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三食昼寝、家族付き
第1002話
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アー君が大の字でお風呂に浮いている。
死体のようだけど生きています、拗ねてるだけです。
「にいちゃ元気出せ! 俺なんて文字として認めて貰えなかった!」
「前世が役に立たない日が来るなんて」
「アー君、学園に通いたいならまず文字を練習しようね」
騎士様の追い打ちにアー君が尻尾でお湯をバシバシ殴っている。
あれはアー君が復活した時に気が済むまで悪戯されるやつだね、騎士様も懲りないなぁ。
「刀雲、他の家では読み書きってどうやって教えてるの?」
ファンタジーあるあるだと、そもそも一般庶民は文字の読み書き出来ない事が多いけど、刀国は違う、騎士様が日本に学校を持っていて教師育成機関として使用しているのもあり、日本の学校に似たり寄ったりな所が多いんだよね。
「俺は孤児だったからなぁ、こう神薙様に頭を鷲掴みにされ、知識をガッて注入された」
ツッコミどころが多い上に参考にならない。
そう言えば忘れてたけど刀雲って赤ちゃんの時に境内に捨てられてて、危うく神薙さんのおやつになるところだったんだよね、つまり神薙さんは刀雲の義理のお父さん、つまり……僕にとってもお義父さん!?
「シャムス目を閉じて」
『あい』
シャムスは満点のご褒美に本日いっぱい刀雲独占権をおねだり、現在は頭から尻尾の先まで洗ってもらっているところ、お風呂から上がったら乾かしてもらって、牛乳を飲ませてもらい、寝る前は絵本を読んでもらう予定らしいです。
いつもやっている事と相違ないと思いきや、いつもはシャムスを洗ったら次に涼玉やアー君、三匹が待っていたり僕に手渡されたりするので、通して刀雲を独占していることはまずないと主張されました。
「王子は幼児に負けたってへこんでたね、僕も参加してたら何点になってたんだろう」
「アカーシャならいい線いったんじゃない?」
「父様に問題を見せてもらったけど、抜き打ちテストがあのぐらいの難易度」
商業ギルドの打ち合わせで帰宅が遅れていたアカーシャが見たのは、文字が判別不可で実質0点を取ったアー君が騎士様に八つ当たりしている光景だった。
本気ではない甘噛みだったみたいだけど、騎士様の服に噛みついて唸るアー君は駄々をこねる子供そのもので可愛かった。
前世では魔力を使う際に魔法陣を描くことはあれど、文字を書く機会なんてなかった! というのがアー君の主張です。
「はい、ルド終了」
「ロー兄様も終わったよ、お風呂入ろう」
「シャムスも入ろうな、エムも行くぞ」
『あーい』
「わふん」
ワンコ三兄弟を洗い終え、広々としたお風呂に入ると、アー君が泳いで僕のところに来た。
こちらに来る時に尻尾でお湯を騎士様に掛けているのを僕は見たよ。八つ当たりしまくっている。
そうそう、双子と王子は遊び倒してから留学先に戻っていったよ。
留学先変更に関しては一晩じっくり考えさせてほしいと、帰り際に騎士様に頭を下げてました。
準備云々ではなく、テストで幼児に負けた現実にショックを受けて正常な判断が出来ないというのが理由みたいです。
最も、学園に行ったらガチの天才がその辺にいるし、それが平民の場合もあるので、自分の頭がいいと思っているなら早めに鼻を折られてかえって幸せかもしれないとはアカーシャ談。
刀国にも当然天才はいるけれど、分かり合える仲間と青春を謳歌しているらしい。
孤高の存在であろうとするのは他国から来た留学生、天才ゆえの孤独なんて誰にも理解できない……という感じに中二病っぽい何かを背負っている感じだったけど、うちの双子がさらに上を行き、鼻は折るわ情緒を踏み荒らしていくわでプライドも自信もバッキバキにされたとか。
今は双子の信者というかファンクラブ筆頭、双子が王になった際はその右手として治世を支えると豪語しているようです。
……ごめんね天才君、多分あの子らが王様になる頃には君の寿命は尽きて、少なくとも一回は転生している可能性が高い。
王太子やりたいだけで、王様やる気あるかもちょっと怪しいと最近は思ってる。
「アー君、明日から夕食後にちょっとずつ文字の練習しようか」
「うぎぃぃぃ」
「それとも山小屋通ってみる? 子供の友達出来るかもよ」
「山小屋?」
曰く、塾のようなもので、基本的な文字の読み書きを教える場所らしい。
学園とは違い費用はかかるし、食事も自分持ち、教師は学園と違って無資格だし、下手すれば近所のおじいちゃんだったりするけど、最低限の読み書きを習得することが出来る。
学園に通うのはハードルが高い冒険者や、入学前の子供などが通っていて、場所は主に各地域にある教会とかギルドの裏庭とか、とりあえず人が集まれる場所があればいいみたい。
山小屋と呼ばれるその場所は、国王様と騎士様が一番最初に子供を集めて文字を教えた場所で、教育者の聖地扱いされて、教会の総本山の敷地内で管理、保護されているんだって。
使わないと傷むからと今も実用されていて、たまに教師として国王様が現れることで有名らしい。すげぇな刀国、どこまでも自由。
死体のようだけど生きています、拗ねてるだけです。
「にいちゃ元気出せ! 俺なんて文字として認めて貰えなかった!」
「前世が役に立たない日が来るなんて」
「アー君、学園に通いたいならまず文字を練習しようね」
騎士様の追い打ちにアー君が尻尾でお湯をバシバシ殴っている。
あれはアー君が復活した時に気が済むまで悪戯されるやつだね、騎士様も懲りないなぁ。
「刀雲、他の家では読み書きってどうやって教えてるの?」
ファンタジーあるあるだと、そもそも一般庶民は文字の読み書き出来ない事が多いけど、刀国は違う、騎士様が日本に学校を持っていて教師育成機関として使用しているのもあり、日本の学校に似たり寄ったりな所が多いんだよね。
「俺は孤児だったからなぁ、こう神薙様に頭を鷲掴みにされ、知識をガッて注入された」
ツッコミどころが多い上に参考にならない。
そう言えば忘れてたけど刀雲って赤ちゃんの時に境内に捨てられてて、危うく神薙さんのおやつになるところだったんだよね、つまり神薙さんは刀雲の義理のお父さん、つまり……僕にとってもお義父さん!?
