ」
「イグが間に合わなかったらセティの都市が一から作り直しだったろうなぁ、これ以上近付かれていたらたぶん都市の一部は崩壊してた」
『きゃー、ギリギリ!』
「冒険者がきゃーきゃー言いながら神殿に押し寄せて、物凄く喧しかったって」
幸いにも相手の図体が大きい分、動きも遅かったのでイグちゃんへの救援要請が間に合ったらしい。
いつもならすぐ来てくれるイグちゃんだけど、その時はちょうど皇帝のところで双子を寝かせつけている最中だったのでちょっと遅くなっちゃったんだって。
涼玉のパパであるグラちゃんとは違い木の一本も生えていなかったので、涼玉が踊りまくって荒野に森を出現させたとドヤ顔で自慢している。
周囲が砂漠にも関わらず、この岩山だけ不自然に緑に包まれているのはそのせいなのか。
「ただアースドラゴンとの戦いでイグが全身出したせいで瘴気が周囲に溢れちゃって、岩山に出来た森にはAランクの魔物が跋扈してる。天然ダンジョンだな」
『怖いね~、危険ね~』
「森の恵みを目当てに人間が何人か挑戦したけど、まぁ普通に……輪廻に入った」
浅いところでもCランク級の魔物がうようよいるそうです、見た目は大自然に包まれた風光明媚な場所なのに実態は恐ろしいダンジョンかぁ、あるある、良くある。
「危険な魔物は多いけど、もふもふズの敵じゃないから肉は食べ放題、あと森の中に川も作っておいたから川釣りも楽しめる。魔物出るけど」
『騎士様がこだわった滝もあるよ』
「頭の方は半分海に沈んだけど、今は天然の洞窟になって探検スポットになってる! 鍾乳洞もあるぜ!」
千年級のアースドラゴンも、うちの子にかかれば観光場所になっちゃうんだなぁ。
子供達の解説を聞いていたら宿泊場所を決める波に乗り遅れていた。
刀雲が決めてくれていると思ったら、騎士様と釣り場所の相談をしていて同じく乗り遅れていた。
「他はみんな決めたみたいだな、俺らうっかり」
『うっかりよー』
「イネスもアカーシャもネヴォラもバラバラのコテージに泊まるみたいだなー、俺らも決めちゃおうぜ」
けれど無念なことにウォータースライダー付きコテージは満室、涼玉が口を開けたまま固まってしまった。
「涼、こうなったらパパの隠し民家使おう」
「使おう!」
『そうしよー!』
アー君に案内された僕らの宿泊場所は、なんと騎士様が信州のお宿を参考に作っている最中の隠れ家。
そう、まだ完成していないらしい。
「完成するまで待ってよぉ」
「滞在中に完成させれば問題ないって、俺らの部屋どこにする?」
『囲炉裏あるよ、お魚焼こう』
「こっちは露天風呂があるぞーー!」
「野外にもお洒落な囲炉裏がありますぞ涼玉様!!」
「刀雲、この窓際の席、海が一望できるよ!」
「「わおーーーん!!」」
「こっちはキッチンか?」
普段住んでいる場所が和風だから、やっぱり純和風が落ち着くなぁ。
「夜は雑魚寝かな! やった!」
『刀雲に絵本読んでもらうの』
「夜は枕投げしよう、枕投げ」
大人な雰囲気を作りたかったんだろうなぁ、でもアー君にバレている時点で残念でした。
僕らが宿を決めたことで、もふもふズが多数宿に入ってきた。
「大人の隠し宿を目指したのに、もふもふな宿になっちゃったよ」
寂し気な騎士様のセリフはその場にいた全員にスルーされた。
いくつもの候補を抑え、避暑地に選ばれたのは――
「離宮が一つも残ってなかったから新しく建てた」
『カイちゃんが全部壊しちゃったの』
「隔離された場所だからかあちゃが迷子になることもないぞ」
セティの都市の真横に出来た巨大な岩山の一部を削ってできた入り江が今回の滞在場所。
こちらの巨大な岩山、セティの都市を襲いに来てイグちゃんに魂を美味しく頂かれたアースドラゴンの亡骸で出来ているらしい。
街一つ分の平地を作ってそこに水上コテージなどを設置、ウォータースライダー付きのコテージもあれば、岩山に設置されたウォータースライダーもあるようです。
怖い、岩山のはアー君ら用かな。
「魂がなければ復活はしないのかな?」
「万が一を考えて、頭の部分にドリちゃんの枝ぶっ挿したから大丈夫」
『セティこだわりの離宮もあるよー』
