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三食昼寝、家族付き

第1086話

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 皇帝と教皇が共同経営する牧場が王都のすぐ近くに作られた。
 そこの元領主は結構前にイグちゃんの胃袋に収められたので領地自体は国に返還済み、特にこれといって問題なくスムーズに物事は進んだらしい。

 牧場主は商業ギルドに登録したばかりの元奴隷さんに経験者がいたので面接ののちに正式に雇い、従業員その他も同じように雇ったり、孤児院の子供達を雇ったりしたみたい。
 牧場主に選ばれたおっちゃんは筋骨隆々な感じの人で、牛さんとは一目会った瞬間に筋肉で何かを通じ合ってとても仲良くなっていました。
 なんであの人奴隷落ちしてたんだろう?

 元階層ボスがいるのもあり、牧場は魔物に襲われることもなく平和に運営出来ているようです。
 今までボスに殺された冒険者の恨み?
 そういうのは、活躍出来なかった謎能力がちょちょいとね。

 その辺りが整った所でアー君が当初の目的を思い出し、涼玉と一緒になって彼方に向かって叫んでいた。

「貴族の子息ーーー!!」
「忘れてたー!」
『思い出さなかったね』

 安否確認のため、アー君が慌てて帝国のギルドにすっ飛んでいった。

「お漏らしした老害さんたちはどうしたのかな?」
「腰と一緒に気も抜けたみたいでな、大人しく引退したって!」

 出会ったら最後、死を覚悟せねばならない。と言われていた魔物が怯える存在、それを敵に回すほどの度胸はなかったようです。

「イツキー、牧場で肉もらってきた! おすそ分けすっからスライム貸して!」
「はぁい」

 肉の塊を頭の上に掲げるネヴォラ、その肉の大きさはネヴォラの二倍はありそうなのだけど、この子意外と力持ちだったのね。
 ドゴッと床に降ろされた牛肉にわさわさとスラちゃん達が群がり、手慣れた様子で肉を分けていく。

「幾らだった?」
「じいちゃんの牛肉コロッケのレシピと交換だから無料、牛魔王コロッケつって売り出すんだって張り切ってたよ」
「売り出したら買いに行くぜ!」
『予約しよう』
「牛さん元気だった?」
「うん! 三食昼寝付きで、充実してるみたい」

 肉目当てに司祭の方が通っていて、その司祭が従業員や牛さんに文字や簡単な計算を教えているらしい。
 ネヴォラ……多分だけど本音と建前を逆に説明してるよ。

「牛な、脳筋だから計算苦手みたい」
「魔物に計算を仕込もうとする司祭がすげぇ」
『うん』
「私も一緒に受けてみたけど、山小屋の入門編みたいな内容だった!」

 だから勉強が捗るようにと励ましの思いを込め、女神様ご推薦のエロ本を数冊置いてきたらしい。
 ……女神様、ちょっと話し合いたいことがありますので、今度お時間をいただいてもよろしいでしょうか。

「じゃーなー」

 肉の処理が終わったスラちゃんから肉を受け取ると、ネヴォラは元気よく帰っていった。
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