656 / 1,127
湯水のごとくお金を使おう
第649話
しおりを挟むレモン国からマシュー君とアランの婚約のしるしとして結納品が納められた。
なぜか神薙さんの神社に。
いやまぁ、我が家経由でもマシュー君に届くけどね。
「なぜ」
「マシューの正妻・ナーガの実家だし、俺とシャムスもいるから?」
うーんと首を傾げるアー君。
「普通にマシューの所に届ける手段がないから、ここに届けたんだと思う」
「えっ、ないっけ?」
アカーシャのツッコミに驚いた僕の横でアー君が「あれ?」と目を泳がせている。
「領地として確立はされているし毎日農作物の納品があるけど、領地のある場所は元魔王領だし、明確な場所が判明してないんだよね」
「あれ、地図とか」
『あるっけ?』
「かあちゃ知ってる?」
「見たことないかも」
ここが辺境の国と呼ばれていること、桜並木通りの先にある門から先は魔王様の領土、その広さは国4~5個分だとか、なんかそんな感じの話を聞いたことがあるような?
騎士様達がプチっと滅ぼして魔王様に管理を丸投げしたんだっけ?
「魔王領の一部を領地として譲り受けた話は知られているにしても、実は場所って知られてないんだよね」
「ああ、出回っている位置情報が「桜門を出て森を一つ二つ超えた辺り」だからな」
『嘘じゃないのよ』
「その越えるべき森が魔境ってのを除けば、うん、嘘じゃないよなー」
「魔王城に行ける人間ならば辿り着けるでしょうな」
マールスさん、それってかなり難易度高いと思うよ。
門から出て向かう方角が分からないからうちに届けたのかぁ、そう言えば移住希望の人達の移動も騎士様が引き受けたから、結局向かう方角は不明なままだ。
僕も何度か行ったけど、移動は騎士様かアー君の転移だしね。
結納品を渡すついでにマシュー君とナーガを夕食に招待しようかな。
「ママ、アランも誘った方がいいと思う」
『カイちゃんもー』
「ハイダルのとこに入り浸って帰ってこないよな」
「我が兄弟も誘って良いでしょうか」
人数が増えてきたな、よし宴会だ。
「庭で鉄板焼き、魚は何料理にしようかな」
「母様、僕も手伝うよ」
「アカーシャはシャムスを手伝って招待状送って」
『おまかちぇ!』
「え~」
不満そうなアカーシャを皆で盛り立て、調理場から遠ざけることに成功。
「アー君、騎士様は海釣りに行っているから、合流して港で大物何匹か買ってきてくれる?」
「おっけー!」
「かあちゃ、俺は? 俺は?」
「お兄ちゃんとマールスと一緒にブドウ畑に行って果物採ってきてくれるかな、デザートに使うから好きなだけ採ってきていいよ」
「任せろー! にいちゃ、マールス行こう!」
「わふ!」
駆け出した子供達を見送っていたら、何やら視線を感じたので振り向いたら庭からじーっとネヴォラが覗いていた。
「ネヴォラも手伝ってくれるの?」
「うん!」
「じゃあもふもふズと裏庭菜園に行って野菜の追加もらってきてくれる?」
「分かった!」
「キーちゃん」
「きゅるる!」
みんな元気だなぁ、僕も頑張って料理しないとね!
そういう訳でスラちゃん軍団のみんな、野菜の下ごしらえは頼んだよ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
332
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる