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湯水のごとくお金を使おう

第781話

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 長期休暇の終わり、げっそりと痩せたギレンに土下座された。
 一回り小さくなっている気がするけど気のせい?

「美味いものを食わせてくれ」

 何でもアカーシャがギレンの所に滞在したのは嬉しいし、ずっと居てくれと思ったけれど、実家暮らしで寂しい思いをさせているからと滞在中は毎食アカーシャが作っていたそうです。

 うっわぁ。

 ご愁傷様です。

 普通なら良い嫁だなぁで終わるけど、相手が謎料理の先駆者であるアカーシャだからなぁ。
 毎食完食したギレンを心の中で褒め称えつつ、アホだなぁという気持ちも捨てきれない。
 でもまぁここは親としてお詫びを込めて美味しい物を食べてもらおう、ドリちゃんの食事で癒されてください。

「さっぱりとこってり、どっちがいい?」
「さっぱりで」

 ドリちゃん、胃に優しい食事を一つお願い。

 ちなみにアカーシャは昨日から学園です。
 勉強に商会、ギレンのお世話と充実した休暇を過ごして生き生きと輝いていました。
 犠牲者が出たけどね!

「とりあえず軽く食前スイーツ食べる? スイートポテトだけど」
「ああ食わせてもらう」

 出会った頃はスパダリ風味だったのにね、今はただの嫁の尻に敷かれるおっさんか、悲しいね。
 せめてこの特性スイートポテトで元気を出してほしい、なんとこちらの聖なるさつま芋、込められている聖属性が普段の二倍!
 アー君が遊び半分に凝縮させた結果です。

「ぐはっ」

 子供達大好き聖なるさつま芋で作ったスイートポテトを一口食べた瞬間、ギレンが吐血した。
 えっ、なんで!?

「あれ、あれ? ドリちゃんっギレンが吐血しちゃった!」

 ドリちゃんの指示を受けたドリアンの動きは速かった。
 隣の部屋に続く襖を開け、先行したドリアンが布団を敷き、ギレンを数人がかりで持ち上げて布団に運び込むまでの一連の動作に無駄はありませんでした。

「頭冷やした方がいいよね」

 クリーン?

 いや、綺麗にしてどうする。
 この状態で洗浄したらトドメ刺しそうだしやめておこう。

 ごめんアカーシャ、君の旦那様殺しかけちゃった。

「スイートポテトの何が悪かったんだろう?」

 手を付けていないスイートポテトを食べたけど、いつも以上に体の中がスッキリ爽やかになる以外なにもないけどなぁ……ってこれ?
 えー、ギレンって聖属性弱点なの?

 本性ってなんだっけ?
 知っているはずだけど忘れちゃったなぁ。

 聖属性がダメなら邪神属性でどうにかするとか?
 神薙さん秘蔵のお酒『邪神殺し』を飲ませてみようかな?

 悩んでいたらドリアンに肩を叩かれ、静かに首を振られた。
 はい、すみません、何もしません。
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