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三食昼寝、家族付き

第910話

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 そんな話をしたのが確か先週、かな?
 翌日には使節団とともに華やかに出発した双子は――週末には我が家にいた。

「留学は?」
「今週は留学先の国に慣れるための期間だっけ?」
「歓迎パーティーとかいらないって言ったのに、人間社会ってめんどいね、逃げてきた」

 人間の事情に付き合う気は一切ないようで、無理矢理付き合わされるのを回避するために実家に避難したようです。
 お城だと王妃様に技食らうからね。

「国の名前なんだっけ?」
「行先は大臣が決めたからなぁ、覚えてない、でも多分乙女ゲームの舞台だよ」
「はぁ!? 国ごと滅していい!?」

 女神様のせいで乙女ゲームに怨恨を抱いているアー君が青白い炎を片手に立ち上がった。

「アー君落ち着いて、まだ優秀な人材を確保してないよ」
「そうそう、都合のいい感じに天才とかいたら持ち帰りたい」

 留学前に女神様の最新の文献を読み漁り、どんな流れが起きるか想定はある程度してあるらしい。

「乙女ゲームかそれとも王道学園か、最近はヒドインというタイプもあるみたいだ」
「頭がお花畑の女が近付いたら邪神に捧げるつもりです」

 ある程度想定はしてあっても、女神様の守備範囲が広すぎて予想が困難みたいだね。

「王道学園に乙女ゲーム突っ込んでくる可能性あるよな、あとママの時みたいにできる限りぶっこむとか」
『ミックスタイプ』
「がんばれー」
「イグちゃんおやつ食べる?」
「食べたい」

 にゅっと蛇の頭が影から飛び出た。
 何もない空間から顔を出すので、それが怖いと愚痴をえっちゃんにこぼしたら、翌日からこうして影から顔を出すようになったんだよね。
 どうやって意思の疎通を図ったかは不明です。

「そう言えば刀羅、刀羅は婚約者いるよね、離れてても平気なの?」
「週末デートする約束で送り出してもらった。今日もお昼にランチデート予定、文通しているし、何なら週に二度は夜空デートもしている」
「ナッツ王国に留学する時は一緒に通う手はずになってるんだって」
「え、留学先って普通一か所だけじゃない?」
「ママ、二人が短期留学を選んだのは短期で色々な国回るためだぞ」
『秘匿情報は魂をサーチするのよね』
『かあちゃには内緒だけどな!』

 裏でこっそり禁術とか集めそうで危なっかしいんだよなぁ。

「イツキ、我な、面白いことできる!」

 おやつのイチゴワッフルをぺろりと食べたイグちゃんが、にょきっとえっちゃんから手を出した。

「ぎゃーーーー!!」
『きゃーー!』
「マーーールーーース!」
「涼玉さまーーー!」

 突然ちびっ子たち泣き出したんだけど何があった!? と思ったら、アー君の方に右手、シャムスのお腹に左手、涼玉の頭に蛇の尻尾が乗っていた。

「どうやっているかは我自身もよくわかってないが、体の一部を別々の場所に出せるんだ!」
「怖い怖い」

 心霊現象みたいでぞわっとしたよ。

『ちびった』
『ちょびっと』
「マールスゥゥ」
「涼玉様、お風呂に入りましょう」
「おー」

 イグちゃんの手と尻尾が引っ込んだ所で幼児三人が自主的にお風呂に入りに行った。
 あれか、ちびったな。

「夢の世界経由だからかな、結界すり抜けられるんだ」
「恋人への手紙を届けてもらってる」
「僕は交換日記」

 謎能力の影響を受けた邪神イブちゃん、夢の世界で生まれ育っただけあって能力がでたらめです。
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