「離宮は広いからかあちゃ迷子になるぞ、一人で行くなよ」
セティの離宮は岩山の中腹辺りにあって、入り江全体を見渡せる絶景スポットなんだって、行ってみたいけどエロ魔人が待ち構えている所に行く勇気はないかなぁ。
「ママ、離宮には海を見下ろせるインフィニティ・プールならぬインフィニティ風呂があるんだって! みんなで入ろうよ!!」
ヨムちゃんが大興奮でぴょんぴょん跳ねているけど、それはヨムちゃんを引き込むための罠なんじゃぁ。
近寄らんとこ。
「このアースドラゴン、倒すの本当大変だった」
『体力多くて大変だったんだっけ?』
「表面が硬いから攻撃通らなくてにいちゃも苦戦したんだっけ」
「イグが間に合わなかったらセティの都市が一から作り直しだったろうなぁ、これ以上近付かれていたらたぶん都市の一部は崩壊してた」
『きゃー、ギリギリ!』
「冒険者がきゃーきゃー言いながら神殿に押し寄せて、物凄く喧しかったって」
幸いにも相手の図体が大きい分、動きも遅かったのでイグちゃんへの救援要請が間に合ったらしい。
いつもならすぐ来てくれるイグちゃんだけど、その時はちょうど皇帝のところで双子を寝かせつけている最中だったのでちょっと遅くなっちゃったんだって。
涼玉のパパであるグラちゃんとは違い木の一本も生えていなかったので、涼玉が踊りまくって荒野に森を出現させたとドヤ顔で自慢している。
周囲が砂漠にも関わらず、この岩山だけ不自然に緑に包まれているのはそのせいなのか。
「ただアースドラゴンとの戦いでイグが全身出したせいで瘴気が周囲に溢れちゃって、岩山に出来た森にはAランクの魔物が跋扈してる。天然ダンジョンだな」
『怖いね~、危険ね~』
「森の恵みを目当てに人間が何人か挑戦したけど、まぁ普通に……輪廻に入った」
浅いところでもCランク級の魔物がうようよいるそうです、見た目は大自然に包まれた風光明媚な場所なのに実態は恐ろしいダンジョンかぁ、あるある、良くある。
「危険な魔物は多いけど、もふもふズの敵じゃないから肉は食べ放題、あと森の中に川も作っておいたから川釣りも楽しめる。魔物出るけど」
『騎士様がこだわった滝もあるよ』
「頭の方は半分海に沈んだけど、今は天然の洞窟になって探検スポットになってる! 鍾乳洞もあるぜ!」
千年級のアースドラゴンも、うちの子にかかれば観光場所になっちゃうんだなぁ。
子供達の解説を聞いていたら宿泊場所を決める波に乗り遅れていた。
刀雲が決めてくれていると思ったら、騎士様と釣り場所の相談をしていて同じく乗り遅れていた。
「他はみんな決めたみたいだな、俺らうっかり」
『うっかりよー』
「イネスもアカーシャもネヴォラもバラバラのコテージに泊まるみたいだなー、俺らも決めちゃおうぜ」
けれど無念なことにウォータースライダー付きコテージは満室、涼玉が口を開けたまま固まってしまった。
「涼、こうなったらパパの隠し民家使おう」
「使おう!」
『そうしよー!』
アー君に案内された僕らの宿泊場所は、なんと騎士様が信州のお宿を参考に作っている最中の隠れ家。
そう、まだ完成していないらしい。
「完成するまで待ってよぉ」
「滞在中に完成させれば問題ないって、俺らの部屋どこにする?」
『囲炉裏あるよ、お魚焼こう』
「こっちは露天風呂があるぞーー!」
「野外にもお洒落な囲炉裏がありますぞ涼玉様!!」
「刀雲、この窓際の席、海が一望できるよ!」
「「わおーーーん!!」」
「こっちはキッチンか?」
普段住んでいる場所が和風だから、やっぱり純和風が落ち着くなぁ。
「夜は雑魚寝かな! やった!」
『刀雲に絵本読んでもらうの』
「夜は枕投げしよう、枕投げ」
大人な雰囲気を作りたかったんだろうなぁ、でもアー君にバレている時点で残念でした。
僕らが宿を決めたことで、もふもふズが多数宿に入ってきた。
「大人の隠し宿を目指したのに、もふもふな宿になっちゃったよ」
寂し気な騎士様のセリフはその場にいた全員にスルーされた。
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