上 下
1,118 / 1,127
三食昼寝、家族付き

第1107話

しおりを挟む
 本当に男の娘だった。
 しかもアー君親衛隊の一人ときたもんだ。

 幼い少年に見えるけどシヴァさんが飛んでこないあたり、きっと成人はしてるんだろうな。
 そうか、僕より年上なのかぁ。

「いつも黒衣を着て顔が見えないからメンバーの顔初めて見たよ」
「行き倒れてたのを見つけてマグロカツサンド与えたら懐かれたんだ」
「アルジュナ様は我らが神、ツナを我らに与えてくださった」

 ツナを恭しく掲げて祈りを捧げる男の娘。
 こんな感じでもSランク保持者らしいです。

「自家製ツナの作り方のレシピを渡しても離れなかったんだよ」
「料理苦手」

 その点、アー君の親衛隊ならば三食昼寝、人生の刺激付き。
 しかも最高級のマグロが庭に泳いでいて獲り放題。

「残りのツナサンドやるから、仕事に戻れ」
「やった」

 無表情なのがイイ!! そう背後で叫ぶのは駄女神様です、良かったですね男の娘好きそうですもんね。

「他の人もああいう感じ?」
「いや、うん、なんていうか全体的にどこかしら頭のネジが外れているようなのが集まった」

 刹那的に生きているような人間がアー君という崇拝対象を見つけ、あっという間に狂信者の出来上がり。
 この世界、どの神様崇めようとも、結局は根っこで繋がっているから特に問題はないはず。

 幼児にはぁはぁするメンバーがいないだけいいだろう。
 いないよね?

 男の娘が黒衣のフードをかぶり背景に溶け込もうとした所に、ワラワラと他の親衛隊がツナサンドを奪おうと群がってきたのですが。

「我も我も」
「アルジュナ様の神気」
「一口寄越せ」
「僕の!」

 跳躍して庭に逃げて行ったけれど、その後を追う黒衣の集団。
 怪しい、怪しすぎる。

「アー君、あれ」
「仕える神の魔力はご馳走みたいだな、進化の欠片っぽい何かだ。気にしたら胃を病む」

 とても苦労しているようです。
 あ、でも。

「じゃあ女神様の神格が上がったのも、騎士様の魔力を摂取したからかな?」
「は?」
「ポイント稼ぎの為に騎士様にお弁当に魔力込めてもらって、たまに女神様に奉納してたんだ。おかげで多少の連打には動じないポイントが貯まったよ」

 僕の言葉にアー君が呆れた目で女神様を見て、見られている女神様は露骨に目を逸らした。

「ママ、そんな方法でポイント稼ぎしてたんだな。まぁ気軽に連打してる俺らも悪いんだけど」
『お買い物楽しかったね』
「おう、潮干狩りの道具も揃えたし、ダンジョン行くための弁当も買い溜めした、水鉄砲にシュノーケルセットも買ったろ、寿司ネタOK、ラーメンの麺と串焼き用の串も大量購入した。あと足りないのなんだ?」

 男の娘に注目している間、静かだなぁと思っていたシャムスと涼玉。
 どうやらメニュー画面でずっとお買い物をしていたようです、残りのポイントを見るのが怖いですね。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ご主人様と猫少年

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:272

盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:1,766

【完結】オオカミ様へ仕える巫子はΩの獣人

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:408

あまりものの神子

BL / 連載中 24h.ポイント:21,755pt お気に入り:1,930

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14,321pt お気に入り:496

四人の魔族とおいしい私

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:45

シーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花 ファック・パペット達の図形定理

ミステリー / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:142

処理中です...