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女神の呪い
第801話
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いらない知識だと思っていたけどまさかここにきて微妙に役に立つとは誰が思っただろうか。
どうも、立場がおまけになった樹です。
召喚された誰のおまけか分からないから「おまけの子」と呼ばれています。
雑だなオイ。
せめて誰のおまけかぐらい特定する努力をしてください!
城の外に追い出すとか、秘密裏に処分とかこう、色々案はあったようだけど、幼子にその仕打ちはあまりに無体だと一部のお偉いさんが止めてくれたみたい。
幼子?
これでも三桁の子持ち、実は孫とかもいるのですが。
でも監視を付けたうえでの保護に収めてくれたお偉いさんありがとう、このお礼は僕の子供達がすると思いますのでそれまで生きててね。
扱いが雑な割にテンションが高い理由?
ふふ、実はこの付けられた監視が奴隷の首輪をされた獣人だったのです!
ありがとう僕のもふもふ運!
……ダメかもしれない。
女神様が獣人を奴隷扱いすると国ごと処分するって鼻息荒く言っていた気がするんだ。
ほら、騎士様がもふもふ愛好家だから。
「とりあえず、奴隷扱いされている獣人の人だけは別枠で保護しておかないとなぁ」
「チビが何言ってるんだ? 大人しく守られておけ」
呆れた顔でわしゃわしゃと僕の頭を撫でるのは、傷が原因で片目が見えない虎の獣人さん。
戦場で酷使されすぎて戦争奴隷としては使い物にならず、処分を待つだけだったけど、僕の監視兼護衛をすることで生き永らえたんだって。
初対面は荒んでいたものの、相手はこの僕。
謎能力でほわっと空気を和らげ、現在は頼れる兄貴です!
やったね!
謎能力ありがとう!
もふもふがそこにいる限り、僕ってば無双出来ちゃうんだよねー。
いやぁ、これも一種のチートですよ!
「腹減ったなー、ここの連中、あんなカビ生える寸前のパンばかり食わせやがって、イツキが何も食べれねぇじゃねぇか!」
「その割には痩せ衰えたり衰弱しないよねー」
「気のせいでなければたまにいい匂いがします」
もちろん場を和ませるタイプの獣人もいます。
片腕ないけど、ないなら生やせばいいじゃない。春日さんなら朝飯前だよきっと。
「虎に狐、執事ならぬ羊……パラダイスです」
「またふわふわし始めたぞ、大丈夫なのか、やっぱり食べてないから」
「ボスしっかり!」
「いつものことですよ!」
わたわたする姿もまた可愛い。
召喚に巻き込まれたのは迷惑だけど、この状況は楽しくて仕方がない。
「はぁ、ここまで来たらいっそ神獣とかも見てみたい」
「本当に大丈夫なのか?」
「ボスが慌ててどうするんですかー」
「いつものこと、いつものことですよ!」
片目の虎さんはひと際大きな体格なのに世話焼きが前面に出て、なんだか兄貴というよりオカンのように思えてきた。
しっかしこの隷属首輪ってデザインダサい、機能重視もいいけどデザインにもこだわろうと思った人はいなかったのだろうか。
「首輪がダサい」
「オイ、いきなり罵られたぞ」
「しかも俺らじゃどうにもならない部分を」
「いつものこと……じゃないですね?」
「せっかく毛皮に艶が出てきたのに、この首輪が視界の邪魔で」
なんだろうね、僕を守ることによる自動特典か何かなのだろうか。
護衛についたその日から、獣人の毛並みがボロボロからふわふわに進化してるんです。
多分だけど本人の自覚がないところで身体能力も飛躍的に上昇している気配、それこそいつものことです。
「……」
文句を言いながら届く位置にあった羊さんの首輪に触った瞬間ポロっとね、首輪が外れました。
「見つからないうちに首に戻す方法はありますか」
「ねぇよ」
「ないねー」
「後ろで適当に結んでおく、というのは」
「バレたらどうするんだよ」
「そうそう、折檻されるのは勘弁~」
「幸い毛並みがなぜかふわっとしていますし、結んだ部分は毛皮に埋めてしまえばよいのでは? どうせ細かい所まで確認なんてしませんよ」
羊が賢い。
いや、自棄が入ってる?
「じゃあ僕が結ぶよ」
「お願いします」
地面に座った羊さんの後ろに回り、首輪をつけようと毛皮に触ったら――七色の毛皮を持つ羊が爆誕した。
「俺がやる」
「いやいやその前に室内入りましょうよ」
「隠せ、隠せー」
狐さんが手で合図すると、隠れて護衛していた獣人がわらわらと寄ってきて、僕と羊さんを包囲しながら室内へと誘導した。
せめて発光するとかでお願いしたかったな、七色は目立つにも程がある。
どうも、立場がおまけになった樹です。
召喚された誰のおまけか分からないから「おまけの子」と呼ばれています。
雑だなオイ。
せめて誰のおまけかぐらい特定する努力をしてください!
