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湯水のごとくお金を使おう

第773話

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 ハイダル君のパパが廃人になったまま再生しない。
 簀巻きパパの横で僕らに向かって跪いているハイダル君と衛士の方々、ごめん、春日さんがいればどうにかなった可能性もあるけど、あの人はたぶん新作ゲームにはまってる。

 気が向いたら来るとは思うけど、イネス並みに可能性低いかな。

「もうこのままハイダル君が王位継いじゃえ」
「そんな気軽な」
「大丈夫、大丈夫、セティ、どう思う?」
「ここにハイダルを次期国王として認める。伴侶は我が兄、カイエン。これは神託である」

 鮮やかな忖度ありがとう!

「今ならなんと! この街から城までの道を緑化するサービス付き!」
『お花もいっぱいよ』
「魔物除け効果付きだぜ」

 セティの神託に乗っかって幼児三人がサービス精神を発揮した。

 深夜番組並みの胡散臭い謳い文句だけど、本当だから大丈夫だよ。
 緑化は元々予定に入っていたけど、それがちょっと派手になるだけ。

「セティ、どう思う?」
「貧困具合による」
「それもそうだねぇ」

 王族しか贅沢出来ないような環境にカイちゃん置くのも確かに嫌かも。

「このおじさんどうしよう」
「離宮の一つや二つあるだろうから、そこに生涯幽閉でいいだろう。しかし人間とは弱いものだな」
「そうだよ、だから守ってあげてね」
「気が向いたらな」

 もー素直じゃないなぁ。

「ハイダル君の弟ってどうしてるんだろう? そもそも兄弟は弟さんだけ?」
「……あ」

 あれこれありすぎて自分の命を狙う弟さんのこと忘れてた?

「兄弟はいたが殆ど魔物にやられた。もう弟を含めて四~五人しか残っていないはずだ」
「ハーレムがあるのでご兄弟も多いのです」

 人生に疲れ気味のハイダル君に代わり、部下の人が解説してくれた。

「とにかく今は将軍を説得して戦争回避を……」
「それもう必要ないよ~」

 フラフラと立ち上がったハイダル君を遮るように声をかけてきたのは、同じ空間にいるはずなのに忙しくて顔を合わせられなかった騎士様だった。
 この緩いお方が神々のトップだと知っても信じられないよねぇ。

「ドラゴンの群れに襲撃されて全滅したって」
「……」

 僕は推定無罪ってことで一つ。

「ママ、現実逃避は良くない」
『犯人なの』
「ママの謎能力すっげー」

 犯人と断言された。
 やっぱりダメか。

 そう言えばキーちゃんの時だって声には出さなかったけど広範囲に効果あったなぁ、忘れてました。

「それとね」

 続きがあるようです、聞きたくないなー。

「ドラゴンの群れ、そのまま降伏してきた」
「ごめんなさい」

 他国の人間なら分からないけど、刀国の人間は降伏した魔物に剣は向けないだろうなぁ。
 冒険者から苦情が来そう、先に国に帰っていいですか?
 
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