「シャムス目を閉じて」
『あい』
シャムスは満点のご褒美に本日いっぱい刀雲独占権をおねだり、現在は頭から尻尾の先まで洗ってもらっているところ、お風呂から上がったら乾かしてもらって、牛乳を飲ませてもらい、寝る前は絵本を読んでもらう予定らしいです。
いつもやっている事と相違ないと思いきや、いつもはシャムスを洗ったら次に涼玉やアー君、三匹が待っていたり僕に手渡されたりするので、通して刀雲を独占していることはまずないと主張されました。
「王子は幼児に負けたってへこんでたね、僕も参加してたら何点になってたんだろう」
「アカーシャならいい線いったんじゃない?」
「父様に問題を見せてもらったけど、抜き打ちテストがあのぐらいの難易度」
商業ギルドの打ち合わせで帰宅が遅れていたアカーシャが見たのは、文字が判別不可で実質0点を取ったアー君が騎士様に八つ当たりしている光景だった。
本気ではない甘噛みだったみたいだけど、騎士様の服に噛みついて唸るアー君は駄々をこねる子供そのもので可愛かった。
前世では魔力を使う際に魔法陣を描くことはあれど、文字を書く機会なんてなかった! というのがアー君の主張です。
「はい、ルド終了」
「ロー兄様も終わったよ、お風呂入ろう」
「シャムスも入ろうな、エムも行くぞ」
『あーい』
「わふん」
ワンコ三兄弟を洗い終え、広々としたお風呂に入ると、アー君が泳いで僕のところに来た。
こちらに来る時に尻尾でお湯を騎士様に掛けているのを僕は見たよ。八つ当たりしまくっている。
そうそう、双子と王子は遊び倒してから留学先に戻っていったよ。
留学先変更に関しては一晩じっくり考えさせてほしいと、帰り際に騎士様に頭を下げてました。
準備云々ではなく、テストで幼児に負けた現実にショックを受けて正常な判断が出来ないというのが理由みたいです。
最も、学園に行ったらガチの天才がその辺にいるし、それが平民の場合もあるので、自分の頭がいいと思っているなら早めに鼻を折られてかえって幸せかもしれないとはアカーシャ談。
刀国にも当然天才はいるけれど、分かり合える仲間と青春を謳歌しているらしい。
孤高の存在であろうとするのは他国から来た留学生、天才ゆえの孤独なんて誰にも理解できない……という感じに中二病っぽい何かを背負っている感じだったけど、うちの双子がさらに上を行き、鼻は折るわ情緒を踏み荒らしていくわでプライドも自信もバッキバキにされたとか。
今は双子の信者というかファンクラブ筆頭、双子が王になった際はその右手として治世を支えると豪語しているようです。
……ごめんね天才君、多分あの子らが王様になる頃には君の寿命は尽きて、少なくとも一回は転生している可能性が高い。
王太子やりたいだけで、王様やる気あるかもちょっと怪しいと最近は思ってる。
「アー君、明日から夕食後にちょっとずつ文字の練習しようか」
「うぎぃぃぃ」
「それとも山小屋通ってみる? 子供の友達出来るかもよ」
「山小屋?」
曰く、塾のようなもので、基本的な文字の読み書きを教える場所らしい。
学園とは違い費用はかかるし、食事も自分持ち、教師は学園と違って無資格だし、下手すれば近所のおじいちゃんだったりするけど、最低限の読み書きを習得することが出来る。
学園に通うのはハードルが高い冒険者や、入学前の子供などが通っていて、場所は主に各地域にある教会とかギルドの裏庭とか、とりあえず人が集まれる場所があればいいみたい。
山小屋と呼ばれるその場所は、国王様と騎士様が一番最初に子供を集めて文字を教えた場所で、教育者の聖地扱いされて、教会の総本山の敷地内で管理、保護されているんだって。
使わないと傷むからと今も実用されていて、たまに教師として国王様が現れることで有名らしい。すげぇな刀国、どこまでも自由。
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