城の外に追い出すとか、秘密裏に処分とかこう、色々案はあったようだけど、幼子にその仕打ちはあまりに無体だと一部のお偉いさんが止めてくれたみたい。
幼子?
これでも三桁の子持ち、実は孫とかもいるのですが。
でも監視を付けたうえでの保護に収めてくれたお偉いさんありがとう、このお礼は僕の子供達がすると思いますのでそれまで生きててね。
扱いが雑な割にテンションが高い理由?
ふふ、実はこの付けられた監視が奴隷の首輪をされた獣人だったのです!
ありがとう僕のもふもふ運!
……ダメかもしれない。
女神様が獣人を奴隷扱いすると国ごと処分するって鼻息荒く言っていた気がするんだ。
ほら、騎士様がもふもふ愛好家だから。
「とりあえず、奴隷扱いされている獣人の人だけは別枠で保護しておかないとなぁ」
「チビが何言ってるんだ? 大人しく守られておけ」
呆れた顔でわしゃわしゃと僕の頭を撫でるのは、傷が原因で片目が見えない虎の獣人さん。
戦場で酷使されすぎて戦争奴隷としては使い物にならず、処分を待つだけだったけど、僕の監視兼護衛をすることで生き永らえたんだって。
初対面は荒んでいたものの、相手はこの僕。
謎能力でほわっと空気を和らげ、現在は頼れる兄貴です!
やったね!
謎能力ありがとう!
もふもふがそこにいる限り、僕ってば無双出来ちゃうんだよねー。
いやぁ、これも一種のチートですよ!
「腹減ったなー、ここの連中、あんなカビ生える寸前のパンばかり食わせやがって、イツキが何も食べれねぇじゃねぇか!」
「その割には痩せ衰えたり衰弱しないよねー」
「気のせいでなければたまにいい匂いがします」
もちろん場を和ませるタイプの獣人もいます。
片腕ないけど、ないなら生やせばいいじゃない。春日さんなら朝飯前だよきっと。
「虎に狐、執事ならぬ羊……パラダイスです」
「またふわふわし始めたぞ、大丈夫なのか、やっぱり食べてないから」
「ボスしっかり!」
「いつものことですよ!」
わたわたする姿もまた可愛い。
召喚に巻き込まれたのは迷惑だけど、この状況は楽しくて仕方がない。
「はぁ、ここまで来たらいっそ神獣とかも見てみたい」
「本当に大丈夫なのか?」
「ボスが慌ててどうするんですかー」
「いつものこと、いつものことですよ!」
片目の虎さんはひと際大きな体格なのに世話焼きが前面に出て、なんだか兄貴というよりオカンのように思えてきた。
しっかしこの隷属首輪ってデザインダサい、機能重視もいいけどデザインにもこだわろうと思った人はいなかったのだろうか。
「首輪がダサい」
「オイ、いきなり罵られたぞ」
「しかも俺らじゃどうにもならない部分を」
「いつものこと……じゃないですね?」
「せっかく毛皮に艶が出てきたのに、この首輪が視界の邪魔で」
なんだろうね、僕を守ることによる自動特典か何かなのだろうか。
護衛についたその日から、獣人の毛並みがボロボロからふわふわに進化してるんです。
多分だけど本人の自覚がないところで身体能力も飛躍的に上昇している気配、それこそいつものことです。
「……」
文句を言いながら届く位置にあった羊さんの首輪に触った瞬間ポロっとね、首輪が外れました。
「見つからないうちに首に戻す方法はありますか」
「ねぇよ」
「ないねー」
「後ろで適当に結んでおく、というのは」
「バレたらどうするんだよ」
「そうそう、折檻されるのは勘弁~」
「幸い毛並みがなぜかふわっとしていますし、結んだ部分は毛皮に埋めてしまえばよいのでは? どうせ細かい所まで確認なんてしませんよ」
羊が賢い。
いや、自棄が入ってる?
「じゃあ僕が結ぶよ」
「お願いします」
地面に座った羊さんの後ろに回り、首輪をつけようと毛皮に触ったら――七色の毛皮を持つ羊が爆誕した。
「俺がやる」
「いやいやその前に室内入りましょうよ」
「隠せ、隠せー」
狐さんが手で合図すると、隠れて護衛していた獣人がわらわらと寄ってきて、僕と羊さんを包囲しながら室内へと誘導した。
せめて発光するとかでお願いしたかったな、七色は目立つにも程がある。
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